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ストーカー女のストーカー
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◯××カフェ店◯ Sight : キリヤ
家の玄関ドアに設置されているポストには、無断で色んなものが投げ込まれる。
スーパーや電気屋などの広告チラシにバイトの求人募集や近くのラーメン屋のクーポン券、ほとんどのものはよく読まれも見られもせずに、即ゴミ箱の中に投入される。
かく言う俺も、それらを即座にゴミ箱に入れる派だ。もちろん必要なものが存在するときもあるため、ひと目見ることだけはしている。
ポストに来る新たなものを、チラ見で見定めては要るか要らないかを分別する。
分別作業員として、ユウノにポストチェックをやらせたいが、あいつの場合必要なものまで捨ててしまったり、何か悪戯を仕掛けたり、普通に忘れてしまったり、任せるには不安要素がありすぎる。
本当にユウノは使えない。
そういうことで、今日もポストの中身をチェックしてみると、一つの白い洋封筒が入っていた。
初めて見る届け物に、中身が何なのか怪訝な面持ちのまま封を開けると、中に入っていたのはーー
『××カフェ店 ドリンク一つ無料券』だった。
どこぞの知らぬカフェ店の無料券、とりあえずスマホでカフェの名前を打って調べてみると、どうやら近くの駅から四つ先にある駅前のカフェ店らしい。
何でそんな所にある店の無料券が家に届くのか。しばし考えてみたが、分からない。
そうして無料券を見て、家のドア前に突っ立っていると、後ろから声を掛けられる。
「ねー、なにみてるの?」
振り向く間も無く、隣に声の主であるユウノがやって来く。俺は無言で、自分の手に持つ無料券をユウノに見せた。
「無料券? こんな名前のカフェ店、うちの近くにあったっけ?」
「電車に乗って、四つ先の場所にあるらしい」
「よっつ先って、そんな遠くからこんな所まで無料券を届けるなんて、よっぽど人が来ないのかな? ……あっ」
無料券をまじまじと見るユウノがその裏を見て、何かに気付いたような声を出した。
「この無料券、期限が今日までだよ」
「そうか、わざわざ今日までの無料券を渡すとか、考えなしもいいとこだな。誰がドリンク飲むためだけに、そんなとこに行くのやら」
俺は××カフェ店がこれを届けたわけではなく、誰かが意図的にこれを届けたと気付いていながら、足を運ぶ気にはなっていなかった。
面倒ごとになりそうな気がしてならない。
無料券を捨てるためユウノの手から取り上げようとすると、掴もうとした手が空を切る。
ユウノが取られないようにと、手を遠ざけたからだ。
「……おい」
「行ってみよう!」
「は?」
「だから今から行ってみよう、このカフェに」
「……なぜ?」
「面白そうだから」
「あっそ。じゃあ、行ってこい」
「おにいさんも行こう。私じゃ場所わかんないし、無料券も使えないし」
「嫌だよ、たかがドリンク一杯のために面倒くさい」
「えー、行こうよ行こうよ行きたいよーー!」
あー、うるさい。
そうやって騒ぐユウノを無視して、俺は部屋に戻った。その後、一度わがままを言い出したユウノはとても厄介だと、俺は思い知った。
家の玄関ドアに設置されているポストには、無断で色んなものが投げ込まれる。
スーパーや電気屋などの広告チラシにバイトの求人募集や近くのラーメン屋のクーポン券、ほとんどのものはよく読まれも見られもせずに、即ゴミ箱の中に投入される。
かく言う俺も、それらを即座にゴミ箱に入れる派だ。もちろん必要なものが存在するときもあるため、ひと目見ることだけはしている。
ポストに来る新たなものを、チラ見で見定めては要るか要らないかを分別する。
分別作業員として、ユウノにポストチェックをやらせたいが、あいつの場合必要なものまで捨ててしまったり、何か悪戯を仕掛けたり、普通に忘れてしまったり、任せるには不安要素がありすぎる。
本当にユウノは使えない。
そういうことで、今日もポストの中身をチェックしてみると、一つの白い洋封筒が入っていた。
初めて見る届け物に、中身が何なのか怪訝な面持ちのまま封を開けると、中に入っていたのはーー
『××カフェ店 ドリンク一つ無料券』だった。
どこぞの知らぬカフェ店の無料券、とりあえずスマホでカフェの名前を打って調べてみると、どうやら近くの駅から四つ先にある駅前のカフェ店らしい。
何でそんな所にある店の無料券が家に届くのか。しばし考えてみたが、分からない。
そうして無料券を見て、家のドア前に突っ立っていると、後ろから声を掛けられる。
「ねー、なにみてるの?」
振り向く間も無く、隣に声の主であるユウノがやって来く。俺は無言で、自分の手に持つ無料券をユウノに見せた。
「無料券? こんな名前のカフェ店、うちの近くにあったっけ?」
「電車に乗って、四つ先の場所にあるらしい」
「よっつ先って、そんな遠くからこんな所まで無料券を届けるなんて、よっぽど人が来ないのかな? ……あっ」
無料券をまじまじと見るユウノがその裏を見て、何かに気付いたような声を出した。
「この無料券、期限が今日までだよ」
「そうか、わざわざ今日までの無料券を渡すとか、考えなしもいいとこだな。誰がドリンク飲むためだけに、そんなとこに行くのやら」
俺は××カフェ店がこれを届けたわけではなく、誰かが意図的にこれを届けたと気付いていながら、足を運ぶ気にはなっていなかった。
面倒ごとになりそうな気がしてならない。
無料券を捨てるためユウノの手から取り上げようとすると、掴もうとした手が空を切る。
ユウノが取られないようにと、手を遠ざけたからだ。
「……おい」
「行ってみよう!」
「は?」
「だから今から行ってみよう、このカフェに」
「……なぜ?」
「面白そうだから」
「あっそ。じゃあ、行ってこい」
「おにいさんも行こう。私じゃ場所わかんないし、無料券も使えないし」
「嫌だよ、たかがドリンク一杯のために面倒くさい」
「えー、行こうよ行こうよ行きたいよーー!」
あー、うるさい。
そうやって騒ぐユウノを無視して、俺は部屋に戻った。その後、一度わがままを言い出したユウノはとても厄介だと、俺は思い知った。
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