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お祖母様
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私の言うお祖母様とは、実の祖母ではない。
母の妹、つまりはローズマリアの叔母の嫁ぎ先の母親、叔母の義母のことである。
両親の愛を全く与えられなかったローズマリアだが、まだ叔母は多少なりとも気にしてくれた。
そして何故か、その叔母の義母がローズマリアのことを可愛がってくれたのだ。
血の繋がりのカケラもない他人の方が、ローズマリアに優しかった。
叔母の嫁ぎ先セニヨン公爵家は、オズワルド公爵家からそう離れていない場所に王都の邸宅がある。
ああ。
オズワルド公爵家は母親の実家であり、父親は入婿だ。
この国は爵位は男性でないと継げないから、姉妹しかいなかったオズワルド公爵家は長女に婿を取ったのだ。
祖父と祖母は、父親が婿に来て爵位を継いだあとに領地へ居を移した、そうだ。
ローズマリアはどうかは知らないが、私は会ったことがないし、ゲーム内でも祖父母は出てこなかったので、どういう人か分からない。
まぁ、あの母親の親なので、私としては何の期待もしていない。
「お祖母様!」
セニヨン公爵家に着くと、私はセニヨン前公爵夫人の部屋へと案内された。
私がローズマリアになる前、何度も訪れているらしく、すぐに案内してもらえる。
ちなみに、前公爵も、それから叔母のご主人の現公爵も、ローズマリアに優しい。
「ローズ、ちゃんとご挨拶なさい」
「ごめんなさい、お祖母様。ごきげんよう、セニヨン前公爵夫人」
「いらっしゃい、オズワルド公爵令嬢。朝御飯は食べたの?」
「はい。カイルがサンドイッチを作ってくれたので」
高位貴族や王族には、常に暗殺の危険が付きまとう。
だから基本的に、毒味をしていない物は口にしない。
だけど、前世が日本人、しかも思い出せないけど多分一般人な私としては、そこまで神経質になる気はない。
食べたい物は食べるし、食べたくない物は食べない。
だからお姉様の誘いを蹴って、セニヨン公爵家にやってきた。
空気のように扱われながらする食事。美味しいわけがない。
ゲームであった描写では、ローズマリアは家族との食事の後、ストレスからか嘔吐していたし。
「・・・そう。なら、お茶にしましょうか」
お祖母様がそう言うと、扉が開きすぐに侍女がお茶の準備を始めた。
さすが公爵家。
このゲームでは、高位貴族の家の使用人は、伯爵家以上のご令嬢がほとんどだった。
男性の場合は、家令や執事専用の家系があって、そこの家が代々務めていた。
だからカイルが私専属、というのは高位貴族である公爵家としては異例中の異例と言っていい。
そのことにも、お祖母様・・・セニヨン前公爵夫人も叔母さまも不快感をもたれているようだった。
母の妹、つまりはローズマリアの叔母の嫁ぎ先の母親、叔母の義母のことである。
両親の愛を全く与えられなかったローズマリアだが、まだ叔母は多少なりとも気にしてくれた。
そして何故か、その叔母の義母がローズマリアのことを可愛がってくれたのだ。
血の繋がりのカケラもない他人の方が、ローズマリアに優しかった。
叔母の嫁ぎ先セニヨン公爵家は、オズワルド公爵家からそう離れていない場所に王都の邸宅がある。
ああ。
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セニヨン公爵家に着くと、私はセニヨン前公爵夫人の部屋へと案内された。
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ちなみに、前公爵も、それから叔母のご主人の現公爵も、ローズマリアに優しい。
「ローズ、ちゃんとご挨拶なさい」
「ごめんなさい、お祖母様。ごきげんよう、セニヨン前公爵夫人」
「いらっしゃい、オズワルド公爵令嬢。朝御飯は食べたの?」
「はい。カイルがサンドイッチを作ってくれたので」
高位貴族や王族には、常に暗殺の危険が付きまとう。
だから基本的に、毒味をしていない物は口にしない。
だけど、前世が日本人、しかも思い出せないけど多分一般人な私としては、そこまで神経質になる気はない。
食べたい物は食べるし、食べたくない物は食べない。
だからお姉様の誘いを蹴って、セニヨン公爵家にやってきた。
空気のように扱われながらする食事。美味しいわけがない。
ゲームであった描写では、ローズマリアは家族との食事の後、ストレスからか嘔吐していたし。
「・・・そう。なら、お茶にしましょうか」
お祖母様がそう言うと、扉が開きすぐに侍女がお茶の準備を始めた。
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男性の場合は、家令や執事専用の家系があって、そこの家が代々務めていた。
だからカイルが私専属、というのは高位貴族である公爵家としては異例中の異例と言っていい。
そのことにも、お祖母様・・・セニヨン前公爵夫人も叔母さまも不快感をもたれているようだった。
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