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第四部 第四部 古の古代帝国公爵家の野望
どうやって後輩に物理を教えようか悩んでいた時にやってきた弟たちに教えてもらうことにしました
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「えっと、これがこうだから、こうなって……」
ヴァネッサに教え教えだして、わたしは気付いてしまったのだ。
ダメだ。全然教えられていない、という事に。
何しろ言っている私本人何を言っているか判っていないのだから……
そう、私は物理が壊滅的に苦手で、そんな私がそもそも物理を教えられるはずはなかったのだ。
一年前はアドの授業で覚えられたつもりになっていたのに……
でも、そんな中、必死になんとかヴァネッサに教えたのだが、絶対にヴァネッサは私が何を言っているか判らなかったに違いなかった。
去年、アドに教えてもらった時は良く判ったのに、もう完全に忘れていた。
「ごめんね。ヴァネッサ、よく教えられなくて」
「いいえ、こちらこそすみません。先輩の貴重な時間をお取りして」
教えた後に私が謝ったら、ヴァネッサがすまなさそうに言ってくれるんだけど、こんな頼りない先輩で本当に申し訳ない。
「申し訳ないけれど、明日もう一度ここに来てもらって良い?」
こんなので終わらせたら先輩の名折れだ。せっかく後輩が頼ってくれたのに。
「でも、フラン先輩、私なんかにそこまでしてもらうわけには……」
「何言っているのよ。あなたは私の可愛い後輩じゃない。大丈夫! 絶対にそれまでに何とかするから」
私は先輩としての威厳をなんとかして保つ為にも言いきったのだ。
言うは易し、やるは難しだ。
部屋に帰ってから探し出したアドのノートを何度も見てもぼんやりとしか思い出せない。
自分の勉強もしなければいけないし、私は完全にてんぱってしまったのだ。
昼食を食べながらうんうん唸っていると
「姉上。どうしたんです。姉上が悩んでいるなんて天地異変の前触れか何かですか」
そこに脳天気なジェドがヴァンと一緒にやってきたのだ。
「はああああ、ジェド、あんた何か言った?」
私はきっとしてジェドを睨みつけた。
「いえ、姉上。ちょっと口が滑ってしまって」
ジェドが驚いて言い訳するが、
「何だったら、その口を二度と滑らないようにしてあげましょうか」
私がニヤリと笑うと
「いえ、大丈夫です」
ジェドは慌てて口を閉じた。
「ちょっと殿下方は立入禁止です」
メラニーが二人の前で通せん坊をする。メラニーはまだクラス対抗戦で負けたことを根に持っているのだ。
「そんな、メラニー先輩。僕らは先輩らの役に立とうとして来たんですけど」
ヴァンが慌てていってくれるんだけど。
「いえ、今は足りておりますわ」
メラニーが眉を吊り上げて言うんだけど。
「ちょっと待った。私、用があるわ」
私はヴァンの言葉に思いついたのだ。
「えっ、フラン、何するのよ」
私は強引にそう文句を言うメラニーをどけたのだ。
「あなた達二人共物理は完璧よね」
「ええ、まあ」
私の勢いに若干身を引いてヴァンが答えた。
「じゃあ今日の放課後、図書館に来て私達に教えて」
「いや、フラン、流石に後輩から教えてもらうというのはどうなのよ」
メラニーが抵抗するが、
「何言っているのよ。メラニー。そんな下らないプライドとかそんなの構っている余裕はないわ。
物理はこのままだと多くの者が赤点になるのは確実よ。
そうなったら、いくらピンク頭が出来ないからって、A組には負けてしまうわよ」
私は言い切ったのだ。
「それはそうだけど……」
私の言葉にメラニーは口ごもった。
「でも、姉上、僕らにも都合が」
「いや、ジェド、俺は大丈夫だよ」
「な、何言うんだ。お前が大丈夫なら俺も大丈夫だ」
「いやいや、お前が忙しいのならば俺だけで十分だぞ」
「いや、実の姉に教えるのは俺で良い」
二人が言い合いを始めた。
「じゃあ、大丈夫よね」
私が聞くと
「当然です」
「義姉上、ここは俺が」
「何言っている。俺が教える」
二人が睨み合いするんだけど。
私はそんな二人を見て良いことを思いついた。
「まあ、二人がいいのならば、ちょうどいいわ。
二人とも物理のできないあなた達のクラスメートも連れてきなさいよ。そして、一人は私のクラスを、もう一人はあなたのクラスを教えてくれたらよいじゃない。
そうすれば1年と2年の学年平均をE組が制覇するのよ。これほど記念すべきことはないわ」
「なるほど、それはそうですね。我が一年E組が完全制覇を目指すということですね」
私の言葉に二人は頷いたのだった。
「ヴァン、二年生は俺が教えるからな」
「いや、俺だ」
ジェドとヴァンが言い合いをする中で、私はこれで、ヴァネッサとの約束に応えられるとほっとしていたのだ。
「二つも下の後輩に教えてもらうってどうなの?」
私の前では呆れ果てたメラニーがぼそりと呟いたんだけど、できる奴に教えてもらって何が悪いと私はプライドを捨てたのだ……
***************************************************************
ここまで読んで頂いて有難うございます。
プライドも何もないフランでした……
続きは明日更新予定です。
ヴァネッサに教え教えだして、わたしは気付いてしまったのだ。
ダメだ。全然教えられていない、という事に。
何しろ言っている私本人何を言っているか判っていないのだから……
そう、私は物理が壊滅的に苦手で、そんな私がそもそも物理を教えられるはずはなかったのだ。
一年前はアドの授業で覚えられたつもりになっていたのに……
でも、そんな中、必死になんとかヴァネッサに教えたのだが、絶対にヴァネッサは私が何を言っているか判らなかったに違いなかった。
去年、アドに教えてもらった時は良く判ったのに、もう完全に忘れていた。
「ごめんね。ヴァネッサ、よく教えられなくて」
「いいえ、こちらこそすみません。先輩の貴重な時間をお取りして」
教えた後に私が謝ったら、ヴァネッサがすまなさそうに言ってくれるんだけど、こんな頼りない先輩で本当に申し訳ない。
「申し訳ないけれど、明日もう一度ここに来てもらって良い?」
こんなので終わらせたら先輩の名折れだ。せっかく後輩が頼ってくれたのに。
「でも、フラン先輩、私なんかにそこまでしてもらうわけには……」
「何言っているのよ。あなたは私の可愛い後輩じゃない。大丈夫! 絶対にそれまでに何とかするから」
私は先輩としての威厳をなんとかして保つ為にも言いきったのだ。
言うは易し、やるは難しだ。
部屋に帰ってから探し出したアドのノートを何度も見てもぼんやりとしか思い出せない。
自分の勉強もしなければいけないし、私は完全にてんぱってしまったのだ。
昼食を食べながらうんうん唸っていると
「姉上。どうしたんです。姉上が悩んでいるなんて天地異変の前触れか何かですか」
そこに脳天気なジェドがヴァンと一緒にやってきたのだ。
「はああああ、ジェド、あんた何か言った?」
私はきっとしてジェドを睨みつけた。
「いえ、姉上。ちょっと口が滑ってしまって」
ジェドが驚いて言い訳するが、
「何だったら、その口を二度と滑らないようにしてあげましょうか」
私がニヤリと笑うと
「いえ、大丈夫です」
ジェドは慌てて口を閉じた。
「ちょっと殿下方は立入禁止です」
メラニーが二人の前で通せん坊をする。メラニーはまだクラス対抗戦で負けたことを根に持っているのだ。
「そんな、メラニー先輩。僕らは先輩らの役に立とうとして来たんですけど」
ヴァンが慌てていってくれるんだけど。
「いえ、今は足りておりますわ」
メラニーが眉を吊り上げて言うんだけど。
「ちょっと待った。私、用があるわ」
私はヴァンの言葉に思いついたのだ。
「えっ、フラン、何するのよ」
私は強引にそう文句を言うメラニーをどけたのだ。
「あなた達二人共物理は完璧よね」
「ええ、まあ」
私の勢いに若干身を引いてヴァンが答えた。
「じゃあ今日の放課後、図書館に来て私達に教えて」
「いや、フラン、流石に後輩から教えてもらうというのはどうなのよ」
メラニーが抵抗するが、
「何言っているのよ。メラニー。そんな下らないプライドとかそんなの構っている余裕はないわ。
物理はこのままだと多くの者が赤点になるのは確実よ。
そうなったら、いくらピンク頭が出来ないからって、A組には負けてしまうわよ」
私は言い切ったのだ。
「それはそうだけど……」
私の言葉にメラニーは口ごもった。
「でも、姉上、僕らにも都合が」
「いや、ジェド、俺は大丈夫だよ」
「な、何言うんだ。お前が大丈夫なら俺も大丈夫だ」
「いやいや、お前が忙しいのならば俺だけで十分だぞ」
「いや、実の姉に教えるのは俺で良い」
二人が言い合いを始めた。
「じゃあ、大丈夫よね」
私が聞くと
「当然です」
「義姉上、ここは俺が」
「何言っている。俺が教える」
二人が睨み合いするんだけど。
私はそんな二人を見て良いことを思いついた。
「まあ、二人がいいのならば、ちょうどいいわ。
二人とも物理のできないあなた達のクラスメートも連れてきなさいよ。そして、一人は私のクラスを、もう一人はあなたのクラスを教えてくれたらよいじゃない。
そうすれば1年と2年の学年平均をE組が制覇するのよ。これほど記念すべきことはないわ」
「なるほど、それはそうですね。我が一年E組が完全制覇を目指すということですね」
私の言葉に二人は頷いたのだった。
「ヴァン、二年生は俺が教えるからな」
「いや、俺だ」
ジェドとヴァンが言い合いをする中で、私はこれで、ヴァネッサとの約束に応えられるとほっとしていたのだ。
「二つも下の後輩に教えてもらうってどうなの?」
私の前では呆れ果てたメラニーがぼそりと呟いたんだけど、できる奴に教えてもらって何が悪いと私はプライドを捨てたのだ……
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ここまで読んで頂いて有難うございます。
プライドも何もないフランでした……
続きは明日更新予定です。
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