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第三部 ルートン王国交換留学編
王女の不用意な発言で私は怒り狂って、皆の頭上から水の塊を落として校舎中を水浸しにしてしまいました
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「フランソワ嬢、申し訳なかった」
その日は私達の教室で衣装やら道具の準備をするというので、屋上で練習することになって、皆で屋上に移動しようとした時だ。階段の途中でまた、王太子が声をかけてきたのだ。
あれから何度も王子が謝りに来るんだけど、私は謝罪はいらないって言っているのに、謝ってくるのだ。私じゃなくて、ソニアに謝れって言っているのに!
「殿下。だから、私への謝罪なんていらないですから、それよりもソニアさんに謝って下さい」
私が言うと
「いや、陛下も大臣もみんな、ソニアはよいから君に謝れって言って来るんだ」
何か王太子がとんでもない事を言っている気がしたのだが。
周りの皆も唖然としているし、
「ああああ、もう訳判んない! 私なんかよりも婚約者の方を大切にしてくださいね」
私はそう言うと
「練習がありますので」
私は王子を無視して、唖然と私達を見ている全員の先頭を切って屋上に向かった。
「フラン、良かったの?」
テオドラが聞いてくるんだけど。
「だって、王宮に来いだとか、皆が謝りたいからとか、訳のわからないこと言うのよ。それでなくても海賊退治の英雄なのに、これ以上そんなのいらないわ」
私は首を振って言った。そう言う事は王子様のヴァンとかにやってほしいのだ。
屋上での演劇の練習も結構大変だった。
悪役令嬢フランのいじめが酷くて、メラニーの脚本によると水をかけろとかあるのだ。
「あの、メラニー、本当にここでやるの?」
私は思わず聞いてしまった。そうだ、普通は私がやるのは良くないだろう!
「だって、やってみないとどうなるか判らないじゃない。私は水魔術は不得意だし、オーレリアンは嫌だって言うし」
「だって、男として女の子に水をかけるのは良くないだろう」
オーレリアンが言い切るんだけど……
「それっておかしくない。私なら良い訳?」
私がムッとして言うと
「だって、フランは散々やらかしているし、一つくらいそれが増えても問題ないでしょ」
メラニーが酷いことを言うんだけど。
「何よ、それ。それじゃ、まるで私は悪役令嬢みたいじゃない!」
「当たり前でしょう! 今あんたは悪役令嬢の役をやっているのよ」
私の言葉にメラニーが呆れて言ってくれた。
「それはその通りなんだけど、私は虫も殺せぬか弱い女の子なのに」
その私の言葉に全員白い目で見てくるんだけど……
「フランがか弱い女の子なら、世の中の男は全員か弱い奴になってしまうよな」
「そうだそうだ」
ガスペルの言葉にいかついエドガルドとアルマンが頷いているんだけど。
「何か言った?」
私の視線に慌てて二人は私から隠れようとするんだけど。お前らでかいから、頭隠れて尻隠れずなんだよ。
思わずお尻にファイアーボールをお見舞いしてやろうかと思ったくらいだ。
「フラン!」
メラニーに注意されて流石に止めたけど。なんだか納得できない。
何故男のオーレリアンが駄目で女の私なら良いのだ?
「じゃあ、行くわよ」
仕方なしに私はイネの上に小さい水滴を出そうとしたのだ。
ダンッ
そこに屋上の扉が開いて、ソニアを無理やり連れた憤怒の形相のシルビアが現れたのだ。
「フラン! あなた、王太子のお兄様をあたかも下僕のようにこき使って、皆の前で頭を下げさせているんですって!」
「はああああ?」
こいつは何を言っているんだ? 頭を勝手に下げてくるのは王太子であって、私はやめろって言っているのに!
「あなた、判っているの? お兄様にはソニアというれっきとした婚約者がいるのよ。そのソニアが注意したら、あんた、ソニアに酷いことをしたっていうじゃない。ソニア泣いていたわ」
「……」
何か、シルビアがメチャクチャなこと言っているんだけど。ソニアに酷いことをしたのは王太子で、私は何もしていないのに……あまりのことに私も言葉がすぐには出なかった。
「いや、シルビア様。フラン様は別に」
「良いのよ。ソニア。フランがどれだけ鬼畜か、私には判っているから。昔からこいつはそうなのよ。私がちょっと可愛いからってアドルフ様が私に声をかけてきたのが気に食わなくて、私を池に突き落としたのよ」
「何言っているのよ。蛇が上から落ちてきたから、あなたを助けようとして、ちょっと強く押しただけじゃない」
「うそ、おっしゃい。へびなんてどこにも居なかったじゃない!」
「それは私を見て逃げ出したからで……」
「か弱い私を剣術でふっとばすわ、魔術で黒焦げにするわ、フランは本当に鬼畜なことをしてくれたのよ」
皆のジト目が私に突き刺さるんだけど。
「いや、ちょっと待ってよ。それはあなたが私に突っかかってきただけで、真剣勝負しろって言うから、少しだけやっただけで」
「やったんだ!」
アルマンらの視線が怖いんだけど。
「だって、本当に軽くやっただけで」
「あんたの軽くはか弱い女の子には恐怖よね」
私の言い訳にメラニーがボソリと言ってくれたんだけど。
「そうなのよ。みんなもそう思うでしょ」
何か涙目でシルビアが言うんだけど。
皆同情する視線でシルビアを見ているし、私には鬼を見るような目なんだけど。
ちょっとちょっと、それはないわよ!
そう、思った時だ。
「あなたがあまりにも凶暴だから、ついにアドルフ殿下がアルメリアの女の子に乗り換えたからって、何も婚約者のいるお兄様に手を出さなくてもいいじゃない」
シルビアは爆弾発言をしたのだ。
「えっ、オーレリアン、アルメリアからの留学生って何?」
私はギロリとオーレリアンを見た。
「フラン、いや、フラン様」
私の視線に気付いて慌ててオーレリアンは言い直していたんだげと。
「殿下はアルメリアからの情報を得ようと、留学生の女の子と少しだけ親しくしていらっしゃるだけで」
「私は抱きつかれて鼻の下を伸ばしていたって聞いたわ」
シルビアが更に爆弾発言して来た。
「なんですって!」
私は完全に切れていた。
こめかみがピクピク震えているのが気になった。
「ちょっと、フラン、どうしたの? 頭の上に何かあるんだけど」
シルビアが少し恐怖に怯えた声で聞いてきた。そうだった、私は今イネの上に小さい水の塊を落とそうとしていたんだった。
「えっ私、今、いじめのシーンで水をぶっかけるところだったのよ」
「いや、ちょっと巨大すぎない」
そう、皆の頭上には私の怒りの大きさに合わせた巨大な水の塊が浮かんでいたのだ。
皆の顔が恐怖にひきつっているけど、怒り狂った私はよく見えなかった。
「フラン、あなたはもう、水かけなくていいから、無くして」
慌ててメラニーが止めてきたけれど、怒りに狂っている私には通用しなかった。
というか、水の塊が私の許容範囲を越えたのだ。
「あっ、ゴメン、もう止められない」
私がはっと我に返って言うのと同時に、凄まじい水流が頭上から皆に襲いかかって来たのだった。
************************************************************
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
フランの力は絶大です???
次回は明日です!
その日は私達の教室で衣装やら道具の準備をするというので、屋上で練習することになって、皆で屋上に移動しようとした時だ。階段の途中でまた、王太子が声をかけてきたのだ。
あれから何度も王子が謝りに来るんだけど、私は謝罪はいらないって言っているのに、謝ってくるのだ。私じゃなくて、ソニアに謝れって言っているのに!
「殿下。だから、私への謝罪なんていらないですから、それよりもソニアさんに謝って下さい」
私が言うと
「いや、陛下も大臣もみんな、ソニアはよいから君に謝れって言って来るんだ」
何か王太子がとんでもない事を言っている気がしたのだが。
周りの皆も唖然としているし、
「ああああ、もう訳判んない! 私なんかよりも婚約者の方を大切にしてくださいね」
私はそう言うと
「練習がありますので」
私は王子を無視して、唖然と私達を見ている全員の先頭を切って屋上に向かった。
「フラン、良かったの?」
テオドラが聞いてくるんだけど。
「だって、王宮に来いだとか、皆が謝りたいからとか、訳のわからないこと言うのよ。それでなくても海賊退治の英雄なのに、これ以上そんなのいらないわ」
私は首を振って言った。そう言う事は王子様のヴァンとかにやってほしいのだ。
屋上での演劇の練習も結構大変だった。
悪役令嬢フランのいじめが酷くて、メラニーの脚本によると水をかけろとかあるのだ。
「あの、メラニー、本当にここでやるの?」
私は思わず聞いてしまった。そうだ、普通は私がやるのは良くないだろう!
「だって、やってみないとどうなるか判らないじゃない。私は水魔術は不得意だし、オーレリアンは嫌だって言うし」
「だって、男として女の子に水をかけるのは良くないだろう」
オーレリアンが言い切るんだけど……
「それっておかしくない。私なら良い訳?」
私がムッとして言うと
「だって、フランは散々やらかしているし、一つくらいそれが増えても問題ないでしょ」
メラニーが酷いことを言うんだけど。
「何よ、それ。それじゃ、まるで私は悪役令嬢みたいじゃない!」
「当たり前でしょう! 今あんたは悪役令嬢の役をやっているのよ」
私の言葉にメラニーが呆れて言ってくれた。
「それはその通りなんだけど、私は虫も殺せぬか弱い女の子なのに」
その私の言葉に全員白い目で見てくるんだけど……
「フランがか弱い女の子なら、世の中の男は全員か弱い奴になってしまうよな」
「そうだそうだ」
ガスペルの言葉にいかついエドガルドとアルマンが頷いているんだけど。
「何か言った?」
私の視線に慌てて二人は私から隠れようとするんだけど。お前らでかいから、頭隠れて尻隠れずなんだよ。
思わずお尻にファイアーボールをお見舞いしてやろうかと思ったくらいだ。
「フラン!」
メラニーに注意されて流石に止めたけど。なんだか納得できない。
何故男のオーレリアンが駄目で女の私なら良いのだ?
「じゃあ、行くわよ」
仕方なしに私はイネの上に小さい水滴を出そうとしたのだ。
ダンッ
そこに屋上の扉が開いて、ソニアを無理やり連れた憤怒の形相のシルビアが現れたのだ。
「フラン! あなた、王太子のお兄様をあたかも下僕のようにこき使って、皆の前で頭を下げさせているんですって!」
「はああああ?」
こいつは何を言っているんだ? 頭を勝手に下げてくるのは王太子であって、私はやめろって言っているのに!
「あなた、判っているの? お兄様にはソニアというれっきとした婚約者がいるのよ。そのソニアが注意したら、あんた、ソニアに酷いことをしたっていうじゃない。ソニア泣いていたわ」
「……」
何か、シルビアがメチャクチャなこと言っているんだけど。ソニアに酷いことをしたのは王太子で、私は何もしていないのに……あまりのことに私も言葉がすぐには出なかった。
「いや、シルビア様。フラン様は別に」
「良いのよ。ソニア。フランがどれだけ鬼畜か、私には判っているから。昔からこいつはそうなのよ。私がちょっと可愛いからってアドルフ様が私に声をかけてきたのが気に食わなくて、私を池に突き落としたのよ」
「何言っているのよ。蛇が上から落ちてきたから、あなたを助けようとして、ちょっと強く押しただけじゃない」
「うそ、おっしゃい。へびなんてどこにも居なかったじゃない!」
「それは私を見て逃げ出したからで……」
「か弱い私を剣術でふっとばすわ、魔術で黒焦げにするわ、フランは本当に鬼畜なことをしてくれたのよ」
皆のジト目が私に突き刺さるんだけど。
「いや、ちょっと待ってよ。それはあなたが私に突っかかってきただけで、真剣勝負しろって言うから、少しだけやっただけで」
「やったんだ!」
アルマンらの視線が怖いんだけど。
「だって、本当に軽くやっただけで」
「あんたの軽くはか弱い女の子には恐怖よね」
私の言い訳にメラニーがボソリと言ってくれたんだけど。
「そうなのよ。みんなもそう思うでしょ」
何か涙目でシルビアが言うんだけど。
皆同情する視線でシルビアを見ているし、私には鬼を見るような目なんだけど。
ちょっとちょっと、それはないわよ!
そう、思った時だ。
「あなたがあまりにも凶暴だから、ついにアドルフ殿下がアルメリアの女の子に乗り換えたからって、何も婚約者のいるお兄様に手を出さなくてもいいじゃない」
シルビアは爆弾発言をしたのだ。
「えっ、オーレリアン、アルメリアからの留学生って何?」
私はギロリとオーレリアンを見た。
「フラン、いや、フラン様」
私の視線に気付いて慌ててオーレリアンは言い直していたんだげと。
「殿下はアルメリアからの情報を得ようと、留学生の女の子と少しだけ親しくしていらっしゃるだけで」
「私は抱きつかれて鼻の下を伸ばしていたって聞いたわ」
シルビアが更に爆弾発言して来た。
「なんですって!」
私は完全に切れていた。
こめかみがピクピク震えているのが気になった。
「ちょっと、フラン、どうしたの? 頭の上に何かあるんだけど」
シルビアが少し恐怖に怯えた声で聞いてきた。そうだった、私は今イネの上に小さい水の塊を落とそうとしていたんだった。
「えっ私、今、いじめのシーンで水をぶっかけるところだったのよ」
「いや、ちょっと巨大すぎない」
そう、皆の頭上には私の怒りの大きさに合わせた巨大な水の塊が浮かんでいたのだ。
皆の顔が恐怖にひきつっているけど、怒り狂った私はよく見えなかった。
「フラン、あなたはもう、水かけなくていいから、無くして」
慌ててメラニーが止めてきたけれど、怒りに狂っている私には通用しなかった。
というか、水の塊が私の許容範囲を越えたのだ。
「あっ、ゴメン、もう止められない」
私がはっと我に返って言うのと同時に、凄まじい水流が頭上から皆に襲いかかって来たのだった。
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