拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

文字の大きさ
78 / 130

一つ間違えれば親子。

しおりを挟む
 まさかキャリーヌ様が十二歳も年上の方から婚約を打診され・・・

 それをこんなに喜ぶだなんて。

 年上の方がいいとは聞いていたけど、親と変わらないというか、叔父と言ってもおかしくない年齢よ?

「あの・・・本当によろしいのですか?ご両親であるフェルゲン公爵夫妻は納得されていますの?」

 いくらメルキオール皇帝妃とアルトナー女王陛下からの紹介とはいえ、もし不満があるのなら私からお断りしてもいいわ。

 だって、キャリーヌ様のお姉様はマキシミリオン王国の王太子妃。

 これ以上、権力にこだわる必要はないもの。

 自分とさほど年齢の変わらない相手に、娘を嫁がせたくはないはずよ。

「ご心配は無用ですわ。両親もとてもくれていますから」

「そ、そうなのですか?」

「両親は、わたくしが歳の離れた方にしか興味を持てないことを、よく知っているのです。ですが、そうそうそんなお相手は見つかるわけありません。今回、ご紹介いただいたこと、心から感謝しておりますのよ」

 キャリーヌ様ご自身も、それからご家族も納得されているのなら、私がどうこういうことではないけれど。

「近く、侯爵様がご挨拶に来てくださるそうなのです」

「確か、ご両親を事故で亡くされたので爵位を継がれたのでしたね」

「領地に向かう途中での、馬車の事故だったみたいです。それから、婚約者ですけど・・・どうやら他に好いた殿方がいたみたいで、駆け落ちしたらしいです」

 伯母様は、侯爵様の調査書も一緒にフェルゲン公爵家に送っていたそうだ。

 そこには、侯爵家を継いだ時期や、普段の仕事ぶり。
 領地の状態。何故婚約者がいないのか、など細々と書かれていたそうだ。

「もちろん、わたくしが子供過ぎて、アチラからお断りされるかもしれませんけど」

「そんなことはないですわ。だって、もしそうなら先にお断りしていると思いますわ。婚約の打診をして来たということは、侯爵はキャリーヌ様の年齢を理解した上で婚約を望んだということですわ」

「ふふっ。クロエ様、ありがとうございます」

 もちろん、婚約しても婚姻するのは十八歳になってからだけど。

「婚約の公表はしない予定ですから、リグレスト侯爵令嬢のように殿下に関わろうとする人間がいても、わたくしが防波堤になりますわ。ですから、クロエ様はクロエ様のスピードで殿下と過ごされて下さいね」

「ありがとうございます、キャリーヌ様」

 リグレスト侯爵令嬢のように、明確に敵意を向けてくる相手なら平気だけど、あの男爵令嬢のように何を考えているのか分からないタイプもいるから、心強いわ。

 
しおりを挟む
感想 372

あなたにおすすめの小説

見捨てられたのは私

梅雨の人
恋愛
急に振り出した雨の中、目の前のお二人は急ぎ足でこちらを振り返ることもなくどんどん私から離れていきます。 ただ三人で、いいえ、二人と一人で歩いていただけでございました。 ぽつぽつと振り出した雨は勢いを増してきましたのに、あなたの妻である私は一人取り残されてもそこからしばらく動くことができないのはどうしてなのでしょうか。いつものこと、いつものことなのに、いつまでたっても惨めで悲しくなるのです。 何度悲しい思いをしても、それでもあなたをお慕いしてまいりましたが、さすがにもうあきらめようかと思っております。

侯爵家に不要な者を追い出した後のこと

mios
恋愛
「さあ、侯爵家に関係のない方は出て行ってくださる?」 父の死後、すぐに私は後妻とその娘を追い出した。

(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?

青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。 けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの? 中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。

お久しぶりです、元旦那様

mios
恋愛
「お久しぶりです。元旦那様。」

愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。

梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。 ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。 え?イザックの婚約者って私でした。よね…? 二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。 ええ、バッキバキに。 もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~

由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。 両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。 そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。 王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。 ――彼が愛する女性を連れてくるまでは。

(完結)婚約破棄から始まる真実の愛

青空一夏
恋愛
 私は、幼い頃からの婚約者の公爵様から、『つまらない女性なのは罪だ。妹のアリッサ王女と婚約する』と言われた。私は、そんなにつまらない人間なのだろうか?お父様もお母様も、砂糖菓子のようなかわいい雰囲気のアリッサだけをかわいがる。  女王であったお婆さまのお気に入りだった私は、一年前にお婆さまが亡くなってから虐げられる日々をおくっていた。婚約者を奪われ、妹の代わりに隣国の老王に嫁がされる私はどうなってしまうの?  美しく聡明な王女が、両親や妹に酷い仕打ちを受けながらも、結局は一番幸せになっているという内容になる(予定です)

処理中です...