虐げられ令嬢の最後のチャンス〜今度こそ幸せになりたい

みおな

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二度目の人生

歪む思い出

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 最初は幸せな、喜びに溢れた文章だったのが、少しずつ翳りを纏い始める。

『この子は、レティーナは間違いなく旦那様の子供なのに、どうして旦那様は信じてくれないの?』

『愛していると言ってくれたのに、どうして旦那様は帰ってこないの?』

『今日も旦那様は帰ってこない。レティーナが不審に思わないかしら』

『レティーナ、レティーナ。愛しているわ。貴女は私と旦那様の子供なのよ』

 旦那様、つまり私の父親である元男爵令息のアルバーソン伯爵当主は、私が生まれてから屋敷に帰らなくなったようだ。

 あの、サロメの年齢を見れば分かる。
私とほとんど年の変わらない義妹。

 私を自分の子ではないと言ったあの父親は、最愛であったはずのお母様と生まれたばかりの私を捨てて、愛人を作ったのだ。

 前回、私以外の女性を愛した旦那様を思い出す。

 あの人は、私を愛してはいなかった。
だから私を蔑ろにしていたことはある意味理解できる。

 だけど、お父様はお母様を愛していたのではないのか。

 私が生まれるのを、心待ちにしていてくれたのではないのか。

 髪色と瞳の色が自分の色でないから?

 そんなのは当たり前だ。
子供はより強い方の血を引く。

 男爵家であったお父様の家系は、今まで同じ男爵家か平民としか婚姻してこなかったのだろう。

 だから、子供は強い方である男爵家の血を引いた。

 だけど、お母様は皇国の皇女だ。
当然、男爵家令息であるお父様より強い血を持っている。

 お父様が公爵令息や王族だったなら、髪色か瞳の色、どちらかくらいはお父様譲りになったかもしれないが。

 大体、髪色と瞳の色が違うからといって、不貞を疑う方がどうかしている。

 お母様は、たまたまお父様に一目惚れしたけれど、他国の王族に嫁ぐ可能性の方が高かったのだ。

 国にもよるだろうが、基本的に花嫁には純潔が求められる。

 特に王族の花嫁になる者には、それが強く求められるのだ。

 王族に嫁ぐ可能性のあったお母様が、他の男性と、そういうことをするわけがない。

 何度、違うと伝えても聞いてもらえず、家を出て行って帰ってこないお父様に、お母様の心と体は少しずつ弱っていった。

 お父様が帰ってこないことで、使用人たちもお母様に段々と冷たくなっていったようだ。

 だけど、それでもレティーナがいることで、お母様はまだ僅かな望みを持てていた。

 きっと理解ってくれる。
自分と娘の元に戻って来てくれる。

 それが壊れたのは、私が五歳の時。
私と共に街に出掛けたお母様は、見てしまったのだ。

 幸せそうな家族を。
その金髪の幼子が、お父様と呼ぶ男性が、最愛の旦那様だと知ってしまった。
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