私の愛した婚約者は死にました〜過去は捨てましたので自由に生きます〜

みおな

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45.断罪の場へ

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 パーティー当日。
私はリュカのエスコートで、王宮で行われるパーティー会場に向かった。

 リュカは、異常に緊張していて、こちらまで緊張しそう・・・だと思っていたけど、思いの外安心感の方が勝っていた。

 王宮での控え室は王太子殿下が準備して下さり、アスラン殿下やフランチェスカ様がやって来れないように、リュカのイルヴァレーノ卿という名で控え室が取ってあった。

「リュカ、落ち着いて?」

「申し訳ありません。しかし、許せません!お嬢様に求婚しておきながら、不貞など!しかも相手は、ご自身の兄君の婚約者だなんて!」

 リュカは今回の件を話してから、ずっと怒ってくれている。

 リュカがあまりに怒るから、私はアスラン殿下のこともフランチェスカ公爵令嬢様のことも、と思えていた。

 きっと、お父様やお母様も同じように怒ってくださるだろう。

 私には、こんなに私を大切に思ってくれている人たちがいる。

 初恋の相手だと、初めてのお友達だと、ずっとそれにこだわっていたけど、なくても、私はアイシュ・フローレンスとしてちゃんと前を向いていけるわ。

 国王陛下も王太子殿下も、二人をちゃんとレイホリック聖国へ国外追放するとお約束してくださった。

 だから私はこのパーティー、ちゃんと顔を上げて、マデリーン王国公爵令嬢として凛とした態度で臨もう。

「ねぇ、リュカ。このパーティーが終わったら・・・どこか旅に出ない?」

「は?旅・・・ですか?」

「ええ。まだマデリーン王国には戻らない方がいいとお父様たちもおっしゃっていたでしょう?でも、殿下と縁が切れたら私はこの国にいる必要もないし。他の国にも行ってみたかったのよね、本当は。リュカがいてくれるなら、お父様たちもお許しくださると思うのよ」

 あの二人は追放されるからこの国にいてももう会うことはないけれど、この先王太子殿下は新たな婚約者の選定もあるだろうし、王宮でお世話になる理由もなくなるもの。

 それなら、ウィリアム殿下のことが落ち着くまで、他の国に行ってみたいわ。

「・・・お嬢様がお望みなら」

「本当?約束よ?」

「はい」

 リュカと約束が出来た時、扉を叩く音が聞こえた。

「イルヴァレーノ卿、間もなく入場のお時間でございます」

「分かりましたわ。ありがとうございます」

 どうやら入場のようだ。

 王族や公爵家は最後に入場するので、二人と顔を合わせないように、私は彼らより早めの入場をお願いしてあった。

 さぁ!自分たちのしたことの責任は取ってもらうわ。

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