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第三部 ルートン王国交換留学編

私はリミッターを外して思いっきり魔力で海賊どもを攻撃しました

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皆、黒船が爆発する様子を唖然として見ていた。

アチャーーーー
いきなり、降伏勧告もしないでやってしまった。

私は頭を抱えて反省した。

「凄い、フラン」
「一撃よ」
皆驚いて私をみた。

「姉上、いきなり先制攻撃は無いんじゃない」
ジェドが白い目で見てくるけど、

「あの海賊がお下劣な事を言うからよ」
私はむっとして言い返した。

「お、俺様の魔道具が」
後ろでドミンゴが何かぶつぶつ呟いている。

「あっ、ごめん」
そういえば、怒りのあまり、ドミンゴから借りていた魔道具を手に持ったまま攻撃してしまった。

手元で灰燼と化していた魔道具を見る。後でフェリペに弁償させよう。そう思って私は忘れることにした。

そして、海賊共へ向けて、魔力で私の全身を投影した。

「なんだよ。自分で出来るなら俺の魔道具使う必要なかったじゃないか」
ドミンゴが文句を言うのも無視する。

「私はフランソワーズ・ルブラン、アルメリア王国並びに海賊どもに告げる」
「ちょっと、姉上、自ら名乗っていいの?」
「良いのよ」
横から必死に言ってくるジェドを黙らせる。また、やってしまった……名前を言ってしまったからもうどうでもいい。こうなったら最後までやるまでだ。

「貴様らの三度にもわたる私への攻撃、今の黒ひげの侮辱、許せない」
「黒髪だよ」
「良いのよ、どっちもおんなじじゃない」
ヴァンに私は言い返した。

なぜかみんなの視線が白いんだけど。もう無視だ。

「ええと、何話していたか忘れたじゃない!」
私はむかついてヴァンをしばいていた。

「何をしてる。小娘! 演説の途中で忘れたのか」
海賊の一人が拡声器で馬鹿にしてきた。

「本当に馬鹿は……」
私の手が再び光った。

ドカーーン

その船が一瞬で炎上、爆発した。

「何か言った?」

しーーーーん

海賊たちが沈黙した。

「また、攻撃した」
もう私はジェドは無視することにした。

「もう良いわ。あなた達に選ばせてあげる。
直ちに降伏しなさい。そうか、海の藻屑になりたいか? 好きな方を選ばせてあげるわ」
もう、小難しい言葉は止めにした。シンプルイズベストだ。
降伏か藻屑か、馬鹿な海賊にもこれならわかるだろう。

「どこが小難しい言葉なんだか」
馬鹿にしたようにメラニーに言われたんだけど。そういえば私の脅しに屈しないメラニーがいた。
でもメラニーは後が怖いから叩けない……

それは置いておいて、ひょっとして海賊共を脅しすぎた? 私はまだ、なにも暴れていないのに。これで降伏でもしてきたら何もできないじゃない!

「二隻も瞬間破壊しておいて?」
と後でメラニーに言われたけれど、そんなの準備運動じゃない。
私の一言にみんな唖然としていたんだけど。

こんなので降伏された日には夜は悔しくて寝れないじゃない! さっきの黒ひげ? の時もっと我慢したらよかったの?

私は山のように反省したのだ。

「ええい、野郎ども、何を怯えていやがるんだ。高々女ひとりじゃないか。我らの後ろにはアルメリア王国の陛下もついていなさるんだ。ここは一気に行くぜ」
馬鹿な海賊の一人が言ってくれた。

「ヴァン聞いたわね。はっきりとアルメリア国王が私を攻撃したと言ったわよね」
「言ったけど、姉上。アルメリアを直接攻撃はダメだよ。姉上がやると本当に戦争になってしまうんだから。後で陛下らがうるさいからね」
「そんなこと言っても既に戦争を仕掛けられているけど」
ヴァンの一言に私は言い返した。

ヴァンとジェドが頭を抱えているけれど、今回は私からはそもそも何もしていないのだ。
海賊として私たちの船を襲ってきたのも彼らなら、友達を誘拐して私をおびき出したのもアルメリア、そして、演劇の最中に攻撃してきたのも彼らだ。
そして、今回のこれ、やっぱり元からやらないとだめなんじゃないのかな。

と思いながらアルメリアはこの方向かなと海賊船団の方を見る。

「野郎ども、攻撃だ」
男の声に海賊たちの雄叫びが聞こえる。


「あんた達は後ろに下がって」
私はみんなに指示した。
みんな慌てて従う。

「ヴァン、ここは全力を出してもいいわよね?」
「えっ、まあ、前には海賊しかいないから良いと思うけど」
私の声に後ろでしゃがんでいるヴァンが多少躊躇しつつ答えてくれた。

「じゃあ、やらしてもらうわ」
私は喜んだ。

久しぶりの全力だ。

一学期に訓練場を破壊して以来だ。

でも、あの時も少し手加減していたし。

「おお、神様。私に全力を出す機会を与えてくれたことを感謝します」
私は転生させてくれた神様に感謝の言葉を述べていた。

「兄貴、あそこに馬鹿がいますよ。神に祈っています」
「神に祈って助けられたら世話ないぜ」
海賊の男達がまたどっと笑った。

「まあいいわ!」
私は馬鹿な海賊共は少しほっておくことにした。あいつらバカだ。二隻も沈められて気にしないなんて。海賊なんて馬鹿にしかできないのかもしれない。学習能力がないのだ。まあ、もっともそのおかげで全力でやれるんだけど。私はリミッターを外した。

体に魔力が満ちる。

「ええええ!」
「フラン凄げえ」
後ろでガスペルたちが驚いて私を見ている。

そして、私は両手を突き出した。

「皆伏せろ」
ジェドが叫ぶ。

そして、私は両手に魔力を込める。

そこにはあっという間に巨大な火の玉が現れた。

「あ、兄貴、あれは」
「や、やばい」
海賊たちが慌てふためくが、

遅いのよ!
私は海賊のために残念がってあげた。

その火の玉はどんどん大きくなる。

「行っけーーーー」
私の大声とともに巨大な炎が咆哮したのだ。

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