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お願いがあるの

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「それで、今朝は朝からどうしたのかしら」

 美味しい紅茶をいただきながら、お祖母様の問いかけにピクリと反応する。

 ちなみにカイルは、セニヨン公爵家の執事に、色々と教わり中だ。

 オズワルド公爵家の使用人は、雇い主の公爵夫妻が『いないもの』として扱っているから、ローズマリアに話しかけたりはしない。

 しないけど、だからってイジメをするほど愚かでもない。

 食事も、ローズマリアは公爵夫妻と一緒には摂らないから、カイルにこっそりと渡して、部屋に運ぶように手配してくれている。

 洗濯だって、カイルがまとめて来たのを、使用人たちの洗濯と一緒にまとめて洗ってくれている。

 そこまで嫌なら、養子にでも出せば良いのに、リリーシアが嫌だと言う為、両親はローズマリアを切り捨てることが出来ない。

 ローズマリアは、いつかは両親が自分を見てくれるのではと望みを捨てきれなかったみたいだけど、私は違う。

 そんな毒親は、こっちから捨てるべきだと思っている。

 ただ、ローズマリアは十歳の子供だ。
前世と同じで、成人までは親の監督下におかれる。

 それを覆せるのは、王族だけだ。
国王陛下か王妃殿下の許可があれば、親の許可がなくても貴族籍から抜けることも、他家へ養子縁組することも出来る。

 実際、ゲーム内で養子に行くという話は出ていた。

 主人公であるリリーシアが、拒否したため、ローズマリアの養子縁組の話は消え、そして王太子レオナルドとの婚約話が浮上する。

 もし・・・
もしも養子縁組が成っていたら、ローズマリアがレオナルドと婚約することはなかっただろう。

 アレは、王家とオズワルド公爵家の契約。

 同じ公爵家だが、数代前に王家と縁組しているセニヨン公爵家は、しばらくは王家と縁を結ばないことになっている。

 養子縁組が成っていたなら、ローズマリアは魔王にならなかった可能性がある。

 アレは、心の拠り所の婚約者と姉に裏切られたことで起きるのだから。

「お祖母様。お願いがあるのです。私を、お祖母様の本当の孫にしてくださいませんか?」

「ローズ、それは・・・言ってごらんなさい?もしかして家で何かあったの?」

 お祖母様は、私が両親から『いないもの』として扱われていることを知っている。

 知っているから、両親に苦言を呈してくれた。

 そのおかげで、ローズマリアはドレスを買うお金を、カイル経由だがもらうことが出来た。

 そうでなければ、ローズマリアは下着や小物ひとつ、まともに買えなかっただろう。

 いらないなら・・・
リリーシアの気持ちなんか無視して、捨ててくれれば良かったのに。

 ローズマリアはあの人たちのせいで、死ぬことになった。

 私は絶対に、生き残ってみせる。
 
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