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シンガポールからのゲスト&パース代表との話し合い
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今度は、シンガポールマフィアのドンに捉まった。
「久しぶりだな。フィルに使いをさせていたのだが。まさか、こうなるとはね」
「ご無沙汰しております。私は、ただ興味がないだけです」
ふっ……と鼻で笑ったドンは、側にいるニックを指さして言ってきた。
「そうは言っても、ニックは居るし、シェフにも1人居る。彼らの事は知らないのかな?」
「シェフの事は知りませんでした。ニックの事は、あの時に知って驚きました。あの時は、ニックは私の上司でしたから」
トモは、ニックの方を振り向いて聞く。
「ねえ、ニック。シンガポールに戻りたい?」
ニックの返事は、即答だった。
「いや、戻らない。私は、ここに居たいんだ。さっきドンにも聞かれたが、私の目標はマイナス20キロなんだ」
思わずシンガポール・ドンが口を挟んだ。
「20? ……この半年ほどで、そんなにも太ったのか?」
「ドン。ここは食事が美味しんですよ。それに、正確に言いますとプラス34です。だからこその、マイナス20なんです」
トモは溜息を吐いていた。
「……ダイエット食でも考えるか」
同じく溜息を吐いたシンガポール・ドンは、こう返した。
「ニック……。マイナス30を目標にしろ」
すると、声を掛けられた。
「ニック、お前は太り過ぎだ。家で木登りでもするんだな」
「レイ。お前も付き合ってもらうぞ」
レイは即答だった。
「断る。それに恋人が居れば太らないと思うが……。好きな奴は居ないのか?」
「レイ! 自分は恋人と一緒に住んでるからと言って」
掴みかかろうとしてくるニックを軽くかわし、レイはトモに振り向き言ってきた。
「トモ。私がオファーを掛けた中で、君が一番出世した。今の気分はどうだ?」
トモは即答した。
「ミスター。私の気分は、いつも同じですよ。ただ、今はお腹が空いた。それだけです。実際に、食べ物ブースに行こうとしてたのだから、その途中です」
レイは、しつこく言ってくる。
「トモ」
トモは、そのミスターを遮る。
「ミスター。私はエドワードにも言ったが、自分は煽てられ、それに乗っかる、お飾りの人間ではないです。なったからには、やりきります。ただ、私が受けた苦しみや痛みは、誰にも分からない。
また……、誰にも言いたくはない。
だけど、私には仲間がいる。
ニックもそうだけど、ユタカやカズキに、ワンもそうであるように。
本来は雲の上の人となる位置に属するだろう人も、私の側に居る。
エドワード・ジョンソンに、ドクター・ヒロト。
『ドン』という名称になっても、私の日々の生活は、今まで通りだと思ってます。
何も、変わることは無い。
ミスター。あの頃、私に言ってくれてましたよね。
『君は、リーダーの素質があるね。誰かに指示を出して動かそうという気はないかい?』と。
その時、私が、あなたに返した言葉を、覚えてらっしゃいますか?」
ミスターは頷いてくれたので、トモは続けて言った。
「その大学時代に動いてた連中が、もう一度私の側に来た。皆、昔とは違い、立ち位置も仕事も違う。メンバーも数人ほど違うが……。私は、彼らをこき使います。私に、こき使われて動く事を好む人も居れば、私に文句を言いながらでも動いてくれる人も居る。それに、私を甘えさせてくれる人も居る。
私は彼等に感謝してるが、同時に誇りも持っています」
ミスターは、ポツリと言った。
「君は……、とんでもない王様だな。アメとムチを使い分けてる。俺様なボス、いや、俺様なドンだな……」
トモは、にっこりと微笑んで言い切った。
「俺様、と言って頂けると嬉しいです」
ミスターは口調を変えて言ってきた。
「私はシンガポールを辞めて、ここに戻って来たんだ。ミスター呼びは辞めて貰おう」
「なんて呼べば良いですか?」
「ミドルのレイ、もしくはラストのコウ。どちらかで」
そう言われて、トモは、こう返した。
「分かりました。それでは、ミスター・コウ。改めて、今後ともよろしくお願い致します」
レイは、溜息を吐いた。
ふぅ……。
ミスター呼びは辞めろと言ったのに。どうしてもミスターを付けたがるんだな。
と、ミスター……もとい、レイは呟いている。
「あっ、ここに居た。ボスいやドン、時間ですよ」
「ん? カズキか。時間って?」
「音楽の時間だよ」
「えっ、そんな時間なのか。でも、何か食べてから……」
「ダメです」
「えー。まだ何も食ってないのに……」
カズキに引きずられる様にして、トモはパーティー会場から外に連れて行かれた。
「久しぶりだな。フィルに使いをさせていたのだが。まさか、こうなるとはね」
「ご無沙汰しております。私は、ただ興味がないだけです」
ふっ……と鼻で笑ったドンは、側にいるニックを指さして言ってきた。
「そうは言っても、ニックは居るし、シェフにも1人居る。彼らの事は知らないのかな?」
「シェフの事は知りませんでした。ニックの事は、あの時に知って驚きました。あの時は、ニックは私の上司でしたから」
トモは、ニックの方を振り向いて聞く。
「ねえ、ニック。シンガポールに戻りたい?」
ニックの返事は、即答だった。
「いや、戻らない。私は、ここに居たいんだ。さっきドンにも聞かれたが、私の目標はマイナス20キロなんだ」
思わずシンガポール・ドンが口を挟んだ。
「20? ……この半年ほどで、そんなにも太ったのか?」
「ドン。ここは食事が美味しんですよ。それに、正確に言いますとプラス34です。だからこその、マイナス20なんです」
トモは溜息を吐いていた。
「……ダイエット食でも考えるか」
同じく溜息を吐いたシンガポール・ドンは、こう返した。
「ニック……。マイナス30を目標にしろ」
すると、声を掛けられた。
「ニック、お前は太り過ぎだ。家で木登りでもするんだな」
「レイ。お前も付き合ってもらうぞ」
レイは即答だった。
「断る。それに恋人が居れば太らないと思うが……。好きな奴は居ないのか?」
「レイ! 自分は恋人と一緒に住んでるからと言って」
掴みかかろうとしてくるニックを軽くかわし、レイはトモに振り向き言ってきた。
「トモ。私がオファーを掛けた中で、君が一番出世した。今の気分はどうだ?」
トモは即答した。
「ミスター。私の気分は、いつも同じですよ。ただ、今はお腹が空いた。それだけです。実際に、食べ物ブースに行こうとしてたのだから、その途中です」
レイは、しつこく言ってくる。
「トモ」
トモは、そのミスターを遮る。
「ミスター。私はエドワードにも言ったが、自分は煽てられ、それに乗っかる、お飾りの人間ではないです。なったからには、やりきります。ただ、私が受けた苦しみや痛みは、誰にも分からない。
また……、誰にも言いたくはない。
だけど、私には仲間がいる。
ニックもそうだけど、ユタカやカズキに、ワンもそうであるように。
本来は雲の上の人となる位置に属するだろう人も、私の側に居る。
エドワード・ジョンソンに、ドクター・ヒロト。
『ドン』という名称になっても、私の日々の生活は、今まで通りだと思ってます。
何も、変わることは無い。
ミスター。あの頃、私に言ってくれてましたよね。
『君は、リーダーの素質があるね。誰かに指示を出して動かそうという気はないかい?』と。
その時、私が、あなたに返した言葉を、覚えてらっしゃいますか?」
ミスターは頷いてくれたので、トモは続けて言った。
「その大学時代に動いてた連中が、もう一度私の側に来た。皆、昔とは違い、立ち位置も仕事も違う。メンバーも数人ほど違うが……。私は、彼らをこき使います。私に、こき使われて動く事を好む人も居れば、私に文句を言いながらでも動いてくれる人も居る。それに、私を甘えさせてくれる人も居る。
私は彼等に感謝してるが、同時に誇りも持っています」
ミスターは、ポツリと言った。
「君は……、とんでもない王様だな。アメとムチを使い分けてる。俺様なボス、いや、俺様なドンだな……」
トモは、にっこりと微笑んで言い切った。
「俺様、と言って頂けると嬉しいです」
ミスターは口調を変えて言ってきた。
「私はシンガポールを辞めて、ここに戻って来たんだ。ミスター呼びは辞めて貰おう」
「なんて呼べば良いですか?」
「ミドルのレイ、もしくはラストのコウ。どちらかで」
そう言われて、トモは、こう返した。
「分かりました。それでは、ミスター・コウ。改めて、今後ともよろしくお願い致します」
レイは、溜息を吐いた。
ふぅ……。
ミスター呼びは辞めろと言ったのに。どうしてもミスターを付けたがるんだな。
と、ミスター……もとい、レイは呟いている。
「あっ、ここに居た。ボスいやドン、時間ですよ」
「ん? カズキか。時間って?」
「音楽の時間だよ」
「えっ、そんな時間なのか。でも、何か食べてから……」
「ダメです」
「えー。まだ何も食ってないのに……」
カズキに引きずられる様にして、トモはパーティー会場から外に連れて行かれた。
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