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その物語の要

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 あの攻略ゲームの要は、リリーシアが聖女になること。

 愛するリリーシアが聖女となったことで、レオナルドは婚約者のローズマリアではなく、リリーシアを婚約者にと望むことが出来る。

 王家としても、同じ公爵令嬢なら聖女を迎え入れたいから。

 ローズマリアは、オズワルド公爵家にとって、存在しない者。

 その家から抜け出せる機会である結婚相手が、幼馴染で姉のリリーシア以外で自分を認めてくれたレオナルドであったことは、ローズマリアにとって唯一の心の拠り所だった。

 だから、絶望した。

 自分の拠り所を奪った聖女も、自分を裏切った勇者も、それを後押しした王家も公爵家も、全てが許せなかった。

 だから、魔王になった・・・のだと思っていた。

 だけど、聖女も勇者も、そして魔王も全てが王家の血筋から生まれているのなら、何か別の・・・それこそ神の思惑があるのかもしれない。

 私はこの世界が攻略ゲーム『純白の百合、漆黒の薔薇』そのものだとは思っていない。

 ただ、登場人物は同じだし、世界観も同じ。

 だから、ゲーム通りに進むことを避けるために、セニヨン公爵家の養女になり、レオナルドとの婚約を回避した。

 リリーシアにもレオナルドにも依存していなくて、むしろどっちかと言うと嫌いだから、彼らが結ばれたからといって絶望することもない。

 なら、魔王になることもないだろうと思っていたけど・・・

 レオナルドが神託を受けたなら、可能性は百パーセントゼロではないのかもしれない。

 どうして女神は、リリーシアに神託をおろさないの?

 そもそも何故、リリーシアが聖女の力を目覚めさせていない今、神託をおろしたの?

 五年後なら、リリーシアは聖女になっている可能性が高いのに。

 そうすれば、聖女に神託を下ろすというゲーム通りの展開になるのに。

 でも、が魔王にならなかったら、誰が魔王になるの?

 魔王が王家の血筋だというのなら、可能性があるのは公爵家五家の人間。

 その中に、ローズマリアが感じたような絶望を感じる人間がいるの?

 私はオズワルド公爵家にいた時は、他家と交流することは許されていなかったし、セニヨン公爵家に養女に行ってからは、すぐに擬装婚約を決めて、こうやって他国へ出たから、他の五家のことはほとんど分からない。

 調べるべき?
でも、レオナルドの勇者の件も、まだ勇者になるための試練を受ける資格を得た程度だし。

 そういや、アザリウム王国の勇者と聖女の話って、他国ではどう伝わっているのかしら?

 そのあたりから調べた方が良さそうね。
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