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私に文句はないけれど。

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 それは、本当に突然のことだった。

「クロエ様。本当にありがとう」

「何の話ですの?キャリーヌ様」

 学園で顔を合わせた途端にキャリーヌ様にお礼を言われて、私は首を傾げてしまう。

 キャリーヌ様にお礼を言われるようなこと、した覚えがないのだけど。

「わたくし、最愛と呼べる方と巡り会えましたわ!」

「え?」

「アルトナー王国の侯爵閣下から、わたくしに婚約の打診がありましたの!」

 はい?
アルトナー王国の・・・侯爵閣下ぁ?

 え?その方、いくつなの?
後妻ってこと?

 え?どういうこと?

 混乱する私に、キャリーヌ様は「お昼休みにご説明しますわ」と言われたけど・・・

 はっきり言って、気になり過ぎて授業が全く頭に入らなかったわ!

 それなら、お昼に教えてくれたら良かったのに!

 待ちに待ったお昼休み。
私とキャリーヌ様は、邪魔が入らないように、高位貴族専用のサロンにて昼食を取ることにした。

「それでキャリーヌ様、どういうことですの?侯爵閣下って!」

「ふふふっ。クロエ様がメルキオール皇帝妃殿下と、皇太女殿下に頼んでくださったのでしょう?お父様に、メルキオール皇帝妃殿下からお手紙が来た時は驚きましたわ」

 確かに私は、キャリーヌ様のお相手探しを、お母様とお姉様にお願いしたけど、まだ頼んで数日よ?

「そしたら、アルトナー王国に、ご両親を事故で亡くされて、侯爵閣下となられた方がいると教えてくださったのです。婚約者の方はいたそうなのだけど、ちょっと色々あってお別れしたそうで、侯爵となられてからはお忙しくて婚約者にまで手が回らなかったそうで」

「その方、おいくつなのですか?」

「現在二十八歳ですわ!ですから十二歳年上ですわね」

「!」

 それは・・・
どう言えばいいの?

 お母様と・・・アルトナー王国ということは、多分伯母様が紹介して来たのだと思う。

 なら、問題のある方ではないと思う。

 でも、そんな年上の方でいいの?

「わたくし、本当に感謝しておりますのよ。わたくしの好みの年齢の方って、問題のある方以外はほぼ奥様がいらっしゃるでしょう?公爵令嬢として、政略結婚を受け入れなければならないと絶望しておりましたけど、初婚で、しかも家格としても問題のない方。ご紹介いただいたのが、メルキオール皇帝妃様とアルトナー王国女王陛下。この上なく重畳でしたわ!」

 ま、まあ、キャリーヌ様が良いのなら、私に文句はないけれど。

 でも、まさかほんの数日で、キャリーヌ様のお好みの方が見つかるとは思わなかったわ。
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