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王太子視点 せっかく婚約者が許してくれたのに、聖女が邪魔してくれました
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翌朝一番で俺は母に黙ってクラリスの元に謝りに行ったのだ。
本来ならば花束を持って行くべきだと思ったが、クラリスの機嫌をとるのは花よりイチゴだ。
俺は王宮の庭師や料理長に頼み込んで、特別な魔道具で育てた多くのイチゴとデコレーションケーキを持って行ったのだ。
公爵や兄のセドリックが驚いていたが、なりふり構っていられなかった。
「二度と王太子殿下とは会いたくないわ」
廊下にクラリスの怒り声が響いていた。
これは駄目だ。相当怒っている。
でも、なんとしてでも、機嫌を直してもらわないと。
何しろクラリスのクラスには隣国の女たらし王子のマクシミリアンがいるのだ。
「クラリス! 頼む。俺が悪かった!」
俺は必死に叫んでいた。
「お兄様。私は絶対に王太子殿下とは会いません!」
頑ななクラリスをセドリックに頼み込んで、なんとか食堂まで連れてきてもらった。
「クラリス、昨日は本当に申し訳なかった」
俺は食堂に降りてきたクラリスを見つけるやいなや飛んで行って、なりふり構わずに頭を下げたのだ。
公爵やセドリックが驚いていたが、もはやプライドも何もあったものではなかった。
「王太子殿下。人前で頭を下げるなんておやめ下さい」
クラリスは怒って行こうとして、足をもつれさせていた。
「キャッ」
そのまま俺の胸の中に倒れ込んでくれたのだ。
「良かった、クラリス! 許してくれるんだ」
地面に倒れ込んだクラリスを俺は抱きしめていた。こんなに上手くいくなんて思ってもいなかった。
「ちょっと、殿下、朝から何をしてくれているんですか」
「そうだ。俺の前で妹を抱きしめるのはやめてください!」
公爵とセドリックが怒ってきたが、ここは引き下がるわけにはいかない。
俺は嫌がっているクラリスを思いっきり抱きしめていた。
その後食事の席に着いたが、当然の如くまだ、クラリスは怒っていた。
こうなれば最後の手段だ。俺はイチゴをクラリスに食べさせたのだ。
反論するまもなく。
次々に!
いつもの餌付け作戦だ。
会うたびに食べさせていたので、当たり前になっていた。
公爵とセドリックは苦々しく見ていたが、俺は強引に強行した。
クラリスは仕方なさそうに全部食べてくれた。
成功だった。
「さあ、クラリス、一緒に学園に行こう」
「えっ、殿下、私はまだ、殿下を許したわけではないんですけど」
「なら、なおさら、クラリスから離れるわけにはいかないな」
俺は強引にクラリスを俺の馬車に乗せたのだ。
そして、更に謝ったのだ。
「でも、笑顔でしたよ。私の時はいつも不機嫌そうな顔していますけれど」
クラリスは俺が聖女といると笑顔だと言い出したのだ。クラリスに対しては不機嫌そうな顔しかしていないと。
いや、ちょっと待って!
「不機嫌そうな顔って、それが俺の素顔だ」
俺は不機嫌になりながら仕方なしに白状したのだ。
「はい?」
クラリスはきょとんとしていた。その顔も可愛い。思わず抱きしめそうになって、我慢した。
「不機嫌そうな顔は俺の素顔だ。ニコニコ笑っているのは愛想笑いだ。クラリスもロッテンマイエルに指導されただろう。王家の笑みって言うのを。あれは愛想笑いで、決して楽しいわけじゃない!」
俺はきちんとクラリスに説明したのだ。
仕方なしに、聖女といるのだ。それを楽しそうにしているとクラリスにだけは言われたくなかった。
「こうやってクラリスと一緒にいる時が一番心安まるんだ」
「でも、昨日は聖女様と楽しそうに話していたから、私は悲しくて」
クラリスが涙目になる。
こんな顔をさせたのが俺だと思うと俺は自分を殴りたくなった。
「申し訳なかった。クラリス。母はお前とさっさと結婚させてほしかったら聖女を大切に扱えとか訳の判らないことを言ってきたんだ。だから聖女が朝一に挨拶に来てそのまま王宮に連れて行けと皆が言うからやむを得ず連れて行ったんだ。それが下手な誤解を皆に与えて本当に申し訳なかった」
俺は心の底から頭を下げたのだ。
母の言う事なんて元々聞くべきではなかったのだ。
この国には別に聖女なんて必要はない。俺にはクラリスさえいれば十分だった。
「「「キャーーーー!」」」
そのまま馬車を降りると騒ぎ立てられるのはいつものことだった。
でも今日からは俺は婚約者を連れて降りるのだ。
「クラリス、行くぞ」
俺はクラリスの手を引いて馬車から降ろした。
「だれ、あの地味な子は?」
「あれよ。あれ。王太子殿下の婚約者の」
「確か、ロワール公爵家のご令嬢だと」
「でも、本当に地味よね」
「でも、エミール様。あの子の手を引いているわよ」
「それも、恋人つなぎよ」
「嘘、信じられない!」
女達の悲鳴が響いた。
それと男達もクラリスを見ている。
俺は満面の笑みを浮かべて男達を牽制したのだ。
クラリスに手を出したら殺すと!
特に遠くからこちらを見ていたマクシミリアンにガンを飛ばしてやったのだ。
マクシミリアンは苦笑していたが、これ位では駄目だ。もっと牽制しないと。
しかし、俺にはそれ以上の災難が待っていた。
「エミール様!」
後ろから声がしてアニエスが走ってきたのだ。
こいつ、俺が婚約者と二人で仲良く歩いている時に、男の名前呼びながら駆け寄ってくるか?
さすが空気を読まない聖女だ。
俺は取りあえず、クラリスを後ろにかくまったのだ。
でも、なんと駆けて来たアニエスはそのまま俺様に抱きつこうとしてくれた。
俺はそれを左手を突き出して止めようとしたのだ。
そうしたらり何とアニエスは俺の左手に自分の胸を押しつけてきたのだ。
「キャッ」
「「えっ?」」
俺の手はアニエスの大きな胸をむにゅっと掴む形になっていた。
ちょっと待て!
俺に何をさせるんだ。
女の胸を揉んだ事なんて無かった。
俺は一瞬頭が真っ白になった。
「キャッ、エミール様って大胆です。でも、もっともんでくれていいですよ」
そう喜ぶと両手で俺の手を更に自分の胸に押しつけてくれたのだ。
こいつは痴女か?
「おい、やめろ! アニエス!」
俺は狼狽して手を引こうとするが、アニエスはぎゅっと俺の手を掴んで離してくれなかった。
「いや、クラリスこれは違うぞ」
俺はクラリスの方を振り向いて言い訳したが、クラリスが完全に切れているのが判った。
これはやばい!
慌てた俺はアニエスの胸から手を無理矢理引っ張って離そうとした。
でも、アニエスは俺にそのまま抱きついてくれたのだ。
「えっ?」
半分クラリスを見ていた俺は体勢を崩してそのままアニエスに押し倒されたのだ。
「エミール様! 強引なエミール様も好きです」
「いや、違うぞ、クラリス」
俺の言い訳をクラリスは無視して歩き去ったのだ。
何でこうなる?
この糞聖女め!
それよりも俺から離れろ!
俺は必死にアニエスを引き離そうとしたが、この女は万力のような力で俺から離れようとしなかったのだ。
そうこうするうちにやってきたロッテンマイエルに捕まって、延々怒られることになってしまったのだ。
******************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
エミール視点でした。
非常識な聖女の前に常識人の二人は対抗できません。
エミールとクラリスの仲はどうなる?
次からクラリス視点に戻ります。
本来ならば花束を持って行くべきだと思ったが、クラリスの機嫌をとるのは花よりイチゴだ。
俺は王宮の庭師や料理長に頼み込んで、特別な魔道具で育てた多くのイチゴとデコレーションケーキを持って行ったのだ。
公爵や兄のセドリックが驚いていたが、なりふり構っていられなかった。
「二度と王太子殿下とは会いたくないわ」
廊下にクラリスの怒り声が響いていた。
これは駄目だ。相当怒っている。
でも、なんとしてでも、機嫌を直してもらわないと。
何しろクラリスのクラスには隣国の女たらし王子のマクシミリアンがいるのだ。
「クラリス! 頼む。俺が悪かった!」
俺は必死に叫んでいた。
「お兄様。私は絶対に王太子殿下とは会いません!」
頑ななクラリスをセドリックに頼み込んで、なんとか食堂まで連れてきてもらった。
「クラリス、昨日は本当に申し訳なかった」
俺は食堂に降りてきたクラリスを見つけるやいなや飛んで行って、なりふり構わずに頭を下げたのだ。
公爵やセドリックが驚いていたが、もはやプライドも何もあったものではなかった。
「王太子殿下。人前で頭を下げるなんておやめ下さい」
クラリスは怒って行こうとして、足をもつれさせていた。
「キャッ」
そのまま俺の胸の中に倒れ込んでくれたのだ。
「良かった、クラリス! 許してくれるんだ」
地面に倒れ込んだクラリスを俺は抱きしめていた。こんなに上手くいくなんて思ってもいなかった。
「ちょっと、殿下、朝から何をしてくれているんですか」
「そうだ。俺の前で妹を抱きしめるのはやめてください!」
公爵とセドリックが怒ってきたが、ここは引き下がるわけにはいかない。
俺は嫌がっているクラリスを思いっきり抱きしめていた。
その後食事の席に着いたが、当然の如くまだ、クラリスは怒っていた。
こうなれば最後の手段だ。俺はイチゴをクラリスに食べさせたのだ。
反論するまもなく。
次々に!
いつもの餌付け作戦だ。
会うたびに食べさせていたので、当たり前になっていた。
公爵とセドリックは苦々しく見ていたが、俺は強引に強行した。
クラリスは仕方なさそうに全部食べてくれた。
成功だった。
「さあ、クラリス、一緒に学園に行こう」
「えっ、殿下、私はまだ、殿下を許したわけではないんですけど」
「なら、なおさら、クラリスから離れるわけにはいかないな」
俺は強引にクラリスを俺の馬車に乗せたのだ。
そして、更に謝ったのだ。
「でも、笑顔でしたよ。私の時はいつも不機嫌そうな顔していますけれど」
クラリスは俺が聖女といると笑顔だと言い出したのだ。クラリスに対しては不機嫌そうな顔しかしていないと。
いや、ちょっと待って!
「不機嫌そうな顔って、それが俺の素顔だ」
俺は不機嫌になりながら仕方なしに白状したのだ。
「はい?」
クラリスはきょとんとしていた。その顔も可愛い。思わず抱きしめそうになって、我慢した。
「不機嫌そうな顔は俺の素顔だ。ニコニコ笑っているのは愛想笑いだ。クラリスもロッテンマイエルに指導されただろう。王家の笑みって言うのを。あれは愛想笑いで、決して楽しいわけじゃない!」
俺はきちんとクラリスに説明したのだ。
仕方なしに、聖女といるのだ。それを楽しそうにしているとクラリスにだけは言われたくなかった。
「こうやってクラリスと一緒にいる時が一番心安まるんだ」
「でも、昨日は聖女様と楽しそうに話していたから、私は悲しくて」
クラリスが涙目になる。
こんな顔をさせたのが俺だと思うと俺は自分を殴りたくなった。
「申し訳なかった。クラリス。母はお前とさっさと結婚させてほしかったら聖女を大切に扱えとか訳の判らないことを言ってきたんだ。だから聖女が朝一に挨拶に来てそのまま王宮に連れて行けと皆が言うからやむを得ず連れて行ったんだ。それが下手な誤解を皆に与えて本当に申し訳なかった」
俺は心の底から頭を下げたのだ。
母の言う事なんて元々聞くべきではなかったのだ。
この国には別に聖女なんて必要はない。俺にはクラリスさえいれば十分だった。
「「「キャーーーー!」」」
そのまま馬車を降りると騒ぎ立てられるのはいつものことだった。
でも今日からは俺は婚約者を連れて降りるのだ。
「クラリス、行くぞ」
俺はクラリスの手を引いて馬車から降ろした。
「だれ、あの地味な子は?」
「あれよ。あれ。王太子殿下の婚約者の」
「確か、ロワール公爵家のご令嬢だと」
「でも、本当に地味よね」
「でも、エミール様。あの子の手を引いているわよ」
「それも、恋人つなぎよ」
「嘘、信じられない!」
女達の悲鳴が響いた。
それと男達もクラリスを見ている。
俺は満面の笑みを浮かべて男達を牽制したのだ。
クラリスに手を出したら殺すと!
特に遠くからこちらを見ていたマクシミリアンにガンを飛ばしてやったのだ。
マクシミリアンは苦笑していたが、これ位では駄目だ。もっと牽制しないと。
しかし、俺にはそれ以上の災難が待っていた。
「エミール様!」
後ろから声がしてアニエスが走ってきたのだ。
こいつ、俺が婚約者と二人で仲良く歩いている時に、男の名前呼びながら駆け寄ってくるか?
さすが空気を読まない聖女だ。
俺は取りあえず、クラリスを後ろにかくまったのだ。
でも、なんと駆けて来たアニエスはそのまま俺様に抱きつこうとしてくれた。
俺はそれを左手を突き出して止めようとしたのだ。
そうしたらり何とアニエスは俺の左手に自分の胸を押しつけてきたのだ。
「キャッ」
「「えっ?」」
俺の手はアニエスの大きな胸をむにゅっと掴む形になっていた。
ちょっと待て!
俺に何をさせるんだ。
女の胸を揉んだ事なんて無かった。
俺は一瞬頭が真っ白になった。
「キャッ、エミール様って大胆です。でも、もっともんでくれていいですよ」
そう喜ぶと両手で俺の手を更に自分の胸に押しつけてくれたのだ。
こいつは痴女か?
「おい、やめろ! アニエス!」
俺は狼狽して手を引こうとするが、アニエスはぎゅっと俺の手を掴んで離してくれなかった。
「いや、クラリスこれは違うぞ」
俺はクラリスの方を振り向いて言い訳したが、クラリスが完全に切れているのが判った。
これはやばい!
慌てた俺はアニエスの胸から手を無理矢理引っ張って離そうとした。
でも、アニエスは俺にそのまま抱きついてくれたのだ。
「えっ?」
半分クラリスを見ていた俺は体勢を崩してそのままアニエスに押し倒されたのだ。
「エミール様! 強引なエミール様も好きです」
「いや、違うぞ、クラリス」
俺の言い訳をクラリスは無視して歩き去ったのだ。
何でこうなる?
この糞聖女め!
それよりも俺から離れろ!
俺は必死にアニエスを引き離そうとしたが、この女は万力のような力で俺から離れようとしなかったのだ。
そうこうするうちにやってきたロッテンマイエルに捕まって、延々怒られることになってしまったのだ。
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ここまで読んで頂いてありがとうございました。
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非常識な聖女の前に常識人の二人は対抗できません。
エミールとクラリスの仲はどうなる?
次からクラリス視点に戻ります。
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