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王都の様子

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 王都にあるアデライン子爵家に到着いたしました。

 パーティーは三日後です。
少し、ゆっくり出来ますわね。

「長旅で疲れただろう?ゆっくり休むといい」

「ありがとうございます、お父様。お兄様は、王宮ですか?」

 お父様とお母様が出迎えてくださったのですが、お兄様の姿が見えません。

 王宮で、国王になるための教育中かしら?

「ええ。ちょっと打ち合わせにね」

「打ち合わせ?」

「どうやらデルモンドの息子が、ミリムと再び婚約しようとしているらしくてな。しかも、実力行使するつもりらしい」

 お父様の言葉に、お母様とユリウス様が顔をしかめます。

 実力行使って、つまりは私が婚約を受け入れるしかないように、体の関係を持とうとしているということ?

「気持ち悪い」

 思わず私は、そう言ってしまいました。

 だってユリウス様としたことを、デルモンド侯爵子息様とするということでしょう?

 考えただけで、肌にサブイボができますわ。

「そうよね、女に無理矢理関係を迫ろうなんて、屑もいいところだわ。それでね、ラナリス様のことをミリムだと思い込んでいるでしょう?万が一のことがあってはいけないから、その辺りのことを話しに行っているのよ」

 お母様の言葉に、ハッとしました。
そうです。あの人は、ラナリス様のことを婚約者だと思い込んでいて、婚約破棄を宣言したんでしたわ。

 顔を覚えているのか、単に銀髪と銀の瞳だけで判断しているのかは分かりませんが。

「ミリムも、ユリウス様のそばを離れないようにね。離れなきゃならない時は、私かそれこそラナリス様のお側にいなさい。いいわね?」

「はい、お母様」

 あんな人に触れられるなんて冗談でも嫌ですから、素直にお母様の言いつけに従います。

「まぁ、二人の結婚祝いのパーティーだから離れることはないと思うが、くれぐれも気をつけるようにな。デルモンドの息子のことは、アチラもお手上げのようだ。平民になるのが嫌なら、キチンと職を探せと言っても聞きやしないらしい。挙句にミリムと結婚すれば良いんだろうと言ったまま、家に帰ってないらしくてな。あちらから、注意喚起があったのだよ」

「それは、なんというか・・・デルモンド侯爵様達も、おかわいそうに」

 今まで甘えて生きて来たあの方が、平民として生きていけるわけがありません。

 お勉強も、騎士としての鍛錬も、お嫌いですもの。

 それでもいつまでも侯爵家に置いておくわけにもいかないでしょうし、あんなことをした彼に、新たな婚約者ができるわけもありませんしね。

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