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第五部 小国フィーアネンの試練編
親しくない伯爵家のお茶会でいきなりガマガエルが現れました
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イサ伯爵令嬢の家は当然カトリーナの家よりも小さかったが、それ程大きくは変わらなかった。裕福な伯爵家なのだろう。
「カトリーナ・ハルスカンプ公爵令嬢様とフランソワーズ・デ・ブリュネ男爵令嬢様ですね」
伯爵家の執事が出迎えてくれた。
でも、普通は格上の侯爵家の令嬢が来るんだから、今回の主人にあたる伯爵令嬢自から出迎えろよ、と私は少しムッとした。
そして案内された席では既に4人の令嬢がお茶会を始めていたんだけど、主客が来る前に始めているなんて、信じられない。何しろ今日の出席者で一番位が高いのはカトリーナなんだから。
そのカトリーナが歩いてくるのを見て、慌てて一人の女の子が立ち上がった。
それを見て、残りの三人がやっと立ち上がってくれたんだけど、こいつら、信じられない。やっぱり大人しい伯爵家の令嬢なんていなかったのだ。
いきなりやっちゃって良い?
私がカトリーナの方を向くとカトリーナが軽く首を振ってくれた。
まあ、やっつけるのは今日の用件を聞いてからでも良いか。この調子だとろくなことではないのは確定したけど。
「これはカトリーナ様、良くいらっしゃいました」
イサとおぼしきものが頭を下げた。
「イサ様。今日はお招き頂きありがとうございます。それと今日は友達のフランソワーズ・デ・ブリュネ男爵令嬢を連れて来ました」
カトリーナが紹介してくれた。
「フランソワーズ・デ・ブリュネです。宜しくお願いします」
私は全員に頭を軽く下げたのだ。
「初めまして。イサ・ケルクドリールよ。私、男爵家のご令嬢を自分の家にお招きするのははじめてなの。失礼があったら御免なさいね」
イサが何か言ってくれるんだけど。
失礼があったら許して欲しいと言うこと自体が失礼なんじゃない?
「子爵家のデボラ・ロヘムです」
「私も子爵家のトゥーナ・ハウムです」
この二人は私より立場が上なのを強調するように子爵と言うところを強調してくれるんだけど。
「私、イサ様方に贔屓にして頂いている商人の娘、マノン・ヘンボスです。平民の娘ですので、本来はこのような場にいるのはふさわしくないのですが……」
「良いのよ。マノンは。最新の南部の流行を私達に教えてくれているのだから」
イサがそう言うが、お前が許可するなよと私は言いたかった。
「そうでしょ。カトリーナ様」
「私は別に問題無くてよ」
カトリーナは頷くんだけど本当に甘いのだ。
私もまさか商人の娘が、お茶会にいるとは思わなかった。まあ、私自身が貴族か平民かわからないから別に良いんだけど。
私達の困惑を無視して早速私たちのお茶にも、香ばしい香りのお茶が入れられた。お茶は普通に美味しいみたいで良かった。
「それで、フランソワーズさん、私はデ・ブリュネなんて男爵家聞いた事もないんだけど、どちらの領地なの」
早速イサが聞いてきた。
「領地は無いんです」
私は無難に答えていた。
「まあ、そうなの? 領地の無い男爵家なんてはじめてお聞きしましたわ」
「じゃあ、日頃の糧はどうやって生活していらっしゃるの?」
「ひょっとして、平民に混じってお仕事していらっしゃるのかしら」
ムカつくことを三人の貴族令嬢達は言ってくれるんだけど。
私が反論しようとしたら、
「デ・ブリュネ男爵家はエルグランのルブラン公爵家と繋がりがあるとお伺いしたことがありますわ」
なんと、商人の娘のマノンが助け舟を出してくれた。
「えっ、あの武のルブランと」
少し驚いて、イサが聞いてきた。
やはりルブランの名前はこの国でも知られているみたいだ。この家を詐称するのは不味かったのでは? そこはあまり触れられたくないんだけど。
「ええ、まあ」
私は適当に言葉を濁した。
「そういえば、そのルブラン家のご令嬢が、海賊退治したミュージカルが、今、南の方では流行っているそうですわ」
マノンが話題を少し変えてくれた。
「ああ、あの『ターザン』とか言うミュージカルよね」
デボラが食いついてきたんだけど、私はその題名が何故かとても恥ずかしかったんだけど何でだろう?
何か彼女らの話によると、この国の貴族の子女の流行の最先端はこの大陸の南部の国々で、その中心は南の大国エルグラン王国らしい。
「その国のハッピ堂のアラモードプリンが絶品だそうです」
「あっ私も聞いたことがあるわ」
いつの間にか食べ物の話になったんだけど。
それなら私も知っている。
「そう、あのプリン本当にほっぺたが落ちそうになるのよね」
私も思わず会話の中に入っていた。
「えっ、フランソワーズさんも食べたことがあるの?」
「おぼろげだけど、とてもおいしかった記憶があるわ」
言いながら、私は何故知っているのかとても不思議だった。記憶喪失になる前は食い意地がとてもはっていたんだろうか? 記憶を失っても覚えているなんて凄い?
「さすが、エルグランの方は違うわね」
「じゃあ、ドットケーキの食べ放題は」
「あそこも美味しいのよ。でも、人気で入るのが大変で結構並んでいるのよ」
二人の子爵令嬢がイサをそっちのけで私に聞いてくるんだけど、食べ物の話なら任しておいて!
イサがとても不満そうにしているのを無視して私は調子に乗って話し出した時だ。
「ずいぶん話が盛り上がっておりますな」
そこにはガマガエルそっくりな、デップリした男が立っていたのだ。
「ブリューセマさん」
隣のカトリーナが蒼白になっていた。
***************************************************************
何故商人の男がここに?
続きは明朝です。
お楽しみに!
「カトリーナ・ハルスカンプ公爵令嬢様とフランソワーズ・デ・ブリュネ男爵令嬢様ですね」
伯爵家の執事が出迎えてくれた。
でも、普通は格上の侯爵家の令嬢が来るんだから、今回の主人にあたる伯爵令嬢自から出迎えろよ、と私は少しムッとした。
そして案内された席では既に4人の令嬢がお茶会を始めていたんだけど、主客が来る前に始めているなんて、信じられない。何しろ今日の出席者で一番位が高いのはカトリーナなんだから。
そのカトリーナが歩いてくるのを見て、慌てて一人の女の子が立ち上がった。
それを見て、残りの三人がやっと立ち上がってくれたんだけど、こいつら、信じられない。やっぱり大人しい伯爵家の令嬢なんていなかったのだ。
いきなりやっちゃって良い?
私がカトリーナの方を向くとカトリーナが軽く首を振ってくれた。
まあ、やっつけるのは今日の用件を聞いてからでも良いか。この調子だとろくなことではないのは確定したけど。
「これはカトリーナ様、良くいらっしゃいました」
イサとおぼしきものが頭を下げた。
「イサ様。今日はお招き頂きありがとうございます。それと今日は友達のフランソワーズ・デ・ブリュネ男爵令嬢を連れて来ました」
カトリーナが紹介してくれた。
「フランソワーズ・デ・ブリュネです。宜しくお願いします」
私は全員に頭を軽く下げたのだ。
「初めまして。イサ・ケルクドリールよ。私、男爵家のご令嬢を自分の家にお招きするのははじめてなの。失礼があったら御免なさいね」
イサが何か言ってくれるんだけど。
失礼があったら許して欲しいと言うこと自体が失礼なんじゃない?
「子爵家のデボラ・ロヘムです」
「私も子爵家のトゥーナ・ハウムです」
この二人は私より立場が上なのを強調するように子爵と言うところを強調してくれるんだけど。
「私、イサ様方に贔屓にして頂いている商人の娘、マノン・ヘンボスです。平民の娘ですので、本来はこのような場にいるのはふさわしくないのですが……」
「良いのよ。マノンは。最新の南部の流行を私達に教えてくれているのだから」
イサがそう言うが、お前が許可するなよと私は言いたかった。
「そうでしょ。カトリーナ様」
「私は別に問題無くてよ」
カトリーナは頷くんだけど本当に甘いのだ。
私もまさか商人の娘が、お茶会にいるとは思わなかった。まあ、私自身が貴族か平民かわからないから別に良いんだけど。
私達の困惑を無視して早速私たちのお茶にも、香ばしい香りのお茶が入れられた。お茶は普通に美味しいみたいで良かった。
「それで、フランソワーズさん、私はデ・ブリュネなんて男爵家聞いた事もないんだけど、どちらの領地なの」
早速イサが聞いてきた。
「領地は無いんです」
私は無難に答えていた。
「まあ、そうなの? 領地の無い男爵家なんてはじめてお聞きしましたわ」
「じゃあ、日頃の糧はどうやって生活していらっしゃるの?」
「ひょっとして、平民に混じってお仕事していらっしゃるのかしら」
ムカつくことを三人の貴族令嬢達は言ってくれるんだけど。
私が反論しようとしたら、
「デ・ブリュネ男爵家はエルグランのルブラン公爵家と繋がりがあるとお伺いしたことがありますわ」
なんと、商人の娘のマノンが助け舟を出してくれた。
「えっ、あの武のルブランと」
少し驚いて、イサが聞いてきた。
やはりルブランの名前はこの国でも知られているみたいだ。この家を詐称するのは不味かったのでは? そこはあまり触れられたくないんだけど。
「ええ、まあ」
私は適当に言葉を濁した。
「そういえば、そのルブラン家のご令嬢が、海賊退治したミュージカルが、今、南の方では流行っているそうですわ」
マノンが話題を少し変えてくれた。
「ああ、あの『ターザン』とか言うミュージカルよね」
デボラが食いついてきたんだけど、私はその題名が何故かとても恥ずかしかったんだけど何でだろう?
何か彼女らの話によると、この国の貴族の子女の流行の最先端はこの大陸の南部の国々で、その中心は南の大国エルグラン王国らしい。
「その国のハッピ堂のアラモードプリンが絶品だそうです」
「あっ私も聞いたことがあるわ」
いつの間にか食べ物の話になったんだけど。
それなら私も知っている。
「そう、あのプリン本当にほっぺたが落ちそうになるのよね」
私も思わず会話の中に入っていた。
「えっ、フランソワーズさんも食べたことがあるの?」
「おぼろげだけど、とてもおいしかった記憶があるわ」
言いながら、私は何故知っているのかとても不思議だった。記憶喪失になる前は食い意地がとてもはっていたんだろうか? 記憶を失っても覚えているなんて凄い?
「さすが、エルグランの方は違うわね」
「じゃあ、ドットケーキの食べ放題は」
「あそこも美味しいのよ。でも、人気で入るのが大変で結構並んでいるのよ」
二人の子爵令嬢がイサをそっちのけで私に聞いてくるんだけど、食べ物の話なら任しておいて!
イサがとても不満そうにしているのを無視して私は調子に乗って話し出した時だ。
「ずいぶん話が盛り上がっておりますな」
そこにはガマガエルそっくりな、デップリした男が立っていたのだ。
「ブリューセマさん」
隣のカトリーナが蒼白になっていた。
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何故商人の男がここに?
続きは明朝です。
お楽しみに!
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