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第四部 第四部 古の古代帝国公爵家の野望

【書籍化記念】夏休みの礼儀作法の補講に苦しんでいたら王太后様がやって来てくれました

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ここまで読んで頂いて有難うございます。
皆様のおかげでこのお話が本になりました。

現在書店で絶賛発売中です。
是非とも手に取って見てくださいませ。

ここまでこれたのは、応援して頂いた皆様のおかげです。
本当にありがとうございました。
感謝を込めてこの話書かせていただきました。

*************************************************

夏休み、それは子どもたちの楽しみで、私は前世は病弱で学校にも行けずに、夏休みの楽しみなんて本当に知らなかった。でも、元気な今世は昨年、思いっきり楽しんだのた。生まれて初めて夏休みがいかに楽しいものか身に沁みて感じたのだ。

なのに、なのにだ!

「フランソワーズさん! 首の角度が5度おかしいです」
「すみません」
フェリシー先生の注意に、私は慌てて更に首を傾けようとした。

「今度は傾けすぎです」
「えっ? そんな!」
少し戻そうとするが、なかなかうまくいかない。

「こうするのです!」
注意されて手を添えられて首を元に戻させられる。

前とどう違うのだ?
私には全く判らなかった。

というか、私の待ちに待った夏休みが……
せっかく、みんなが私の領地に来るのを楽しみにしていたのに、この補講のせいで行けなくなった。
というか、夏休みももうすぐ半分過ぎる、私の楽しみにしていた夏休みが全て無くなろうとしているんだけど……

どういうことよ!

それは確かに、私が三代目の計略に引っかかってボタンを推してしまったのは悪かったとは思う。
そのせいで、初代国王陛下の巨大な銅像が倒れて、ドミノ倒し的に大半の校舎は破壊されてしまった。
でも、あれは絶対にうちの3代目が、祖父でもある初代国王に仕返ししたかったからやったことだと思うんだけど。

そもそも、私は、あんな仕掛けがあったなんて知らなかったのだ。
それにその校舎が壊れたおかげで、潜んでいた王弟殿下とか大公達の騎士たちの大半をやっつけられたのだ。
これは勲功だと思うのだ。絶対に!

なのに、なんで、夏休みの間中補講を、それも一番嫌なフェリシー先生の補講を受けなければいけないの?

魔人となってしまったクラリスは1ヶ月の修道院の奉仕だけだそうだけど、何故反乱を未然に防いだ私の方が酷い罰ゲーム受けなければならないんだろう?

言いたくないけれど、活躍した人が悪い事した人より悲惨な目に合わされるっておかしくない?

「フランソワーズさん、聞いているのですか?」
フェリシー先生がこちらを睨んでいた。
やばい、聞いていなかった!

「なんですか、その態度は。心ここにあらずという感じで全く聞いていませんでしたね」
フェリシー先生の眉が釣り上がった。

これはまずい!
2時間のお説教コースだ。
下手したらまた食事抜きだ。

ガーーーーン!

そんな。私の唯一の楽しみなのに。
もっとも折角の王宮のおいしい料理なのに、フェリシー先生の礼儀作法マナー講座の一環でされるので、食べた気がしなくなるんだけど、それでも絶食よりはあった方がましだ。それはこの前の反省房での断食でよく理解できた。食べられるだけマシなのだ。
それもうちのサッパーじゃなくて、王宮の食材も吟味されたとても美味しい料理なのだ。それが礼儀作法の一環で、いちいち注意されながら食べることになっても、とても美味しいのだ。どのみち、礼儀作法マナーを受けるのならば美味しい料理のほうがマシだ。
補講を気にして殆ど食べた気にならなくても……

でも、先生のお説教は長いのだ。そして、話し出すと食事の時間を忘れるのだ。

私が最悪を覚悟した時だ。

「ちょっと、お待ち下さい」
「ここは、立入禁止だぞ」
外で警護している騎士たちの声が聞こえた。

「ここは関係者以外立入禁止だ。お前は誰なのだ」
「いや、オーバン、こちらの方は」
最初の声は私に手錠をかけたオーバンみたいだった。今は近衛に戻ったんだ。

「はああああ! あなた、私を知らないの?」
何か揉めている声が聞こえる。

「少しお待ちなさい」
フェリシー先生はイライラした顔で外の様子を伺おうとしてくれた。

私はホッとした。これでお小言がなくなれば、こんな幸運な事は無かった。
でも、それ以上に幸運なことが訪れてくれたのだ。


「そこをお退き」
「何をしているのですか」
フェリシー先生が外を見ようとしたのと扉が強引に開けられるのとが同じだった。

フェリシー先生は開いた扉に鼻を打ち付けて弾き飛ばされたのだ。

顔を思いっきりぶつけたと思う。

やった!? 日頃の恨みを晴らしてくれた!

そう、一瞬でも思わなかったと言ったら嘘だ。

でも、これはどうなるんだろう?

扉を開けた人が、鼻を打ち付けて怒り狂ったフェリシー先生にこてんぱんに怒られる未来しか見えなかった。

私は扉を開けた人のご冥福を祈る気分だった。

でも、そう思ったのはその扉を開けた所に立っている人を見るまでだった。


「おばあちゃん!」
私は思わず立ち上っていた。

「フラン、元気にしていたかい」
「うん」
私はおばあちゃんに思いっきり抱きついていたのだ。

久しぶりに会ったおばあちゃんは元気そうだった。


「フランソワーズ嬢がおばあちゃんという事は、ルブラン公爵家の係留か。いくら公爵家といえども、王宮のルールは守っていただかないと」
「おいオーバン、止めろ、その方は」
オーバンが高説を垂れる間に必死に後ろで他の騎士が止めろと言っていた。

「何を慌てている、バジル。たとえ公爵家といえども、ここは王宮だ。王宮の方々ならいざしらず、その他のものは王宮のルールに従ってもらわねば」
「ほう、いつの間に王宮はこんな生意気な騎士にでかい顔をされねばならなくなったんだい」
おばあちゃんがきっとして言った。

「な、貴様、近衛騎士の俺様に対して」
そう叫ぶオーバンの口を慌ててバジルが押さえた。
「な、何を」
「フェリシー、どういう事だい」
「も、申し訳ありません。王太后様」
蒼白になったフェリシー先生は90度の礼をおばあちゃんにしていた。
そうか、90度の礼ってこうやるんだ。
私は初めてわかった。

「お、王太后様?」
オーバンは唖然としていた。

「何をしているのです。すぐに頭を下げなさい」
「「も、申し訳ありません」」
フェリシー先生の声で慌てて蒼白となった二人の騎士は頭を下げていたのだ。

私は先生のお説教が途中で終わってほっとしたのだった……
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