××男と異常女共

シイタ

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ストーカー女のストーカー

2-7

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◯××カフェ店◯ Sight : キリヤ


 家の玄関ドアに設置されているポストには、無断で色んなものが投げ込まれる。
 スーパーや電気屋などの広告チラシにバイトの求人募集や近くのラーメン屋のクーポン券、ほとんどのものはよく読まれも見られもせずに、即ゴミ箱の中に投入される。

 かく言う俺も、それらを即座にゴミ箱に入れる派だ。もちろん必要なものが存在するときもあるため、ひと目見ることだけはしている。
 ポストに来る新たなものを、チラ見で見定めては要るか要らないかを分別する。
 分別作業員として、ユウノにポストチェックをやらせたいが、あいつの場合必要なものまで捨ててしまったり、何か悪戯を仕掛けたり、普通に忘れてしまったり、任せるには不安要素がありすぎる。
 本当にユウノあいつは使えない。

 そういうことで、今日もポストの中身をチェックしてみると、一つの白い洋封筒が入っていた。
 初めて見る届け物に、中身が何なのか怪訝な面持ちのまま封を開けると、中に入っていたのはーー

『××カフェ店 ドリンク一つ無料券』だった。

 どこぞの知らぬカフェ店の無料券、とりあえずスマホでカフェの名前を打って調べてみると、どうやら近くの駅から四つ先にある駅前のカフェ店らしい。
 何でそんな所にある店の無料券が家に届くのか。しばし考えてみたが、分からない。
 そうして無料券を見て、家のドア前に突っ立っていると、後ろから声を掛けられる。

「ねー、なにみてるの?」

 振り向く間も無く、隣に声の主であるユウノがやって来く。俺は無言で、自分の手に持つ無料券をユウノに見せた。

「無料券? こんな名前のカフェ店、うちの近くにあったっけ?」

「電車に乗って、四つ先の場所にあるらしい」

「よっつ先って、そんな遠くからこんな所まで無料券を届けるなんて、よっぽど人が来ないのかな? ……あっ」

 無料券をまじまじと見るユウノがその裏を見て、何かに気付いたような声を出した。

「この無料券、期限が今日までだよ」

「そうか、わざわざ今日までの無料券を渡すとか、考えなしもいいとこだな。誰がドリンク飲むためだけに、そんなとこに行くのやら」

 俺は××カフェ店がこれを届けたわけではなく、誰かが意図的にこれを届けたと気付いていながら、足を運ぶ気にはなっていなかった。

 面倒ごとになりそうな気がしてならない。

 無料券を捨てるためユウノの手から取り上げようとすると、掴もうとした手が空を切る。
 ユウノが取られないようにと、手を遠ざけたからだ。

「……おい」

「行ってみよう!」

「は?」

「だから今から行ってみよう、このカフェに」

「……なぜ?」

「面白そうだから」

「あっそ。じゃあ、行ってこい」

「おにいさんも行こう。私じゃ場所わかんないし、無料券も使えないし」

「嫌だよ、たかがドリンク一杯のために面倒くさい」

「えー、行こうよ行こうよ行きたいよーー!」

 あー、うるさい。

 そうやって騒ぐユウノを無視して、俺は部屋に戻った。その後、一度わがままを言い出したユウノはとても厄介だと、俺は思い知った。
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