45 / 107
再びやってきた悪役令嬢
しおりを挟む
「ちょっと!私はバッカス侯爵家の娘なのよ!ここにラーナがいるでしょう!ピスエア子爵令嬢のラーナよ!出しなさい!」
その声に、私は足を止めた。
城外の声が、城内まで聞こえるというわけではない。
たまたま城内を散歩中だったのだ。
ロイドはラーナと、サリフィルはヒルデと、王太子の執務室で逢瀬を楽しんでいる。
本来なら第一王子でしかないロイドが使える部屋ではないのだけど、国王陛下の計らいでお借りできた。
現在使われていない場所でもあるので、王宮の使用人たちも近付かない。
というか、通路に立ち入り禁止の立て札が立ってたわ。
ロイドはラーナを見かけることくらいはできるだろうけど、妹の侍女に親しげに話しかけるわけにはいかない。
サリフィルに至っては、ヒルデは他国の令嬢である私の侍女扱いだから、会うこともままならない。
二人とも周囲を欺くためとはいえ、恋人と会話もままならないのは辛い。
というわけで、王族が味方のこの国で短い逢瀬を楽しんでもらうことにしたのだ。
二時間ほど暇ができたので、街に出かけようかと思って、レーチェル姫に馬車を借りたいとお願いしたんだけど、出かけるなら案内したいから一時間ほど待っていて欲しいと言われたのだ。
仕方ないので、城内をウロウロと散策していたのだが・・・
確かに、城にラーナはいる。
だけど、ラーナは現在レーチェル王女殿下の侍女。
いくら身内だからといって、王女の許可なく呼び出せるものではない。
えーと、前回の不思議理論といい、この人本当に侯爵令嬢?
公爵家や侯爵家って、幼い頃から厳しい教育を受けている・・・はずよね?
私はオズワルド公爵家ではいない者扱いだったけど、教育だけは受けていた。
まぁ、政略結婚で嫁に出す際にオズワルド公爵家の娘が無教養では家の恥になるものね。
その上、セニヨン公爵家の養女になってからは、お祖母様の指導が厳しかった。
元々アザリウム王家の王女殿下であったお祖母様も、幼い頃から厳しい教育を受けていたのだろう。
レーチェル殿下も、現在マナーのお勉強中である。
だから、それが終わるまで待っていて欲しいと言ったのだ。
つまりは、そういう教育はアザリウム王国に限ったわけではないということなんだけど・・・
うん。大丈夫か?バッカス侯爵家。
娘があんなんで、お家取り潰しとか笑い事じゃないんだけど。
ロイドが言って、王家からバッカス侯爵家に抗議が行ったはずなんだけど。
え?無視なの?それとも言っても聞かないの?
どっちにしろ、ここ王城なんだけど。
そこでそんな喚くって・・・
侯爵家の教育って一体・・・
その声に、私は足を止めた。
城外の声が、城内まで聞こえるというわけではない。
たまたま城内を散歩中だったのだ。
ロイドはラーナと、サリフィルはヒルデと、王太子の執務室で逢瀬を楽しんでいる。
本来なら第一王子でしかないロイドが使える部屋ではないのだけど、国王陛下の計らいでお借りできた。
現在使われていない場所でもあるので、王宮の使用人たちも近付かない。
というか、通路に立ち入り禁止の立て札が立ってたわ。
ロイドはラーナを見かけることくらいはできるだろうけど、妹の侍女に親しげに話しかけるわけにはいかない。
サリフィルに至っては、ヒルデは他国の令嬢である私の侍女扱いだから、会うこともままならない。
二人とも周囲を欺くためとはいえ、恋人と会話もままならないのは辛い。
というわけで、王族が味方のこの国で短い逢瀬を楽しんでもらうことにしたのだ。
二時間ほど暇ができたので、街に出かけようかと思って、レーチェル姫に馬車を借りたいとお願いしたんだけど、出かけるなら案内したいから一時間ほど待っていて欲しいと言われたのだ。
仕方ないので、城内をウロウロと散策していたのだが・・・
確かに、城にラーナはいる。
だけど、ラーナは現在レーチェル王女殿下の侍女。
いくら身内だからといって、王女の許可なく呼び出せるものではない。
えーと、前回の不思議理論といい、この人本当に侯爵令嬢?
公爵家や侯爵家って、幼い頃から厳しい教育を受けている・・・はずよね?
私はオズワルド公爵家ではいない者扱いだったけど、教育だけは受けていた。
まぁ、政略結婚で嫁に出す際にオズワルド公爵家の娘が無教養では家の恥になるものね。
その上、セニヨン公爵家の養女になってからは、お祖母様の指導が厳しかった。
元々アザリウム王家の王女殿下であったお祖母様も、幼い頃から厳しい教育を受けていたのだろう。
レーチェル殿下も、現在マナーのお勉強中である。
だから、それが終わるまで待っていて欲しいと言ったのだ。
つまりは、そういう教育はアザリウム王国に限ったわけではないということなんだけど・・・
うん。大丈夫か?バッカス侯爵家。
娘があんなんで、お家取り潰しとか笑い事じゃないんだけど。
ロイドが言って、王家からバッカス侯爵家に抗議が行ったはずなんだけど。
え?無視なの?それとも言っても聞かないの?
どっちにしろ、ここ王城なんだけど。
そこでそんな喚くって・・・
侯爵家の教育って一体・・・
6
お気に入りに追加
415
あなたにおすすめの小説
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
【完結】許婚の子爵令息から婚約破棄を宣言されましたが、それを知った公爵家の幼馴染から溺愛されるようになりました
八重
恋愛
「ソフィ・ルヴェリエ! 貴様とは婚約破棄する!」
子爵令息エミール・エストレが言うには、侯爵令嬢から好意を抱かれており、男としてそれに応えねばならないというのだ。
失意のどん底に突き落とされたソフィ。
しかし、婚約破棄をきっかけに幼馴染の公爵令息ジル・ルノアールから溺愛されることに!
一方、エミールの両親はソフィとの婚約破棄を知って大激怒。
エミールの両親の命令で『好意の証拠』を探すが、侯爵令嬢からの好意は彼の勘違いだった。
なんとかして侯爵令嬢を口説くが、婚約者のいる彼女がなびくはずもなく……。
焦ったエミールはソフィに復縁を求めるが、時すでに遅し──
【完結】悪役令嬢に転生したようです。アレして良いですか?【再録】
仲村 嘉高
恋愛
魔法と剣の世界に転生した私。
「嘘、私、王子の婚約者?」
しかも何かゲームの世界???
私の『宝物』と同じ世界???
平民のヒロインに甘い事を囁いて、公爵令嬢との婚約を破棄する王子?
なにその非常識な設定の世界。ゲームじゃないのよ?
それが認められる国、大丈夫なの?
この王子様、何を言っても聞く耳持ちゃしません。
こんなクソ王子、ざまぁして良いですよね?
性格も、口も、決して良いとは言えない社会人女性が乙女ゲームの世界に転生した。
乙女ゲーム?なにそれ美味しいの?そんな人が……
ご都合主義です。
転生もの、初挑戦した作品です。
温かい目で見守っていただければ幸いです。
本編97話・乙女ゲーム部15話
※R15は、ざまぁの為の保険です。
※他サイトでも公開してます。
※なろうに移行した作品ですが、R18指定され、非公開措置とされました(笑)
それに伴い、作品を引き下げる事にしたので、こちらに移行します。
昔の作品でかなり拙いですが、それでも宜しければお読みください。
※感想は、全て読ませていただきますが、なにしろ昔の作品ですので、基本返信はいたしませんので、ご了承ください。
転生できる悪役令嬢に転生しました。~執着婚約者から逃げられません!
九重
恋愛
気がつけば、とある乙女ゲームの悪役令嬢に転生していた主人公。
しかし、この悪役令嬢は十五歳で死んでしまう不治の病にかかった薄幸な悪役令嬢だった。
ヒロインをいじめ抜いたあげく婚約者に断罪され、心身ともに苦しみ抜いて死んでしまう悪役令嬢は、転生して再び悪役令嬢――――いや悪役幼女として活躍する。
しかし、主人公はそんなことまっぴらゴメンだった。
どうせ転生できるならと、早々に最初の悪役令嬢の人生から逃げだそうとするのだが……
これは、転生できる悪役令嬢に転生した主人公が、執着婚約者に捕まって幸せになる物語。
そして乙女ゲームは始まらなかった
お好み焼き
恋愛
気付いたら9歳の悪役令嬢に転生してました。前世でプレイした乙女ゲームの悪役キャラです。悪役令嬢なのでなにか悪さをしないといけないのでしょうか?しかし私には誰かをいじめる趣味も性癖もありません。むしろ苦しんでいる人を見ると胸が重くなります。
一体私は何をしたらいいのでしょうか?
ヒロインの味方のモブ令嬢は、ヒロインを見捨てる
mios
恋愛
ヒロインの味方をずっとしておりました。前世の推しであり、やっと出会えたのですから。でもね、ちょっとゲームと雰囲気が違います。
どうやらヒロインに利用されていただけのようです。婚約者?熨斗つけてお渡ししますわ。
金の切れ目は縁の切れ目。私、鞍替え致します。
ヒロインの味方のモブ令嬢が、ヒロインにいいように利用されて、悪役令嬢に助けを求めたら、幸せが待っていた話。
転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる
花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。
未来の記憶を手に入れて~婚約破棄された瞬間に未来を知った私は、受け入れて逃げ出したのだが~
キョウキョウ
恋愛
リムピンゼル公爵家の令嬢であるコルネリアはある日突然、ヘルベルト王子から婚約を破棄すると告げられた。
その瞬間にコルネリアは、処刑されてしまった数々の未来を見る。
絶対に死にたくないと思った彼女は、婚約破棄を快く受け入れた。
今後は彼らに目をつけられないよう、田舎に引きこもって地味に暮らすことを決意する。
それなのに、王子の周りに居た人達が次々と私に求婚してきた!?
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる