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第五部 小国フィーアネンの試練編
【これラノ2023ノミネート記念】ある子爵家当主の謀 フランの宝剣で天罰が下りました
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私はバリエ子爵だ。
この北方の国境地方、バリエ地方では最大の領主だ。昔は伯爵だったそうだが、数代前の先祖が罪を負って子爵に降爵されたのだ。周りの子爵領や男爵領は元々我が領地だったのだ。その主の子爵共が我が物顔で私に接してくるのが私には許せなかった。時が時ならば伯爵様と尊ばれているはずなのに、子爵風情と並ばれてしまうとは……
元々伯爵家の領都だったバリエは人口も3万人を超えて、国境近くにあって隣国との交易の中心地として、このあたりでは一番栄えていた。王都には流石に敵わないが、田舎公爵のルブラン公爵の領都よりは栄えていたのだ。元々伯爵領の領都だったのだから当然だが……。だから普通の子爵領と比べても規模が大きかった。その分収めるのも大変なのだ。費用も色々とかかる。
そんな我が家の悲願は伯爵位に返り咲くことだった。今回のグロヴレ侯爵からの誘いに乗ったのも、全ては伯爵位に返り咲くためだったのだ。
その侯爵の反逆が潰されたとの報で私は焦っていた。
一緒に立ち上がる予定だったので、付近の領主にも色々と手を伸ばしていたのだ。
王家に忠義一筋だったアベラール男爵家が、帝国の侵略の手先の帝国教の司祭のアヒム・オドランの奸計に引っかかって籠絡されたと知って、私は男爵家に向かった。
私は場合によっては周りの諸家と共に、このまま、エルグラン王国を抜けて帝国領になるしかないと考えていた。
「これはこれは子爵様。ようこそお越しいただきました」
胸に十字架の首飾りを付けたアベラール男爵が頭を下げて迎えてくれた。
「これは男爵、丁重な出迎え痛み入りますな。お体は大丈夫ですか?」
「はい、これも、子爵様が派遣して頂いた司祭のオドラン様のおかげです」
男爵は今までの冷たい態度が嘘のようにとても私に親しみを寄せてくれていた。
「いやいや、これも全て神のお導きです。男爵家の皆さまが敬虔な信徒で良かった」
オドランが胡散臭い笑みを浮かべて答えていた。
「いやいや、これもそれも司祭様の奇跡のお力のおかげです」
「何を言われるか。奇跡は神を信じていただかなないと発揮されないのです。それだけ皆様が神を信じていただいているからここまで効いたのです」
さすが帝国教のペテンだ。ここまでうまくやってくれるとは思ってもいなかった。
そう言うと意味ありげにオドランは私の方を見てきた。
これでもう、男爵は俺のことを聞いてくれるはずだ。
神の予言でエルグラン王家を見捨てよと告げさせればよいのだ。
神が破門した不信心なルブラン家を重用しているエルグラン王家を見捨て、神を崇める帝国の下に馳せ参じよと。そうでないと再びこの地に疫病が流行るだろうと言わせればいいだけの話だった。
「王家からは今回の疫病に対して医者などを派遣して頂けたのですかな」
私は聞いてやったのだ。
「いや、そう言う事はまだ」
控えめに男爵が答えてくれた。
「なんとも遅いことですな。本来ならばすぐに対策して頂けなければならないのに。そのために我々は税を王家にお納めしているのですぞ」
私が少し文句を言ってみる。
「まあ、王家も今は氾濫の後片付けで、色々お忙しいのでしょう」
男爵がまだ王家の肩を持って言ってきた。
「男爵様。王家の仕事は疫病などが流行った時に即座にその病の処置をして民を助けることではありませんかな」
オドランが横から援護して言ってくれた。
「それはそうですが」
「配下の領主が困った時に即座に手を差し伸べてくれる者こそ、真の王家、配下の咎を見つけて罰するだけが王家の役割ではないのではありませんか。そのような民を民とも思わぬ行いをしていると王家と言えども因果応報で、必ず天罰が下りましょう」
私は少しオドランが言い過ぎたと思ったのだ。まあ、男爵をこちらに引き込むための言葉の綾だとは思ったが、あくどいことをしているのはこちらだし……
そう、思った時だ。
「ギャーーーー」
突然オドランが胸を押さえて、この世の終わりのような悲鳴をあげたのだ。
そして、オドランは叫び終えるとばたりと倒れたのだ。泡を吹いて。
体中から黒い煙を漂わせていた。
私達は唖然としてオドランを見ているしかなかったのだ。
**************************************************
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
『次にくるライトノベル大賞2023』にノミネートされた当物語。
https://tsugirano.jp/
投票は明日6日の17時59分まで
投票まだの方は是非ともよろしくお願いします!
ノミネートの場所は上から5番目です。
古里
この北方の国境地方、バリエ地方では最大の領主だ。昔は伯爵だったそうだが、数代前の先祖が罪を負って子爵に降爵されたのだ。周りの子爵領や男爵領は元々我が領地だったのだ。その主の子爵共が我が物顔で私に接してくるのが私には許せなかった。時が時ならば伯爵様と尊ばれているはずなのに、子爵風情と並ばれてしまうとは……
元々伯爵家の領都だったバリエは人口も3万人を超えて、国境近くにあって隣国との交易の中心地として、このあたりでは一番栄えていた。王都には流石に敵わないが、田舎公爵のルブラン公爵の領都よりは栄えていたのだ。元々伯爵領の領都だったのだから当然だが……。だから普通の子爵領と比べても規模が大きかった。その分収めるのも大変なのだ。費用も色々とかかる。
そんな我が家の悲願は伯爵位に返り咲くことだった。今回のグロヴレ侯爵からの誘いに乗ったのも、全ては伯爵位に返り咲くためだったのだ。
その侯爵の反逆が潰されたとの報で私は焦っていた。
一緒に立ち上がる予定だったので、付近の領主にも色々と手を伸ばしていたのだ。
王家に忠義一筋だったアベラール男爵家が、帝国の侵略の手先の帝国教の司祭のアヒム・オドランの奸計に引っかかって籠絡されたと知って、私は男爵家に向かった。
私は場合によっては周りの諸家と共に、このまま、エルグラン王国を抜けて帝国領になるしかないと考えていた。
「これはこれは子爵様。ようこそお越しいただきました」
胸に十字架の首飾りを付けたアベラール男爵が頭を下げて迎えてくれた。
「これは男爵、丁重な出迎え痛み入りますな。お体は大丈夫ですか?」
「はい、これも、子爵様が派遣して頂いた司祭のオドラン様のおかげです」
男爵は今までの冷たい態度が嘘のようにとても私に親しみを寄せてくれていた。
「いやいや、これも全て神のお導きです。男爵家の皆さまが敬虔な信徒で良かった」
オドランが胡散臭い笑みを浮かべて答えていた。
「いやいや、これもそれも司祭様の奇跡のお力のおかげです」
「何を言われるか。奇跡は神を信じていただかなないと発揮されないのです。それだけ皆様が神を信じていただいているからここまで効いたのです」
さすが帝国教のペテンだ。ここまでうまくやってくれるとは思ってもいなかった。
そう言うと意味ありげにオドランは私の方を見てきた。
これでもう、男爵は俺のことを聞いてくれるはずだ。
神の予言でエルグラン王家を見捨てよと告げさせればよいのだ。
神が破門した不信心なルブラン家を重用しているエルグラン王家を見捨て、神を崇める帝国の下に馳せ参じよと。そうでないと再びこの地に疫病が流行るだろうと言わせればいいだけの話だった。
「王家からは今回の疫病に対して医者などを派遣して頂けたのですかな」
私は聞いてやったのだ。
「いや、そう言う事はまだ」
控えめに男爵が答えてくれた。
「なんとも遅いことですな。本来ならばすぐに対策して頂けなければならないのに。そのために我々は税を王家にお納めしているのですぞ」
私が少し文句を言ってみる。
「まあ、王家も今は氾濫の後片付けで、色々お忙しいのでしょう」
男爵がまだ王家の肩を持って言ってきた。
「男爵様。王家の仕事は疫病などが流行った時に即座にその病の処置をして民を助けることではありませんかな」
オドランが横から援護して言ってくれた。
「それはそうですが」
「配下の領主が困った時に即座に手を差し伸べてくれる者こそ、真の王家、配下の咎を見つけて罰するだけが王家の役割ではないのではありませんか。そのような民を民とも思わぬ行いをしていると王家と言えども因果応報で、必ず天罰が下りましょう」
私は少しオドランが言い過ぎたと思ったのだ。まあ、男爵をこちらに引き込むための言葉の綾だとは思ったが、あくどいことをしているのはこちらだし……
そう、思った時だ。
「ギャーーーー」
突然オドランが胸を押さえて、この世の終わりのような悲鳴をあげたのだ。
そして、オドランは叫び終えるとばたりと倒れたのだ。泡を吹いて。
体中から黒い煙を漂わせていた。
私達は唖然としてオドランを見ているしかなかったのだ。
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ここまで読んでいただいてありがとうございます。
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