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第8話
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マグエルは混乱していた。
父親であるロートレック侯爵は何を言っているのか。
5歳年上の、ロートレック侯爵家嫡男の兄、リオルが突然家からいなくなったのは4年前だ。
優しく穏やかな兄のことを、マグエルは大好きだった。
その兄がいなくなった時、マグエルは素直に寂しさを感じた。
当時11歳だったマグエルは、父親が兄を厳しくし過ぎたのがいけないのだと、父を責めた。
侯爵家の後継として、リオルは随分と厳しく父に躾けられていたからだ。
だが、父がいくら八方手を尽くしてもリオルは見つからず、ロートレック侯爵家後継の座がマグエルにやってきた。
それまで自由奔放に、好きなことをやらせてもらっていた自分のもとにふって沸いた後継の座。
しかも、リオルのことがあったからか、父がマグエルにキツく指導してくる事がない。
初めてマグエルは、リオルがいなくなったことを嬉しいと思った。
リオルがいなくなって1年後ー
父親から婚約者ができる旨を知らされた。
相手は子爵家の次女だと言う。
マグエルはその縁談を子爵家からの申し込みだと思った。
父が何やら、セラフィム子爵家の成り立ち云々を話していたが、頭に入って来なかった。
頭にあったのは、何故侯爵である父が子爵家などからの婚約の申し込みを受けたのか。
父はもしかしたら自分のことを嫌いなのではないか。
そんな考えだった。
マグエルは幼馴染のエリンのことを憎からず思っていた。
ネーヴェ伯爵家令嬢のエリン。侯爵家の後継となった自分に相応しい相手だと。
だが、エリンは隣国の祖母の元に1ヶ月ほど前から行っていた。
祖母の体調が悪く、世話をする人間がいるらしい。元々、祖母に懐いていた自分が行くことになったのだと、エリンは言っていた。
エリンがいない間に持ち込まれた縁談に、マグエルは不快な思いを隠さなかった。
だけど、顔合わせの場に現れたセラフィム子爵家の令嬢ニケは、銀の髪に紫の瞳の、とても美しい少女だった。
子爵家令嬢とは思えない洗練された所作に、愛らしい容姿。
こんな少女が自分のことを好きになって婚約を申し込んできた。
マグエルは優越感で、心が満たされるのを感じた。
それから、婚約者であるニケとはいい関係を築けていたと思う。
それに影が差し始めたのは、エリンが戻ってきてからだ。
エリンは、マグエルが婚約したことをとても悲しそうな顔で嘆き、友人がいなくて寂しいとマグエルに縋るようになってきた。
ピンク色の髪と瞳をしたエリンは、ニケには及ばないが愛らしい容姿をしていて、エリンに頼られる度にマグエルの優越感は満たされていく。
ニケとのデートにエリンを連れて行くようになり、何度目かにニケから苦言を言われたが、マグエルは全く気にも留めなかった。
子爵家からの婚約をニケが破棄するわけがない。
そう思っていたからだ。
父親であるロートレック侯爵は何を言っているのか。
5歳年上の、ロートレック侯爵家嫡男の兄、リオルが突然家からいなくなったのは4年前だ。
優しく穏やかな兄のことを、マグエルは大好きだった。
その兄がいなくなった時、マグエルは素直に寂しさを感じた。
当時11歳だったマグエルは、父親が兄を厳しくし過ぎたのがいけないのだと、父を責めた。
侯爵家の後継として、リオルは随分と厳しく父に躾けられていたからだ。
だが、父がいくら八方手を尽くしてもリオルは見つからず、ロートレック侯爵家後継の座がマグエルにやってきた。
それまで自由奔放に、好きなことをやらせてもらっていた自分のもとにふって沸いた後継の座。
しかも、リオルのことがあったからか、父がマグエルにキツく指導してくる事がない。
初めてマグエルは、リオルがいなくなったことを嬉しいと思った。
リオルがいなくなって1年後ー
父親から婚約者ができる旨を知らされた。
相手は子爵家の次女だと言う。
マグエルはその縁談を子爵家からの申し込みだと思った。
父が何やら、セラフィム子爵家の成り立ち云々を話していたが、頭に入って来なかった。
頭にあったのは、何故侯爵である父が子爵家などからの婚約の申し込みを受けたのか。
父はもしかしたら自分のことを嫌いなのではないか。
そんな考えだった。
マグエルは幼馴染のエリンのことを憎からず思っていた。
ネーヴェ伯爵家令嬢のエリン。侯爵家の後継となった自分に相応しい相手だと。
だが、エリンは隣国の祖母の元に1ヶ月ほど前から行っていた。
祖母の体調が悪く、世話をする人間がいるらしい。元々、祖母に懐いていた自分が行くことになったのだと、エリンは言っていた。
エリンがいない間に持ち込まれた縁談に、マグエルは不快な思いを隠さなかった。
だけど、顔合わせの場に現れたセラフィム子爵家の令嬢ニケは、銀の髪に紫の瞳の、とても美しい少女だった。
子爵家令嬢とは思えない洗練された所作に、愛らしい容姿。
こんな少女が自分のことを好きになって婚約を申し込んできた。
マグエルは優越感で、心が満たされるのを感じた。
それから、婚約者であるニケとはいい関係を築けていたと思う。
それに影が差し始めたのは、エリンが戻ってきてからだ。
エリンは、マグエルが婚約したことをとても悲しそうな顔で嘆き、友人がいなくて寂しいとマグエルに縋るようになってきた。
ピンク色の髪と瞳をしたエリンは、ニケには及ばないが愛らしい容姿をしていて、エリンに頼られる度にマグエルの優越感は満たされていく。
ニケとのデートにエリンを連れて行くようになり、何度目かにニケから苦言を言われたが、マグエルは全く気にも留めなかった。
子爵家からの婚約をニケが破棄するわけがない。
そう思っていたからだ。
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