上 下
44 / 128
悪役令嬢回避編

魔獣討伐3

しおりを挟む
 レイノルドの魔法で、魔獣がこんがり焼けていく。
 いや、こんがりというか、真っ赤に燃え続けているけどね。

 とにかく、出来ることなら1000℃くらいまでは熱しておきたい。倒せる確率を上げたいのだ。

 魔法科の先生たちの拘束魔法も、何とか機能している。

 水はしっかり溜まったし、あとは、アレを水の中に落とすのと同時に、結界魔法を発動しなければならない。

 前もって結界を張っておくと、水が熱せられて蒸発してしまうのと、結界魔法というものは結構魔力を消費するので、タイミングよく発動することになったのだ。

 合図は、レイノルドが出すことになっている。
 それに合わせて、先生たちが拘束魔法ごと水に叩き落とし、それと同時に私が水周辺を結界で覆う。

 燃え続ける魔獣を見上げる。
やっぱり、ジブ○の猪神に似てるなぁ。普通、こういう場合の魔物ってドラゴンとかだと思ってたけど。

 でも、ドラゴンだったら、勝てないわ。空飛ぶし。火吹くし。デカいし。

 しかし、この魔獣、本当にあのご令嬢たちが召喚したのかな?
 魔獣召喚なんて、そう簡単に出来るものじゃないはずなんだけど。

 まぁ、その辺りはルビスが問い詰めると思うけど。
 もし、あのご令嬢たちが犯人なら、王太子殿下に怪我を負わせたわけだし、お家取り潰しかもなぁ。

 魔獣を見上げながら、そんなことを考えていると、レイノルドが私に視線を向けた。

 どうやら、準備が整ったようだ。
タイミングを合わせるべく、先生方と呼吸を合わせる。

 水を溜めた部分から、ひと回り大きくドーム型に結界を張るイメージを展開する。

 先生方が引きずり落とした瞬間、私が展開した結界の中で、水が一気に膨張し、爆発が起きた。

 激し過ぎる爆発に、結界で包んでいるというのに、周囲の地面までもが揺れる。

 ふらついた私の体を、レイノルドが支えてくれる。
 結界の中は、激しい爆発のため、まだ魔獣の様子はわからない。

 コレで倒せてなかったら、打つ手がない。
レイノルドも先生たちも、持てる魔力のほとんどを使い切っている。

 と。

 結界内で、それを破ろうと激しくぶつかった。

 マジか。
アレで爆死しないって、どんだけ頑丈に出来てんのよ。

 もう一重、結界を展開する。
どうする?どうすればいい?爆発の影響で傷だらけだけど、暴れる力は残っているみたいだ。

 私の結界だって、いつまでもは保たない。もう1度爆発を起こせば、倒せそうな気もするけど、また1からアレを行うには魔力が足りない。

「ノックス様。あと、どの程度の魔法なら、使えます?」

「どんな魔法でも・・・と言いたいところだけど、せいぜいあの中をもう少し燃やす程度かな」

 燃やすか・・・あの爆発に耐えたというか1000℃に耐えた魔獣を、今更燃やしたところで・・・

 ん?それなら冷やしたら?
ガラスのコップとか熱した後に急激に冷やしたら割れるよね?まぁ、魔獣は割れないだろうけど、熱せられてる結界は


 






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~

胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。 時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。 王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。 処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。 これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。

悪役令嬢はヒロイン(♂)に攻略されてます

みおな
恋愛
 略奪系ゲーム『花盗人の夜』に転生してしまった。  しかも、ヒロインに婚約者を奪われ断罪される悪役令嬢役。  これは円満な婚約解消を目指すしかない!

【完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る

金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。 ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの? お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。 ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。 少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。 どうしてくれるのよ。 ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ! 腹立つわ〜。 舞台は独自の世界です。 ご都合主義です。 緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。

転生したら避けてきた攻略対象にすでにロックオンされていました

みなみ抄花
恋愛
睦見 香桜(むつみ かお)は今年で19歳。 日本で普通に生まれ日本で育った少し田舎の町の娘であったが、都内の大学に無事合格し春からは学生寮で新生活がスタートするはず、だった。 引越しの前日、生まれ育った町を離れることに、少し名残惜しさを感じた香桜は、子どもの頃によく遊んだ川まで一人で歩いていた。 そこで子犬が溺れているのが目に入り、助けるためいきなり川に飛び込んでしまう。 香桜は必死の力で子犬を岸にあげるも、そこで力尽きてしまい……

記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました

冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。 家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。 過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。 関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。 記憶と共に隠された真実とは——— ※小説家になろうでも投稿しています。

0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。

アズやっこ
恋愛
 ❈ 追記 長編に変更します。 16歳の時、私は第一王子と婚姻した。 いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。 私の好きは家族愛として。 第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。 でも人の心は何とかならなかった。 この国はもう終わる… 兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。 だから歪み取り返しのつかない事になった。 そして私は暗殺され… 次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。

お飾り公爵夫人の憂鬱

初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。 私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。 やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。 そう自由……自由になるはずだったのに…… ※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です ※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません ※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります

牢で死ぬはずだった公爵令嬢

鈴元 香奈
恋愛
婚約していた王子に裏切られ無実の罪で牢に入れられてしまった公爵令嬢リーゼは、牢番に助け出されて見知らぬ男に託された。 表紙女性イラストはしろ様(SKIMA)、背景はくらうど職人様(イラストAC)、馬上の人物はシルエットACさんよりお借りしています。 小説家になろうさんにも投稿しています。

処理中です...