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ラムズベルト侯爵令嬢③
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「殺して・・・って、そんなの夫人ひとりではどうにもならないでしょう?」
声が少し震えた。
でも、赤ん坊を産んだばかりの夫人が、赤ん坊をどうこうできるとは思えない。
それに、侯爵夫人の出産なのよ?
産婆だけでなく、侍女だっていたはずだわ。
「日記には・・・母付きの侍女と産婆が協力して赤子の口に布を当てた、と。あの人は、産婆の弱みを握っていたらしいです。生まれたばかりの赤子が急変することはよくあります。父も、落胆したものの疑いを持つことはなかったようです」
「・・・そう、なのね」
私のいたローゼン王国や、ここエレメンタル帝国ではないことだけど、他国で双子を忌み嫌い片方を殺害してしまう国もあると聞いたことがあるわ。
許せないことだけど、そういう国の考え方は中々変えることは難しいのよね。
でも、夫人のしたことは許せることではないわ。
エレメンタル帝国にそういう風習はないし、理由も自分勝手なものだもの。
「シリカ様は・・・今も家を出るお考えなの?」
「本当は子爵になるなら、彼と家を継いでもいいかと考えたのです。でも、おそらくあの人は処刑されますよね?そうすると、貴族の世界にいることは厳しいと思うので」
確かに、その罪状では処刑は免れないと思う。
そして、シリカ様のおっしゃる通り、貴族の世界で生きるのは厳しいでしょうね。
ラムズベルト子爵は、罰を与える意味で貴族のままで生きてもらうのはいいとして、シリカ様には罪はないもの。
侯爵令嬢が平民になって暮らすのは大変だと思うけど、恋人が平民なら大丈夫なのかしら?
私も・・・
シリウス殿下から逃げるために、平民になろうなんて考えてたわ。
今思うと、無茶なことだったわ。
私、伯爵令嬢だけど・・・多分シリカ様より頼りないと思うもの。
私、こんなにしっかりしていなかったわ。
「シリカ様は、平民になられる道を選ばれるのですね」
「はい。私は彼に、そんな要らぬ苦労をかけさせたくないのです」
「そう・・・ですわね。きっと、シリカ様にはその方が幸せですわね。わかりました。その旨、皇帝陛下にお話しておきますわ」
「よろしくお願いします」
シリカ様のお気持ちは確認できたので、あとは皇帝陛下にお任せしましょう。
夫人の罪は・・・
重すぎるわ。
それこそ、生きていることが辛いと思えるほどの罰を受けるべきだわ。
長く苦しんで、死にたいと願うほど苦しんでもらわなければ。
殺されてしまったお子様と、シリカ様の狂わされた人生の責任を夫人は取らなければならないわ。
声が少し震えた。
でも、赤ん坊を産んだばかりの夫人が、赤ん坊をどうこうできるとは思えない。
それに、侯爵夫人の出産なのよ?
産婆だけでなく、侍女だっていたはずだわ。
「日記には・・・母付きの侍女と産婆が協力して赤子の口に布を当てた、と。あの人は、産婆の弱みを握っていたらしいです。生まれたばかりの赤子が急変することはよくあります。父も、落胆したものの疑いを持つことはなかったようです」
「・・・そう、なのね」
私のいたローゼン王国や、ここエレメンタル帝国ではないことだけど、他国で双子を忌み嫌い片方を殺害してしまう国もあると聞いたことがあるわ。
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でも、夫人のしたことは許せることではないわ。
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「シリカ様は・・・今も家を出るお考えなの?」
「本当は子爵になるなら、彼と家を継いでもいいかと考えたのです。でも、おそらくあの人は処刑されますよね?そうすると、貴族の世界にいることは厳しいと思うので」
確かに、その罪状では処刑は免れないと思う。
そして、シリカ様のおっしゃる通り、貴族の世界で生きるのは厳しいでしょうね。
ラムズベルト子爵は、罰を与える意味で貴族のままで生きてもらうのはいいとして、シリカ様には罪はないもの。
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私も・・・
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今思うと、無茶なことだったわ。
私、伯爵令嬢だけど・・・多分シリカ様より頼りないと思うもの。
私、こんなにしっかりしていなかったわ。
「シリカ様は、平民になられる道を選ばれるのですね」
「はい。私は彼に、そんな要らぬ苦労をかけさせたくないのです」
「そう・・・ですわね。きっと、シリカ様にはその方が幸せですわね。わかりました。その旨、皇帝陛下にお話しておきますわ」
「よろしくお願いします」
シリカ様のお気持ちは確認できたので、あとは皇帝陛下にお任せしましょう。
夫人の罪は・・・
重すぎるわ。
それこそ、生きていることが辛いと思えるほどの罰を受けるべきだわ。
長く苦しんで、死にたいと願うほど苦しんでもらわなければ。
殺されてしまったお子様と、シリカ様の狂わされた人生の責任を夫人は取らなければならないわ。
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