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第3章
卒業パーティー開始
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「本当に綺麗だ」
エスコートのために、ヴァレリア公爵家に迎えにきてから、もう何度目になるかも分からない褒め言葉を、ハルトナイツが繰り返す。
こう言うと嫌味に取られそうだが、容姿を褒められることには慣れている。正確にはヴィヴィは。
前世の私は、10人並みの容姿だったので、こんな風に異性に褒められるようなことはなかった。
だけど、ヴィヴィに転生してから、3年。毎日毎日、両親はもちろんアベルにアゼル、公爵家の使用人、サイラスやその婚約者方にまで「可愛い」「美しい」「妖精のようだ」「女神だ」などと、美辞麗句のオンパレードで褒められ続けたら・・・慣れる。
いや、慣れるというか、普通なら驕る。
私の場合は、驕る前に聞き飽きたが先に来たけど。
美辞麗句って、聞き飽きると信用できない気分になるわ~
それでも、好きな人から言われる「綺麗」は嬉しい。
公爵家の玄関で、私を一目見るなりそう言って固まったハルトナイツに、お父様やアゼルがピキピキと青筋立ててたけど。
もちろんそんなことになるのは目に見えていたので・・・
ああ。褒めてくれるのは分かっていたから。女性を褒めるのは、この世界の貴族の男性の常識みたいなものだから。
なので、ちゃんとシャルロッテ様をお呼びしていた。
もちろん、お父様の隣にはお母様がいるので、あの婚約申し込みの愚行を2人は繰り返さない。
ちょーっと、ハルトナイツを睨みつける程度で、私たちは無事にヴァレリア公爵家を後にした。
ちなみに、アベルは卒業パーティーのご挨拶をされる、王太子殿下となられたサイラスの側に仕えている。
「ありがとうございます、ハルトナイツ様。嬉しいですわ」
私は何度目かになるお礼を言った。
そして、ほんの少しの嫌味を付け加える。
「ですが、お褒めの言葉も繰り返されると信用度が下がりますわ。もうおっしゃらないでくださいませ」
「あっ・・・決して世辞などではない!本当にその、そう思っているんだ」
慌てたハルトナイツに、にっこりと微笑んで見せる。
私は別に、ハルトナイツがお世辞を言っているとは思っていない。
誰にでも言う慣習ではなく、本気で言ってくれていることは、その言葉を言うハルトナイツの目を見ればわかる。
蕩けるような、うっとりとした顔で言われているのだから。
だが、それを聞いている護衛の人の身になってあげて欲しい。
ハルトナイツは皇国の皇太子だ。
サイラスの側に、護衛としてアベルがいるように、ハルトナイツの側にも皇国の護衛兼側近が付いている。
もちろん、離れた位置にいるが、自分の主人が婚約者にメロメロな様子を見せるのは、どこか申し訳ない気持ちにさせた。
エスコートのために、ヴァレリア公爵家に迎えにきてから、もう何度目になるかも分からない褒め言葉を、ハルトナイツが繰り返す。
こう言うと嫌味に取られそうだが、容姿を褒められることには慣れている。正確にはヴィヴィは。
前世の私は、10人並みの容姿だったので、こんな風に異性に褒められるようなことはなかった。
だけど、ヴィヴィに転生してから、3年。毎日毎日、両親はもちろんアベルにアゼル、公爵家の使用人、サイラスやその婚約者方にまで「可愛い」「美しい」「妖精のようだ」「女神だ」などと、美辞麗句のオンパレードで褒められ続けたら・・・慣れる。
いや、慣れるというか、普通なら驕る。
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美辞麗句って、聞き飽きると信用できない気分になるわ~
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私は何度目かになるお礼を言った。
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「あっ・・・決して世辞などではない!本当にその、そう思っているんだ」
慌てたハルトナイツに、にっこりと微笑んで見せる。
私は別に、ハルトナイツがお世辞を言っているとは思っていない。
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だが、それを聞いている護衛の人の身になってあげて欲しい。
ハルトナイツは皇国の皇太子だ。
サイラスの側に、護衛としてアベルがいるように、ハルトナイツの側にも皇国の護衛兼側近が付いている。
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