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46.始まるのね
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「国王陛下、王妃殿下、王太子殿下、第二王子殿下のご入場です」
ファンファーレの後、王族の皆様が入場された。
全員が頭を下げて、お迎えする。
私はリュカと共に、少し離れた・・・高位貴族ではなく下位貴族たちの中に紛れ込んでいる。
まぁ、私の銀髪は目立つから、そのうち見つかるだろうけど。
絡まれる前に断罪が終わって欲しいというのは、贅沢かしら。
遠くにフランチェスカ様の姿が見える。
あら?
あのドレス、結局手直しして公爵家に送ったのね。
ぱっと見は、王太子殿下のお色のように見えるけど、自分の婚約者なのにその差に気づかないってあり得るの?
「アスラン殿下からだと言って、持って行ったらしいですよ」
リュカの言葉に、ポカンとしてしまった。
は?いやまぁ嘘ではないわよね。贈り先が私だっただけで。
え?意味わかんない。
どうしてそれを堂々と着てパーティーに出れるの?
王太子殿下、いらっしゃるのよ?
鉄の心臓なの?
婚約者の弟と懇意になれるんだから、鋼鉄の心臓で間違いないのかも。
平然とそのドレス姿を見る王太子殿下の隣で、アスラン殿下が驚いた顔をしているわ。
あら?ドレスのデザインを覚えていたのね。
婚約者に贈ったはずのドレスを、別の女性が着てるんですものね?
大丈夫よ。その方が婚約者になるんだから間違いじゃないわ。
「まずは無事に、王太子レオナルドが帰国したことを祝いたいと思う。皆もグラスを」
国王陛下の言葉に、給仕たちが全員にグラスを配っていく。
私は綺麗な透明の果実水を取った。
アスラン殿下が辺りに視線を向けているのが見えて、私はリュカの陰に隠れた。
王太子殿下には、ドレスのことを言いにアスラン殿下が近づいて来ても、心配しなくていいと言われていた。
そのタイミングで、断罪を始めるから、と。
別に心配はしていないし、彼らの行く末は決まっているのだから、気にしてもいないけど、顔も見たくないのよね。
今日だって、本当は来たくなかったんだから。
だけど婚約を解消してもらうために、仕方なく参加したのよ。
「アイシュ!どうしてこんなところで・・・いや、それよりもドレスが・・・」
「アスラン、ドレスありがとう。あら?アイシュ様は素敵な色のドレスね」
アスラン殿下が私を見つけて近寄って来るのと同時に、フランチェスカ様までやって来た。
顔を向けると、遠くで王太子殿下がにこやかに微笑むのが見えた。
うわぁ。なんだかとっても笑顔なのに、黒い気がするわ。
「アイ・・・」
「アスラン!アイボリー公爵令嬢もこちらに」
アスラン殿下が何か言いかけたタイミングで、国王陛下が声を上げられた。
ああ。始まるのね。
ファンファーレの後、王族の皆様が入場された。
全員が頭を下げて、お迎えする。
私はリュカと共に、少し離れた・・・高位貴族ではなく下位貴族たちの中に紛れ込んでいる。
まぁ、私の銀髪は目立つから、そのうち見つかるだろうけど。
絡まれる前に断罪が終わって欲しいというのは、贅沢かしら。
遠くにフランチェスカ様の姿が見える。
あら?
あのドレス、結局手直しして公爵家に送ったのね。
ぱっと見は、王太子殿下のお色のように見えるけど、自分の婚約者なのにその差に気づかないってあり得るの?
「アスラン殿下からだと言って、持って行ったらしいですよ」
リュカの言葉に、ポカンとしてしまった。
は?いやまぁ嘘ではないわよね。贈り先が私だっただけで。
え?意味わかんない。
どうしてそれを堂々と着てパーティーに出れるの?
王太子殿下、いらっしゃるのよ?
鉄の心臓なの?
婚約者の弟と懇意になれるんだから、鋼鉄の心臓で間違いないのかも。
平然とそのドレス姿を見る王太子殿下の隣で、アスラン殿下が驚いた顔をしているわ。
あら?ドレスのデザインを覚えていたのね。
婚約者に贈ったはずのドレスを、別の女性が着てるんですものね?
大丈夫よ。その方が婚約者になるんだから間違いじゃないわ。
「まずは無事に、王太子レオナルドが帰国したことを祝いたいと思う。皆もグラスを」
国王陛下の言葉に、給仕たちが全員にグラスを配っていく。
私は綺麗な透明の果実水を取った。
アスラン殿下が辺りに視線を向けているのが見えて、私はリュカの陰に隠れた。
王太子殿下には、ドレスのことを言いにアスラン殿下が近づいて来ても、心配しなくていいと言われていた。
そのタイミングで、断罪を始めるから、と。
別に心配はしていないし、彼らの行く末は決まっているのだから、気にしてもいないけど、顔も見たくないのよね。
今日だって、本当は来たくなかったんだから。
だけど婚約を解消してもらうために、仕方なく参加したのよ。
「アイシュ!どうしてこんなところで・・・いや、それよりもドレスが・・・」
「アスラン、ドレスありがとう。あら?アイシュ様は素敵な色のドレスね」
アスラン殿下が私を見つけて近寄って来るのと同時に、フランチェスカ様までやって来た。
顔を向けると、遠くで王太子殿下がにこやかに微笑むのが見えた。
うわぁ。なんだかとっても笑顔なのに、黒い気がするわ。
「アイ・・・」
「アスラン!アイボリー公爵令嬢もこちらに」
アスラン殿下が何か言いかけたタイミングで、国王陛下が声を上げられた。
ああ。始まるのね。
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