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第五部 小国フィーアネンの試練編
魔力でやっつけようと思ったのに飛んで来たエクちゃんが勝手に敵をやっつけてくれました
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パリン
私の魔封じの腕輪が割れた。
やった!
やっと私の魔術が使える。私が歓喜に震えた瞬間だった。
体中に魔力を感じる。もう、私を縛る枷はなくなったのだ。これで我慢しなくてすむ。
「者ども見たか! 今まで我々の攻撃を防いでいたあの小娘の魔道具が壊れたぞ。今がチャンスだ! 攻撃しろ!」
カス国王が全く見当違いの事を叫んでいる。何考えているんだか? 私の魔封じの腕輪が壊れたのだ。普通は全軍撤退を命じるタイミングなのに、そこで攻撃を命じるなんて本当に馬鹿だ。
まあ、私はその方が嬉しいけれど。
「全軍突撃!」
「行けーーーー!」
「ウォーーーー!」
凄まじい雄たけびを上げて敵は全軍突撃してきた。
普通は見るものが見たら恐怖を感じただろう。
しかし、わがルブランの騎士にとっては普通の光景だった。
まあ、相手は普通は魔物の大群だったが……
そう、それはまさしく血湧き肉躍る瞬間なのだ。
ここからやるぞ! 私は剣を捨てた。
「おおおお、剣を捨てるなど、ついにやる気が失せたか。しかし、もう遅いわ」
遠くでカス王の的外れな言葉が聞こえた。
本当に馬鹿だ。
魔術を全力で使うのに邪魔だから剣を捨てただけなのに……
「フラン、少しは手加減をしろよ」
アドが後ろから忠告してくれるけど、
「ええええ! 我慢しなくちゃだめ?」
私が文句を言うと、
「下手にフランが全力でやると、この国自体が消滅するからな」
「そこは判っているわよ」
私を何だと思っているのよ。そこは考えるわよ。
取り敢えず、魔力の全力攻撃は止めて、そうだ、爆裂魔術にしよう。
私は考えていたことを変更して前面に爆裂魔術を放射状に放とうとした。これなら被害は多くない。
少なくとも他の都市に被害が及ぶことはないだろう。
これでバイエフェルト軍の進撃は止まるはずだ。
これだけじゃ全滅はしないと思うけど、半減はするはずだ。
最後のとどめは光の一撃か何かで良いだろう。
私がそう考えた時だ。
「ん?」
私は何かが飛んで来たのを感知した。
この感じは今まで欲しかったのに、来なかったエクちゃんだ。
ちょっと来るのが遅すぎなんじゃないの?
このタイミングで飛んでくるなんて!
私は少しむっとした。
エクちゃんのソニックブレードで殲滅するよりも、私は魔術をぶっぱなしたい気分だったのだ。今まで封じられていて散々我慢させられたのだ。
いっそ無視しようか、とも思ったが、エクちゃんが気分を害するのも良くない。
仕方がないから受け取るだけは受け取ろうと思ったのだ。
「見ろ! 小娘が茫然としているぞ! 今こそ打ち取るのじゃ」
カス王が叫んでいる。
馬鹿はほっておこう。
私は無視することにして右手を上に上げたのだ。
「者ども、やれ、やるの……ギャッ」
飛んで来たエクちゃんはそう叫んでいるカス王の後頭部に激突、カス王を地面に激突させたのだ。
うん、これはよくやったと誉めてやろう。その時までは私はご機嫌だった。
そして、そのまま、エクちゃんはくるくる回転して私の手に収まったのだ。
「フラン、障壁だ!」
「えっ?」
アドの切羽詰まった声と同時に凄まじい衝撃が私達を襲ったのだ。
私はそれを感知すると同時に私から後ろに被害が及ばないように障壁を張った。
ズカーーーーーーン
凄まじい爆発が起こる。
私は何が起こったかその瞬間には理解できなかった。
私の完璧を誇る障壁も衝撃を受けて大きく揺れたのだ。
凄まじい粉塵が舞い上がり何も見えなくなった。
どれだけ経ったろうか。粉塵が消え去った後には、もう一つの巨大なクレーターが開いていたのだ。
バイエフェルト王国軍は殲滅されていたのだ。
少なくとも立っている者は一人もいなかった。
私は何が起こった理解できなかった。
「凄まじいソニックブレードだったな」
アドが驚いて言ってくれた。
そして、私の手の中でエクちゃんが燦然と輝いていたんだけど……
エクちゃんは自慢気に輝いていた。
後でみんなに聞いた話では、私にすぐ来いと怒られたエクちゃんが光速に近い速さで飛んで来たらしい。当然そんな速さで飛べば衝撃波が起こる。
その通った跡には草木も残らないほど破壊されたらしい。
最もエクちゃんも少しは考えたみたいで、被害はバイエフェルトの王都からここまでの一直線上だけだったらしいが……
おそらくエクちゃんは大気の影響を受けない成層圏から落ちて来て、ご丁寧にもバイエフェルトの王都をその衝撃波で壊滅させてここまで飛んできてくれたらしい。
そして、敵軍を殲滅させてくれたのだ。
「ええええ! ちょっとエクちゃん何してくれるのよ! せっかくこれからやろうとしていたのに!
私が暴れようとしたのに、勝手に私の獲物取り上げてくれたこの責任どうしてくれるのよ」
私の叫び声にも、当然エクちゃんは何の反応もしてくれなかった……
*******************************************************
暴れようとしていたフランは暴れられませんでした……
ブックマーク、評価まだの方はして頂けたら嬉しいです!
この話の第一巻が全国の書店で好評発売中です。
詳しくはこの下10センチくらいのところに表紙のリンク貼っています
私の魔封じの腕輪が割れた。
やった!
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「全軍突撃!」
「行けーーーー!」
「ウォーーーー!」
凄まじい雄たけびを上げて敵は全軍突撃してきた。
普通は見るものが見たら恐怖を感じただろう。
しかし、わがルブランの騎士にとっては普通の光景だった。
まあ、相手は普通は魔物の大群だったが……
そう、それはまさしく血湧き肉躍る瞬間なのだ。
ここからやるぞ! 私は剣を捨てた。
「おおおお、剣を捨てるなど、ついにやる気が失せたか。しかし、もう遅いわ」
遠くでカス王の的外れな言葉が聞こえた。
本当に馬鹿だ。
魔術を全力で使うのに邪魔だから剣を捨てただけなのに……
「フラン、少しは手加減をしろよ」
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「ええええ! 我慢しなくちゃだめ?」
私が文句を言うと、
「下手にフランが全力でやると、この国自体が消滅するからな」
「そこは判っているわよ」
私を何だと思っているのよ。そこは考えるわよ。
取り敢えず、魔力の全力攻撃は止めて、そうだ、爆裂魔術にしよう。
私は考えていたことを変更して前面に爆裂魔術を放射状に放とうとした。これなら被害は多くない。
少なくとも他の都市に被害が及ぶことはないだろう。
これでバイエフェルト軍の進撃は止まるはずだ。
これだけじゃ全滅はしないと思うけど、半減はするはずだ。
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私がそう考えた時だ。
「ん?」
私は何かが飛んで来たのを感知した。
この感じは今まで欲しかったのに、来なかったエクちゃんだ。
ちょっと来るのが遅すぎなんじゃないの?
このタイミングで飛んでくるなんて!
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馬鹿はほっておこう。
私は無視することにして右手を上に上げたのだ。
「者ども、やれ、やるの……ギャッ」
飛んで来たエクちゃんはそう叫んでいるカス王の後頭部に激突、カス王を地面に激突させたのだ。
うん、これはよくやったと誉めてやろう。その時までは私はご機嫌だった。
そして、そのまま、エクちゃんはくるくる回転して私の手に収まったのだ。
「フラン、障壁だ!」
「えっ?」
アドの切羽詰まった声と同時に凄まじい衝撃が私達を襲ったのだ。
私はそれを感知すると同時に私から後ろに被害が及ばないように障壁を張った。
ズカーーーーーーン
凄まじい爆発が起こる。
私は何が起こったかその瞬間には理解できなかった。
私の完璧を誇る障壁も衝撃を受けて大きく揺れたのだ。
凄まじい粉塵が舞い上がり何も見えなくなった。
どれだけ経ったろうか。粉塵が消え去った後には、もう一つの巨大なクレーターが開いていたのだ。
バイエフェルト王国軍は殲滅されていたのだ。
少なくとも立っている者は一人もいなかった。
私は何が起こった理解できなかった。
「凄まじいソニックブレードだったな」
アドが驚いて言ってくれた。
そして、私の手の中でエクちゃんが燦然と輝いていたんだけど……
エクちゃんは自慢気に輝いていた。
後でみんなに聞いた話では、私にすぐ来いと怒られたエクちゃんが光速に近い速さで飛んで来たらしい。当然そんな速さで飛べば衝撃波が起こる。
その通った跡には草木も残らないほど破壊されたらしい。
最もエクちゃんも少しは考えたみたいで、被害はバイエフェルトの王都からここまでの一直線上だけだったらしいが……
おそらくエクちゃんは大気の影響を受けない成層圏から落ちて来て、ご丁寧にもバイエフェルトの王都をその衝撃波で壊滅させてここまで飛んできてくれたらしい。
そして、敵軍を殲滅させてくれたのだ。
「ええええ! ちょっとエクちゃん何してくれるのよ! せっかくこれからやろうとしていたのに!
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