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別邸にいた妹との再会
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入学式は滞りなく終わり、王宮へ戻る馬車の中でアルフレッドは考えていた。
マルゲリーターが、前公爵夫人だったキャサリンの血を引いていないのならば、婚約を続行する意味は無くなる。
それだけなら、諸手を挙げて喜んでいただろう。
しかしたとえ直系の血を引く娘であったとしても、庶子は王族になれない事をオルターナ公爵は知っているはずだ。
マルゲリーターが本当にキャサリンの血を引いていなかった場合、嫡子として扱った時点で王家を欺いた事になる。
これは由々しき問題であり、間違いなくオルターナ公爵家は、爵位を剥奪される。
この事実を父である国王に進言した場合、親友でもあり優秀な側近でもあるルーカスの立場は、どうなるのだろうか?
公爵とその後妻は間違いなく極刑になり、マルゲリーター本人は、事実を知っているか否かで処遇が変わるだろう。
ルーカスは真実を知っていながら黙っていた事で、最悪の場合極刑になる。
アルフレッドに胸の内を聞かせてくれていたあの時、国王の耳に一言だけでも入れていたら、何かが変わっていたかもしれない。
今更後悔しても遅いと分かってはいるが、悔やまれて仕方がなかった。
アルフレッドは王宮へ戻ると、執務室に居たルーカスを私室に呼び出し、首席で入学した男爵令嬢の事を知らせたのだ。
「今からとても信じられない事を話すが、落ち着いて聞いてくれ、ルーカス。私は今日入学式で、お前によく似た令嬢に会ったよ」
「僕に?それは、どう言う意味だ?まさか、別邸に居たマルゲリーターが見つかったのか」
「私には、分からない。彼女は、エレイン・フルール。フルール男爵家の令嬢だった」
「エレイン?マルゲリーターでは無く、エレインと言ったのか?フルール男爵家の養女になっていたと言うのか………」
「私も真相を知りたい。明日学園に行ったら、直接会って話をしてみないか?」
「分かった」
ルーカスとの話を終えたアルフレッドは、入学式での報告をする事にした為、国王への謁見を申し出た。
それが叶ったのは、三日後である。
そのたった三日の間に、学園ではルーカスとエレインを知らぬ者が居ないと思われる程、話題の中心になって行く事になる。
何処へ行っても、ルーカスは女性からの人気が高い。
すらりと伸びた手足に眩い金色の髪、蜂蜜を固めたかの様な琥珀色の瞳は、視線が合っただけで倒れてしまう夫人もいる位だ。
文武両道で公爵令息と言う身分も相まって、未来の公爵夫人の座を狙う女子生徒たちが集まって来るのも、日常の一部になっている。
そのルーカスによく似た令嬢が、首席で入学して来たのだから、騒ぎにならないわけがないのだ。
入学式の翌日から、エレインが籍を置く成績優秀者クラスの前では、その姿を一目でも見ようとする生徒であふれ返っていた。
そこへルーカスとアルフレッドが揃って現れたのだから、自然と道が開かれて野次馬の様に生徒たちは様子をうかがっている。
ルーカスが、教室の中にいるエレインを見つけると、ヒュッと喉を鳴らし固まってしまった。
僅かしか動かなかった表情を、長い付き合いであるアルフレッド以外には、気付きはしない。
固まって動こうとしないルーカスを置き去りにして、アルフレッドは教室内に入りエレインの前に立った。
こちらも驚きのあまり固まってしまった表情が、ルーカスとよく似ていると思ったが、構わずアルフレッドは問いかける。
「入学式での新入生代表の挨拶は素晴らしかったよ、エレイン・フルール男爵令嬢。少し話をしたいのだが、時間の都合はいかがかな?」
すぐに正気を取り戻し優雅に立ち上がったエレインは、読んでいた本を閉じてアルフレッドに向かって、美しい笑みを向けた。
学園では皆、平等に扱われる。
今、目の前にいる男がこの国の第一王子だったとしても、ここでは一人の学生に過ぎない。
エレインは、先輩の一人として対応したのだ。
「はい、アルフレッド殿下。お褒めのお言葉を頂き、嬉しく存じます。私は、何時でも構いませんが、どちらへお伺いしたら宜しいのでしょうか」
「ありがとう。このまま付いて来てくれると有難い。エスコートは、ルーカスに頼もうかな」
エレインは、アルフレッドに促され教室の入り口を見ると、そこには優しい笑みを携えたルーカスが立っていた。
どこか懐かしい感じがする自分とよく似た令息に、エレインは朧気だが兄の面影を重ねるのだった。
ルーカスはエレインをエスコートしながら、アルフレッドと共に教室の近くにある中庭へと連れて来た。
人払いをしたので、野次馬は自分たちの教室へと戻って行った。
エレインとルーカスが並んでいる姿は、誰が見ても明らかに分かる程よく似ていて、知らない者が聞いたら双子の兄妹と言っても信じる程だろう。
程よくシダが絡まっている真っ白なガゼボには、丸いテーブルを囲んで一人掛け用の椅子が四脚置かれていた。
ルーカスはハンカチを椅子に敷くと、エレインをそこへ座る様に促す。
エレインは、見慣れた刺繍に一瞬動きを止めたが、ルーカスの行為に甘えて椅子に腰かける事にした。
少し椅子を離して、ルーカスとアルフレッドが並んでエレインの前に腰かける。
時間が限られている為、手短に聞きたい事だけアルフレッドが問いかけた。
「私の隣に座っているのは、オルターナ公爵令息のルーカスだ。見ての通り君たちはよく似ていて、私はとても驚いている。君は孤児院で育ったと記憶しているが、話せる範囲で構わない。何故孤児院に居たのか、教えては貰えないだろうか」
「申し訳ありません、殿下。私自身、なぜ孤児院の前に置き去りにされたのか、理由が分からないのです。初めの一年間は、院長も両親を探して下さっておりましたが、手掛かりがハンカチしかなかったので諦めたのです。その後は男爵家に引き取られるまで、孤児として生活をしておりました」
「ハンカチ?それは、今でも持っているのかい」
「はい。こちらにございます」
エレインは、持っていたハンカチを差し出した。
そのハンカチを受け取り、広げて見たアルフレッドとルーカスは、愕然とした。
マルゲリーターではなく、エレインと刺繍されていたのだ。
しかしそのハンカチは、間違いなくルーカスの実母であるキャサリンが、娘に贈った物だと理解出来たのだ。
何故なら、このハンカチの模様と対になる模様のハンカチを、ルーカスが持っていたからである。
エレインが男爵家へ引き取られる事が決まり夫妻が迎えに来た時、院長は「幸せになりなさい」と言いながら、母親から誕生日プレゼントとして贈られたハンカチを返してくれたのだ。
あのままエレインが持っていたら、間違いなく他の子供たちに取り上げられていただろう。
たとえ名前を間違えてしまったのだとしても、母が刺繍をした物に変わりはなく、エレインにとっては大切な宝物なのだ。
その為このハンカチを、毎日肌身離さず大切に持ち歩いていたのである。
ハンカチが手元に戻って来た時、院長の厳しさの中にある優しさを見付けた気がして、心の底から感謝したのだった。
あのまま大人になっていたら、一人で生きていかなくてはならない。
子供の嫌がらせよりも、大人の嫌がらせの方が、何倍も恐ろしい。
院長は温室の中で育ってきたであろうエレインに、生きる事の厳しさを身を持って体験させてくれたのかもしれないと思うのである。
しかしそれは、ただの思い違いでしかない。
院長は犯罪に手を染めてまで、大金を手に入れたいと考える人物では無かっただけだった。
幸せになりなさいと言ったのも、ただの社交辞令に過ぎない。
名入りのハンカチを売り飛ばさなかったのも、後々面倒な事になるのを避けただけで、深い意味はないのである。
それでも奴隷商人に売られなかっただけ、院長はエレインから感謝されるに値する人物だったのかもしれない。
もしもこのハンカチを見せる事が出来なければ、アルフレッドは疑問を持ち続けるだけだった。
奴隷商人に売り飛ばされていたら、ルーカスとは二度と会えなかっただろう。
院長は己の与り知らぬところで、公爵令息と第一王子にも感謝されるのであった。
「フルール男爵令嬢。辛い記憶を掘り起こしてしまう様で申し訳ないが、孤児院へ行く前の記憶はないのかい」
「何人か使用人の居る屋敷で、母と共に過ごしていたのは覚えているのです。母によく似た兄もいたと思います。ですが、一緒に暮らしていたわけではないので、顔も名前も忘れてしまいました」
「そうか…他に何か変わった事も、覚えてはいないのかい。例えば髪の色とか」
「髪、ですか?孤児院に来たばかりの頃は、今とは違ったのだと思います。長く伸ばしていた髪の毛を切られた時に、金色だったらもっと高く売れたのだと、子供たちに言われた記憶がありますから…孤児院に鏡はありませんので、自分の姿を認識したのは、男爵家に引き取られた時でした。十歳になっていましたが、その頃から髪色は変わっていないと思います」
生まれてから髪色や、瞳の色が濃くなったり薄くなったりする事は、珍しくはない。
彼女もきっと、幼い頃は公爵によく似た茶髪で、成長するにつれて夫人に似て来たのだろう事が窺えた。
公爵にはよく似ているがキャサリンとは共通点の無いマルゲリーターよりも、キャサリンと同じ色で公爵の面影も残しているエレインの方が、オルターナ公爵家の嫡子である確率は高い。
ルーカスは血の繋がりによる何かを感じ取ったのか、話が終わると初対面である貴族令嬢だというのに、エレインを抱きしめて泣き出したのだ。
「エレイン。エレイン。生きていてくれてありがとう。僕の前に現れてくれてありがとう。大切な僕の妹、忘れた事など一度も無い。再会出来て嬉しい、僕の事は、兄と呼んでくれ。エリー、もう話さない。愛している」
そんな彼女も嫌がる素振りは見せず、黙ってルーカスを受け入れていた。
エレインが現れた事でマルゲリーターが庶子である事を、早い段階で国王は知る事になるだろうと、アルフレッドは思うのであった。
マルゲリーターが、前公爵夫人だったキャサリンの血を引いていないのならば、婚約を続行する意味は無くなる。
それだけなら、諸手を挙げて喜んでいただろう。
しかしたとえ直系の血を引く娘であったとしても、庶子は王族になれない事をオルターナ公爵は知っているはずだ。
マルゲリーターが本当にキャサリンの血を引いていなかった場合、嫡子として扱った時点で王家を欺いた事になる。
これは由々しき問題であり、間違いなくオルターナ公爵家は、爵位を剥奪される。
この事実を父である国王に進言した場合、親友でもあり優秀な側近でもあるルーカスの立場は、どうなるのだろうか?
公爵とその後妻は間違いなく極刑になり、マルゲリーター本人は、事実を知っているか否かで処遇が変わるだろう。
ルーカスは真実を知っていながら黙っていた事で、最悪の場合極刑になる。
アルフレッドに胸の内を聞かせてくれていたあの時、国王の耳に一言だけでも入れていたら、何かが変わっていたかもしれない。
今更後悔しても遅いと分かってはいるが、悔やまれて仕方がなかった。
アルフレッドは王宮へ戻ると、執務室に居たルーカスを私室に呼び出し、首席で入学した男爵令嬢の事を知らせたのだ。
「今からとても信じられない事を話すが、落ち着いて聞いてくれ、ルーカス。私は今日入学式で、お前によく似た令嬢に会ったよ」
「僕に?それは、どう言う意味だ?まさか、別邸に居たマルゲリーターが見つかったのか」
「私には、分からない。彼女は、エレイン・フルール。フルール男爵家の令嬢だった」
「エレイン?マルゲリーターでは無く、エレインと言ったのか?フルール男爵家の養女になっていたと言うのか………」
「私も真相を知りたい。明日学園に行ったら、直接会って話をしてみないか?」
「分かった」
ルーカスとの話を終えたアルフレッドは、入学式での報告をする事にした為、国王への謁見を申し出た。
それが叶ったのは、三日後である。
そのたった三日の間に、学園ではルーカスとエレインを知らぬ者が居ないと思われる程、話題の中心になって行く事になる。
何処へ行っても、ルーカスは女性からの人気が高い。
すらりと伸びた手足に眩い金色の髪、蜂蜜を固めたかの様な琥珀色の瞳は、視線が合っただけで倒れてしまう夫人もいる位だ。
文武両道で公爵令息と言う身分も相まって、未来の公爵夫人の座を狙う女子生徒たちが集まって来るのも、日常の一部になっている。
そのルーカスによく似た令嬢が、首席で入学して来たのだから、騒ぎにならないわけがないのだ。
入学式の翌日から、エレインが籍を置く成績優秀者クラスの前では、その姿を一目でも見ようとする生徒であふれ返っていた。
そこへルーカスとアルフレッドが揃って現れたのだから、自然と道が開かれて野次馬の様に生徒たちは様子をうかがっている。
ルーカスが、教室の中にいるエレインを見つけると、ヒュッと喉を鳴らし固まってしまった。
僅かしか動かなかった表情を、長い付き合いであるアルフレッド以外には、気付きはしない。
固まって動こうとしないルーカスを置き去りにして、アルフレッドは教室内に入りエレインの前に立った。
こちらも驚きのあまり固まってしまった表情が、ルーカスとよく似ていると思ったが、構わずアルフレッドは問いかける。
「入学式での新入生代表の挨拶は素晴らしかったよ、エレイン・フルール男爵令嬢。少し話をしたいのだが、時間の都合はいかがかな?」
すぐに正気を取り戻し優雅に立ち上がったエレインは、読んでいた本を閉じてアルフレッドに向かって、美しい笑みを向けた。
学園では皆、平等に扱われる。
今、目の前にいる男がこの国の第一王子だったとしても、ここでは一人の学生に過ぎない。
エレインは、先輩の一人として対応したのだ。
「はい、アルフレッド殿下。お褒めのお言葉を頂き、嬉しく存じます。私は、何時でも構いませんが、どちらへお伺いしたら宜しいのでしょうか」
「ありがとう。このまま付いて来てくれると有難い。エスコートは、ルーカスに頼もうかな」
エレインは、アルフレッドに促され教室の入り口を見ると、そこには優しい笑みを携えたルーカスが立っていた。
どこか懐かしい感じがする自分とよく似た令息に、エレインは朧気だが兄の面影を重ねるのだった。
ルーカスはエレインをエスコートしながら、アルフレッドと共に教室の近くにある中庭へと連れて来た。
人払いをしたので、野次馬は自分たちの教室へと戻って行った。
エレインとルーカスが並んでいる姿は、誰が見ても明らかに分かる程よく似ていて、知らない者が聞いたら双子の兄妹と言っても信じる程だろう。
程よくシダが絡まっている真っ白なガゼボには、丸いテーブルを囲んで一人掛け用の椅子が四脚置かれていた。
ルーカスはハンカチを椅子に敷くと、エレインをそこへ座る様に促す。
エレインは、見慣れた刺繍に一瞬動きを止めたが、ルーカスの行為に甘えて椅子に腰かける事にした。
少し椅子を離して、ルーカスとアルフレッドが並んでエレインの前に腰かける。
時間が限られている為、手短に聞きたい事だけアルフレッドが問いかけた。
「私の隣に座っているのは、オルターナ公爵令息のルーカスだ。見ての通り君たちはよく似ていて、私はとても驚いている。君は孤児院で育ったと記憶しているが、話せる範囲で構わない。何故孤児院に居たのか、教えては貰えないだろうか」
「申し訳ありません、殿下。私自身、なぜ孤児院の前に置き去りにされたのか、理由が分からないのです。初めの一年間は、院長も両親を探して下さっておりましたが、手掛かりがハンカチしかなかったので諦めたのです。その後は男爵家に引き取られるまで、孤児として生活をしておりました」
「ハンカチ?それは、今でも持っているのかい」
「はい。こちらにございます」
エレインは、持っていたハンカチを差し出した。
そのハンカチを受け取り、広げて見たアルフレッドとルーカスは、愕然とした。
マルゲリーターではなく、エレインと刺繍されていたのだ。
しかしそのハンカチは、間違いなくルーカスの実母であるキャサリンが、娘に贈った物だと理解出来たのだ。
何故なら、このハンカチの模様と対になる模様のハンカチを、ルーカスが持っていたからである。
エレインが男爵家へ引き取られる事が決まり夫妻が迎えに来た時、院長は「幸せになりなさい」と言いながら、母親から誕生日プレゼントとして贈られたハンカチを返してくれたのだ。
あのままエレインが持っていたら、間違いなく他の子供たちに取り上げられていただろう。
たとえ名前を間違えてしまったのだとしても、母が刺繍をした物に変わりはなく、エレインにとっては大切な宝物なのだ。
その為このハンカチを、毎日肌身離さず大切に持ち歩いていたのである。
ハンカチが手元に戻って来た時、院長の厳しさの中にある優しさを見付けた気がして、心の底から感謝したのだった。
あのまま大人になっていたら、一人で生きていかなくてはならない。
子供の嫌がらせよりも、大人の嫌がらせの方が、何倍も恐ろしい。
院長は温室の中で育ってきたであろうエレインに、生きる事の厳しさを身を持って体験させてくれたのかもしれないと思うのである。
しかしそれは、ただの思い違いでしかない。
院長は犯罪に手を染めてまで、大金を手に入れたいと考える人物では無かっただけだった。
幸せになりなさいと言ったのも、ただの社交辞令に過ぎない。
名入りのハンカチを売り飛ばさなかったのも、後々面倒な事になるのを避けただけで、深い意味はないのである。
それでも奴隷商人に売られなかっただけ、院長はエレインから感謝されるに値する人物だったのかもしれない。
もしもこのハンカチを見せる事が出来なければ、アルフレッドは疑問を持ち続けるだけだった。
奴隷商人に売り飛ばされていたら、ルーカスとは二度と会えなかっただろう。
院長は己の与り知らぬところで、公爵令息と第一王子にも感謝されるのであった。
「フルール男爵令嬢。辛い記憶を掘り起こしてしまう様で申し訳ないが、孤児院へ行く前の記憶はないのかい」
「何人か使用人の居る屋敷で、母と共に過ごしていたのは覚えているのです。母によく似た兄もいたと思います。ですが、一緒に暮らしていたわけではないので、顔も名前も忘れてしまいました」
「そうか…他に何か変わった事も、覚えてはいないのかい。例えば髪の色とか」
「髪、ですか?孤児院に来たばかりの頃は、今とは違ったのだと思います。長く伸ばしていた髪の毛を切られた時に、金色だったらもっと高く売れたのだと、子供たちに言われた記憶がありますから…孤児院に鏡はありませんので、自分の姿を認識したのは、男爵家に引き取られた時でした。十歳になっていましたが、その頃から髪色は変わっていないと思います」
生まれてから髪色や、瞳の色が濃くなったり薄くなったりする事は、珍しくはない。
彼女もきっと、幼い頃は公爵によく似た茶髪で、成長するにつれて夫人に似て来たのだろう事が窺えた。
公爵にはよく似ているがキャサリンとは共通点の無いマルゲリーターよりも、キャサリンと同じ色で公爵の面影も残しているエレインの方が、オルターナ公爵家の嫡子である確率は高い。
ルーカスは血の繋がりによる何かを感じ取ったのか、話が終わると初対面である貴族令嬢だというのに、エレインを抱きしめて泣き出したのだ。
「エレイン。エレイン。生きていてくれてありがとう。僕の前に現れてくれてありがとう。大切な僕の妹、忘れた事など一度も無い。再会出来て嬉しい、僕の事は、兄と呼んでくれ。エリー、もう話さない。愛している」
そんな彼女も嫌がる素振りは見せず、黙ってルーカスを受け入れていた。
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