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第三部 ルートン王国交換留学編
准男爵の令嬢も喧嘩を売られたので言い返しました
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翌朝、私は早くに起きた。
今日は新しい学園に登校するひだ。どんな新しい出会いがあるのか、それを考えるともうウキウキしていた。
それにここの食事も美味しいのだ。まあ、米がないのが玉に瑕だが、パンが本当に美味しい。
私は今日も食べる気満々だったのだ。
メラニーとアニエスの3人で食堂に降りる。
食堂は寮の1階に隣接してあったのだ。
私が山盛り取るのを見てメラニーらは呆れていた。
私達がさっさと近くの席につくと
「ちょっとそこのあなた。そこ私の席なんだけど」
いきなり、黒髪の女が私を指差して言ってきた。
「えっ、昨日も言ったけど、この学園て料理を食べる席が決まっているの?」
私が不思議そうにきいた。
「そうよ。あなたエルグランからの留学生でしょ。昨日はダミアン様に庇ってもらったみたいだけど、平民の席はあっちよ」
女が端の席を指差して言い切った。
「ふーーーん、そう言うあなたは貴族なわけ」
「そうよ。私はイネス・アビレス。アビレス准男爵家の長女よ」
「準男爵家? よく判んないんだけど。男爵に準じるって、男爵に成れなかった家ってことなの」
私はよく判っていなかったので、そう口に出したのだ。
「な、何ですって。あなたうちをコケにするの。我が家はまっとうな准男爵家よ」
女が急に怒り出したのだ。周りの男女も一緒に怒っているやつが多い。
「ちょっとフラン、ルートン王国は男爵家の下に准男爵っていう貴族の位があるのよ」
「えっ、そうなの。エルグランはないのに」
慌てたメラニーの声に私は思い出していた。そう言えばそんな位があるから気をつけるようにとフェリシー先生に注意されたような気がする。
「だから新興国家は嫌なのよ。まだ新しいから准男爵も無いのね」
「えっ」
私はキョトンとした。
「物は言いようね。国王が貴族を列しきれなくて、単に爵位のインフレで与えられなくなったから新しい爵位を作ったんじゃなかったっけ」
私はフェリシー先生に教わった通りに話したのだ。たしか、その時はフェリシー先生からは、だから古い国は仕方がないのよオーラ全開だったような気がするけど
「ちょっとフラン、こっちに来なさい」
「えっ、ちょっと待ってよ」
私は無理やり二人に外に連れ出された。
「な、何なのよ」
「ちょっとフラン、判っているの? 我がEクラスは平民と准男爵が半々だから良いけど、DとCは大半が准男爵なのよ。Aクラスは子爵以上が、Bクラスは男爵家が、准男爵は残りの2クラス半もいるんだから、全校生の半数が准男爵家なのよ。それを敵に回す気?」
「ええええ、でも、准男爵って我が国の平民と変わらないでしょ」
「何ふざけた事言っているのよ。それは公爵家令嬢のあんたから見たら、私達男爵も准男爵も平民も同じ下々かもしれないけれど、貴族は基本はプライド命なのよ! それでなくてもこの国の連中は気位だけが高いんだから、いきなり半数を敵に回すのはまずいでしょ」
メラニーが必死になって言ってきた。
「私は別に問題ないけど」
「そう言う問題じゃないでしょ。アニエスらはC組なんだから、目の敵にされたらやっていけないでしょ。他クラスのあなたじゃ守れないから」
「ああ、そうか、アニエスのことはよく考えていなかったわ。もしいじめられたら言ってね。あのクソ生意気な王女に言ってあげるから。何なら、あのダミアンに護衛させるわよ」
「いやいや、それは無理でしょう」
青くなってアニエスが言うんだけど。
「あいつには貸しがあるから何でもさせられるわよ」
「いや、平民の護衛を近衛騎士がするのは流石にまずいわよ」
メラニーまでが言うんだけど。
「そうかな。まあ、何かあったら言ってね。幸いなことに中等部には弟も第二王子もいるから、何かあったら何でもさせるわよ」
「いえいえ、それやると、下手したら国際問題になってしまいますから」
「そおう? 何かあったら言ってね。たしか、この国の公爵の息子も同い年くらいで昔助けてやったことがあるのよね。何なら助けさせるわよ。何でも言ってね」
私をメラニーは呆れてみているんだけど。アニエスは必死に首を振っているし。
まあ、私は全然気にしていなかったんだけど。
この国の連中には早速、とんでもない生意気な平民が留学してきたと、あっという間に広まってしまったみたいだ。
うーん、雨降って地固まる。
これぞ、青春なのだ。
私はやる気満々だった!
今日は新しい学園に登校するひだ。どんな新しい出会いがあるのか、それを考えるともうウキウキしていた。
それにここの食事も美味しいのだ。まあ、米がないのが玉に瑕だが、パンが本当に美味しい。
私は今日も食べる気満々だったのだ。
メラニーとアニエスの3人で食堂に降りる。
食堂は寮の1階に隣接してあったのだ。
私が山盛り取るのを見てメラニーらは呆れていた。
私達がさっさと近くの席につくと
「ちょっとそこのあなた。そこ私の席なんだけど」
いきなり、黒髪の女が私を指差して言ってきた。
「えっ、昨日も言ったけど、この学園て料理を食べる席が決まっているの?」
私が不思議そうにきいた。
「そうよ。あなたエルグランからの留学生でしょ。昨日はダミアン様に庇ってもらったみたいだけど、平民の席はあっちよ」
女が端の席を指差して言い切った。
「ふーーーん、そう言うあなたは貴族なわけ」
「そうよ。私はイネス・アビレス。アビレス准男爵家の長女よ」
「準男爵家? よく判んないんだけど。男爵に準じるって、男爵に成れなかった家ってことなの」
私はよく判っていなかったので、そう口に出したのだ。
「な、何ですって。あなたうちをコケにするの。我が家はまっとうな准男爵家よ」
女が急に怒り出したのだ。周りの男女も一緒に怒っているやつが多い。
「ちょっとフラン、ルートン王国は男爵家の下に准男爵っていう貴族の位があるのよ」
「えっ、そうなの。エルグランはないのに」
慌てたメラニーの声に私は思い出していた。そう言えばそんな位があるから気をつけるようにとフェリシー先生に注意されたような気がする。
「だから新興国家は嫌なのよ。まだ新しいから准男爵も無いのね」
「えっ」
私はキョトンとした。
「物は言いようね。国王が貴族を列しきれなくて、単に爵位のインフレで与えられなくなったから新しい爵位を作ったんじゃなかったっけ」
私はフェリシー先生に教わった通りに話したのだ。たしか、その時はフェリシー先生からは、だから古い国は仕方がないのよオーラ全開だったような気がするけど
「ちょっとフラン、こっちに来なさい」
「えっ、ちょっと待ってよ」
私は無理やり二人に外に連れ出された。
「な、何なのよ」
「ちょっとフラン、判っているの? 我がEクラスは平民と准男爵が半々だから良いけど、DとCは大半が准男爵なのよ。Aクラスは子爵以上が、Bクラスは男爵家が、准男爵は残りの2クラス半もいるんだから、全校生の半数が准男爵家なのよ。それを敵に回す気?」
「ええええ、でも、准男爵って我が国の平民と変わらないでしょ」
「何ふざけた事言っているのよ。それは公爵家令嬢のあんたから見たら、私達男爵も准男爵も平民も同じ下々かもしれないけれど、貴族は基本はプライド命なのよ! それでなくてもこの国の連中は気位だけが高いんだから、いきなり半数を敵に回すのはまずいでしょ」
メラニーが必死になって言ってきた。
「私は別に問題ないけど」
「そう言う問題じゃないでしょ。アニエスらはC組なんだから、目の敵にされたらやっていけないでしょ。他クラスのあなたじゃ守れないから」
「ああ、そうか、アニエスのことはよく考えていなかったわ。もしいじめられたら言ってね。あのクソ生意気な王女に言ってあげるから。何なら、あのダミアンに護衛させるわよ」
「いやいや、それは無理でしょう」
青くなってアニエスが言うんだけど。
「あいつには貸しがあるから何でもさせられるわよ」
「いや、平民の護衛を近衛騎士がするのは流石にまずいわよ」
メラニーまでが言うんだけど。
「そうかな。まあ、何かあったら言ってね。幸いなことに中等部には弟も第二王子もいるから、何かあったら何でもさせるわよ」
「いえいえ、それやると、下手したら国際問題になってしまいますから」
「そおう? 何かあったら言ってね。たしか、この国の公爵の息子も同い年くらいで昔助けてやったことがあるのよね。何なら助けさせるわよ。何でも言ってね」
私をメラニーは呆れてみているんだけど。アニエスは必死に首を振っているし。
まあ、私は全然気にしていなかったんだけど。
この国の連中には早速、とんでもない生意気な平民が留学してきたと、あっという間に広まってしまったみたいだ。
うーん、雨降って地固まる。
これぞ、青春なのだ。
私はやる気満々だった!
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