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第25話
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婚約してからー
毎日のように・・・いや、ほぼ毎日セラフィム子爵家に訪れる王太子殿下に、ニケは思わずため息が漏れる。
この人、ちゃんと仕事してるのかしら?
王太子である。まだ学園に通う前とはいえ、公務もある。
アシュタル王国は、第1王子が王太子になることが決まっている。
ちなみに、ケルドラード皇国も同じで、フォレスト王国は男女問わず第1子が後継となる。
だから、ニケの伯曾祖父はフォレスト王国の王太女の王配となった。
「何を考えているの?」
甘い笑みを浮かべ、手を取るラギトに、ニケはゆっくりとかぶりを振った。
「ラギト様。毎日訪れて下さるのはありがたいですが、ご無理されていませんか?」
婚約者を溺愛するあまりに仕事と疎かにする人間を、兄ノクスが許容するとは思えない。
ノクスは王太子殿下の側近なのだから、ラギトの仕事ぶりを見ているはずだ。
ということは、ラギトはニケと会って戻ってから仕事をしているということだ。
「愛しいニケと会うのに、無理なことなんて何もないよ」
(甘い。甘い!甘い!!あま~い!)
家族に溺愛されているニケである。優しくされることにも、甘やかされることにも慣れている。
だが、3年間のマグエルとの婚約で、婚約者に溺愛されることには慣れていないのである。
つまりは・・・現在のニケの顔は真っ赤だということだ。
「ああ!可愛い。そんな可愛い顔を見せられたら、我慢出来なくなる。だ、だが節度ある交際をしないとノクス殿に殺される」
ラギトがそんなニケの顔を見て、ブツブツと呟いているが、いくら兄でも殺しはしないと思うニケである。
父も兄も義兄も、全員がラギトとの婚約に顔をしかめ、まだ早いのではないかと不平をもらした。
そして全員がその妻、つまり母と義姉と姉に耳を引っ張られて連れ去られた。
セラフィム子爵家では、女性上位である。いや、みんな夫を立てているが、怒らせて怖いのは女性陣なのだ。
全員が妻を溺愛していることもあり、女性陣が認めた婚約を男性陣は渋々認めるしかなかった。
つまりは渋々とはいえ認めたのである。
どれだけ溺愛していようと、婚約者になったラギトを排除するようなことは、セラフィム子爵家の人間はしない。
もちろん、マグエルのようにニケを粗雑に扱えば話は変わるだろうが、それでもニケの判断なく手を出したりはしない。
マグエルの時のように、ニケが判断するまで待つだろう。
だが節度は保って欲しいと思う。
そしてその激甘な態度を、少々控えて欲しい。ニケ以外には冷酷腹黒らしいが、その場面を見ることのないニケにとっては、激甘溺愛王太子なのであった。
毎日のように・・・いや、ほぼ毎日セラフィム子爵家に訪れる王太子殿下に、ニケは思わずため息が漏れる。
この人、ちゃんと仕事してるのかしら?
王太子である。まだ学園に通う前とはいえ、公務もある。
アシュタル王国は、第1王子が王太子になることが決まっている。
ちなみに、ケルドラード皇国も同じで、フォレスト王国は男女問わず第1子が後継となる。
だから、ニケの伯曾祖父はフォレスト王国の王太女の王配となった。
「何を考えているの?」
甘い笑みを浮かべ、手を取るラギトに、ニケはゆっくりとかぶりを振った。
「ラギト様。毎日訪れて下さるのはありがたいですが、ご無理されていませんか?」
婚約者を溺愛するあまりに仕事と疎かにする人間を、兄ノクスが許容するとは思えない。
ノクスは王太子殿下の側近なのだから、ラギトの仕事ぶりを見ているはずだ。
ということは、ラギトはニケと会って戻ってから仕事をしているということだ。
「愛しいニケと会うのに、無理なことなんて何もないよ」
(甘い。甘い!甘い!!あま~い!)
家族に溺愛されているニケである。優しくされることにも、甘やかされることにも慣れている。
だが、3年間のマグエルとの婚約で、婚約者に溺愛されることには慣れていないのである。
つまりは・・・現在のニケの顔は真っ赤だということだ。
「ああ!可愛い。そんな可愛い顔を見せられたら、我慢出来なくなる。だ、だが節度ある交際をしないとノクス殿に殺される」
ラギトがそんなニケの顔を見て、ブツブツと呟いているが、いくら兄でも殺しはしないと思うニケである。
父も兄も義兄も、全員がラギトとの婚約に顔をしかめ、まだ早いのではないかと不平をもらした。
そして全員がその妻、つまり母と義姉と姉に耳を引っ張られて連れ去られた。
セラフィム子爵家では、女性上位である。いや、みんな夫を立てているが、怒らせて怖いのは女性陣なのだ。
全員が妻を溺愛していることもあり、女性陣が認めた婚約を男性陣は渋々認めるしかなかった。
つまりは渋々とはいえ認めたのである。
どれだけ溺愛していようと、婚約者になったラギトを排除するようなことは、セラフィム子爵家の人間はしない。
もちろん、マグエルのようにニケを粗雑に扱えば話は変わるだろうが、それでもニケの判断なく手を出したりはしない。
マグエルの時のように、ニケが判断するまで待つだろう。
だが節度は保って欲しいと思う。
そしてその激甘な態度を、少々控えて欲しい。ニケ以外には冷酷腹黒らしいが、その場面を見ることのないニケにとっては、激甘溺愛王太子なのであった。
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