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第四部 第四部 古の古代帝国公爵家の野望
【書籍発売記念】王太后様のおかげで夏休みの補講がなくなりました
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それからが大変だった。
二人の上司の騎士団長が慌てて飛んで来るし、何故かいつもは出てこない陛下と王妃様まで飛んできたのには驚いた。
まあ、王太后様は一応お二人のお母様に当たるんだけど。
「王太后様このたびは申し訳ありません」
新任の近衛騎士団長のエドワール伯爵は平身低頭おばあちゃんに謝っていた。でも怒ったおばあちゃんは明後日の方を見ているし……
「母上、どうされたのですか? いきなり王宮に来られて」
「それもこんな暑い時に。離宮のほうがよほど過ごしやすいのではありませんか?」
陛下と王妃様の二人は困惑していた。
「何だい。私がきてはいけなかったというのかい!」
むっとしておばあちゃんが言うんだけど。
「そんなことはないですよ。母上」
「そうですわ。せっかくいらっしゃったのだから、ごゆっくりされれば良いと思います。ただ王都の夏は暑いですから」
何か引きつった顔で王妃様まで言い訳しているんだけど。
あの王妃様までが低姿勢だ。
何でだろう? 私にとっては王太后様はお菓子をくれる人の良いおばあちゃんなんだけど。
「いや、偶には未来の王妃のフランを離宮に呼ぼうと思ったのだが、連絡したのに中々フランが捕まらなくてね」
「えっ、私を離宮に呼んでくれるの!」
私はその言葉を聞いて嬉しくなった。
離宮は高原にあって夏は涼しいのだ。
それにそうなれば必然的に補講はなくなる。
「フランソワーズさん。あなたは補講があるではありませんか」
「えっ、そうなのかい。フランはフェリシーの補講を受けているのかい」
おばあちゃんが、私を可哀そうな者でも見るように見てくれた。
「そうなのです。王太后様」
「フランは王妃としての礼儀作法は今でも十分だと思うけれどね。
それよりも私は他の王宮の連中の礼儀作法の方が、なっていないんじゃないかと思うけれど……」
そう言うとおばあちゃんはみんなをじろりと見回したのだ。
怒られた騎士たちや騎士団長はもとより、陛下も王妃様もフェリシー先生までもがぎょっとした顔をしているんだけど。
「じゃあ、私はフランがフェリシーの補講を受けている間にそういう王宮の者たちに補講をしようかね。最近みんなたるんでいるようだし」
「えっ?」
おばあちゃんの言葉にみんな固まってしまった。
特に陛下と王妃様は真っ青だ。
「ローランド男爵夫人。フランソワーズ嬢の補講など今でなくても良いのではないかな」
いきなり陛下が言ってくれた。いつもは私の事は王妃様に任せて、助けてくれたことなんてないのに!
「そうよ。フェリシー。私も礼儀作法の補講を何も夏休みにまでやらなくてもいいと思っていたのよ」
王妃様まで、いきなり手の平を返してくれるんだけど。
昨日もフランはまだまだねと注意されたところなのに!
「いや、そうは言われましても……」
職務に忠実なフェリシー先生は抵抗しようとしたのだ。
「そうだ、母上。何でしたらフランソワーズ嬢の補講は離宮でも出来ますよね」
陛下は良いことを思いついたように言ってくれたんだけど。
おばあちゃんは陛下の実の母親じゃないのか? それを追い出すようなことを言って良いのか?
「えっ、陛下」
その声にフェリシー先生が慌てだしたんだけど、フェリシー先生の唯一の苦手がおばあちゃんみたいで、昔、侍女になりたての頃、徹底的におばあちゃんにしごかれたらしい。
それがトラウマになっているみたいなんだけど。
「そうね。フェリシー、何だったらあなたもフランソワーズ嬢について離宮に行けば良いのではなくて」
「いや、滅相もございません。私はどうしても王都でやらねばならない仕事が残ってございまして」
そう言われて、慌ててフェリシー先生も態度を変えてしまったのだ。
私の補講が無くなった瞬間だった。
****************************************************
ちょくちょく投稿していこうと思います。
よろしくお願いします。
二人の上司の騎士団長が慌てて飛んで来るし、何故かいつもは出てこない陛下と王妃様まで飛んできたのには驚いた。
まあ、王太后様は一応お二人のお母様に当たるんだけど。
「王太后様このたびは申し訳ありません」
新任の近衛騎士団長のエドワール伯爵は平身低頭おばあちゃんに謝っていた。でも怒ったおばあちゃんは明後日の方を見ているし……
「母上、どうされたのですか? いきなり王宮に来られて」
「それもこんな暑い時に。離宮のほうがよほど過ごしやすいのではありませんか?」
陛下と王妃様の二人は困惑していた。
「何だい。私がきてはいけなかったというのかい!」
むっとしておばあちゃんが言うんだけど。
「そんなことはないですよ。母上」
「そうですわ。せっかくいらっしゃったのだから、ごゆっくりされれば良いと思います。ただ王都の夏は暑いですから」
何か引きつった顔で王妃様まで言い訳しているんだけど。
あの王妃様までが低姿勢だ。
何でだろう? 私にとっては王太后様はお菓子をくれる人の良いおばあちゃんなんだけど。
「いや、偶には未来の王妃のフランを離宮に呼ぼうと思ったのだが、連絡したのに中々フランが捕まらなくてね」
「えっ、私を離宮に呼んでくれるの!」
私はその言葉を聞いて嬉しくなった。
離宮は高原にあって夏は涼しいのだ。
それにそうなれば必然的に補講はなくなる。
「フランソワーズさん。あなたは補講があるではありませんか」
「えっ、そうなのかい。フランはフェリシーの補講を受けているのかい」
おばあちゃんが、私を可哀そうな者でも見るように見てくれた。
「そうなのです。王太后様」
「フランは王妃としての礼儀作法は今でも十分だと思うけれどね。
それよりも私は他の王宮の連中の礼儀作法の方が、なっていないんじゃないかと思うけれど……」
そう言うとおばあちゃんはみんなをじろりと見回したのだ。
怒られた騎士たちや騎士団長はもとより、陛下も王妃様もフェリシー先生までもがぎょっとした顔をしているんだけど。
「じゃあ、私はフランがフェリシーの補講を受けている間にそういう王宮の者たちに補講をしようかね。最近みんなたるんでいるようだし」
「えっ?」
おばあちゃんの言葉にみんな固まってしまった。
特に陛下と王妃様は真っ青だ。
「ローランド男爵夫人。フランソワーズ嬢の補講など今でなくても良いのではないかな」
いきなり陛下が言ってくれた。いつもは私の事は王妃様に任せて、助けてくれたことなんてないのに!
「そうよ。フェリシー。私も礼儀作法の補講を何も夏休みにまでやらなくてもいいと思っていたのよ」
王妃様まで、いきなり手の平を返してくれるんだけど。
昨日もフランはまだまだねと注意されたところなのに!
「いや、そうは言われましても……」
職務に忠実なフェリシー先生は抵抗しようとしたのだ。
「そうだ、母上。何でしたらフランソワーズ嬢の補講は離宮でも出来ますよね」
陛下は良いことを思いついたように言ってくれたんだけど。
おばあちゃんは陛下の実の母親じゃないのか? それを追い出すようなことを言って良いのか?
「えっ、陛下」
その声にフェリシー先生が慌てだしたんだけど、フェリシー先生の唯一の苦手がおばあちゃんみたいで、昔、侍女になりたての頃、徹底的におばあちゃんにしごかれたらしい。
それがトラウマになっているみたいなんだけど。
「そうね。フェリシー、何だったらあなたもフランソワーズ嬢について離宮に行けば良いのではなくて」
「いや、滅相もございません。私はどうしても王都でやらねばならない仕事が残ってございまして」
そう言われて、慌ててフェリシー先生も態度を変えてしまったのだ。
私の補講が無くなった瞬間だった。
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ちょくちょく投稿していこうと思います。
よろしくお願いします。
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