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第四部 第四部 古の古代帝国公爵家の野望

決闘の結果は最悪の結果になりました

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「フランソワーズさん! これはあなたの仕業ですね」
爆発の後に騎士たちに続いて飛んできたフェリシー先生の第一声がこれだった。

「いえ、今回は違います」
私ははっきりと反論したのだ。

「何を言っているのですか? あなたがやっていないと言うのならば何故そこにいるのです?」
「いや、それは……」
私は冷や汗を流しながら必死に言い訳をしようとしたのだ。
「そもそも前回もあなたが壊したのですよ。あなた以外に誰がこの学園の訓練場を壊せるというのです……」
もう、フェリシー先生は私の言うことなんて全然聞く耳を持っていなかったのだ。いきなり説教モード全開で叱責を始めたんだけど……

これはまずい!

私は慌ててメラニーを見た。

「フェリシー先生。フランを攻撃したのはそちらにいらっしゃるエーリック・モラン子爵令息です」
メラニーが幾分棘を込めた声でフェリシー先生に言ってくれた。

「メラニーさん。あなたの言うことを信じないわけではありませんが、何しろフランソワーズさんは前に壊した実績がありますからね。それにこの学園の訓練場は、この前フランソワーズさんが破壊してから更に強力にしたのです。魔術師団長を中心に障壁をかけ直して頂けたのです。
それをまた、壊すなんてなんて師団長に言えばいいのですか?
エーリックさんが壊したというのはなにかの間違いではありませんか」
フェリシー先生は全然信じてくれないんですけど。

「いえ、先生。確かに私が壊してしまいました」
なんと、勇気のあるエーリックは自ら手を上げてくれたのだ。
私はエーリックを見直した。
私はこれ以上フェリシー先生の補講は嫌だ。
エーリックはフェリシー先生の補講の最悪さを絶対に知らないのだ。
何しろ奴は余裕の笑みを浮かべているのだ。本当に馬鹿だ。

いや、今はその馬鹿さ加減を利用せねば!

エーリックが実際の補講を知れば二度とこんなことを言い出さないだろう。それに今回は本当に壊したのはエーリックだし。
いや、待て待て待て! フェリシー先生はどんな難癖をつけてこないとも限らない。
ここは、エーリックが手を上げたことを後悔しないうちに確定させねば。私は焦っていたのだ。

「でしょう。先生。エーリックが壊したと言っているんですから、これで確定ですよね」
私はさっさと逃げ出そうとした。

「ちょっと待ちなさい。フランソワーズさん。逃げようとする所が怪しいわね」
ジロリとフェリシー先生が私を睨みつけるんだけど。

しまった。逃げようとするのが早すぎたか?

私は蛇に睨まれたカエルみたいに固まってしまった。

エーリックの奴が馬鹿にしたように見てくるんだけど、こいつは補講の辛さを知らないのだ。

「えっ、ちょっと待ってくださいよ。メラニー!」
私は困った時のメラニー頼みでメラニーを見た。

「本当にもう、仕方がないわね」
メラニーが私にそう言うと

「先生。一応、画像で撮ってあるんです」
「そうです。先生もご覧になっていただければ私が悪くないのを理解していたたげるかと」
メラニーの言葉に私も必死に続いたのだ。

「そうですか。ではぜひとも見せていただきましょう」
フェリシー先生の許可が下りたので、さっそくメラニーが装置を操作してくれた。

エーリックが私を攻撃しまくっているところからだ。
それを見てフェリシー先生の顔が険しくなる。

そうそう、悪いのは攻撃してきたエーリックなのよ。

私はほくそ笑んだ。

そして、少し障壁をずらしたところで爆裂魔術が私の目の前で爆発した。
爆風が少し私をかすった。
「よし、もらった」
リックは喜んで
「くらえ、火炎魔術」
そう叫ぶと巨大な火炎が私に襲いかかっていったのだ。

「なんて事なの。こんなところで火炎魔術を使うなんて」
フェリシー先生が言ってくれた。
そうだ。これでエーリックの奴は補講一直線だ。

私はにんまり笑った。

そして、私は火炎魔術を弾いた。そしてそれが障壁にぶつかって爆発が起こったのだ。

「エーリックさん。こんなところで火炎魔術を放つなんてどういう事なんですか」
「いや、先生。高々火炎魔術ではないですか。それで壊れる訓練場の方が悪いのでは」
ふてぶてしくエーリックは言い訳したが、そんなの先生に通用するわけないじゃない。

「何を言っているのです。この王立学園の訓練場の障壁の強度はかの帝国の訓練場の二倍以上もあるのです。この大陸最強であると魔術師団長からも太鼓判を押されているのです。強度には問題なかったはずです。それと火炎魔術は訓練場では使用禁止です」
「えっ、そうなのですか」
驚いた顔をしてエーリックが言うが、
「そんなの常識でしょう」
「しかし、先生、私は留学生で」
「何を言っているのです。留学生といえども規則は規則です。それに火炎魔術の禁止はどの国の訓練場でも禁止されているはずです」
怒りの目でフェリシー先生はエーリックを注意したのだ。

そうだ。悪いのは全部エーリックだ。私は被害者なのだ。

私は今度こそ助かったと思ったのだ。

「それとフェリシーさん」
「はい?」
私は嫌な予感がした。

「あなたもその火炎魔術を上に弾いて障壁に当てましたね。それが訓練場を壊した最大の原因です」
「でも、先生。上に弾かないとほかの人に被害が及ぶ可能性があったので」
「確かに、他の人ならそれでいいでしょう。でもあなたなら、他にやりようはいくらでもあったはずです。そもそも、なぜあなたがここで戦っているのですか。まさか、決闘なんてしていたのではないでしょうね」
「いえ、そんなことは決して」
私は必死に首を振った。

「まあ、良いでしょう。エーリックさんとフランソワーズさんは罰として今後一週間、放課後に私の補講を受けていただきます」
「ええええ!」
「そんな先生、俺もですか」
私の悲鳴とエーリックの抗議にギロリとフェリシー先生が睨んできた。

「何か不満があるのですか?」
「俺は公国からの留学生ですが」
身分を笠に着てエーリックが文句を言い出した。やめろ、馬鹿、余計な事は……

「何を言っているのです。王子だろうが、公爵令嬢だろうが、学園の生徒になった限りはみな平等です。そもそも始祖はそう考えられてこの学園を建てられたのです。
学則の第一条にその旨は書かれています。留学の時の誓約書にもその旨書かれているはずです。そもそもあなたはそれに署名してこの学園にいるのです。
それを今更何を言い出すのです……」
エーリックに反論する隙も与えずに怒涛のお説教が始まったのだ。

もう最悪だった。

でも、何故こうなったのだ!

私は心の中で悲鳴をあげたのだった。
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