そこは獣人たちの世界

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第三章

山の崖登り

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結局大量のイービルロックエイプと戦うことはなかったけど、たまにわざとなんだろうけど僕のほうにと3匹くらい流れてきたのをダークガンで弱らせて切り捨てたりとかはしてた。まぁ捕まって地面に埋められたときはさすがに怖かったし、これでいいと思っておこう。
ここから先にはイービルロックエイプはいない。山の傾斜がほとんど崖になるからだ。ガロもベラルさんも登山用のピッケルをポーチから取り出す。僕の分はガロのポーチから取り出して渡してくれた。
登山練習はギルドの地下訓練所で行ったけど、命綱はなしだ。といっても落ちたとしても魔素纏いでしっかり防御できていれば即死はしないらしい。僕レベルなら軽い怪我で済むはずといわれたけど、もう下を見ればかなり登ってきてる。落ちるのはこのあたりとはいえさすがにちょっと怖いものがある。

「ほら、いくぞキオ。遅れるなよ?」

「怖がらなくて大丈夫、普通に上るだけならおちることはないから。」

「そ、そうですね。」

そう、普通のピッケルクライムならこの狼種の体では落ちるほうが難しい。万が一刺した場所が柔らかすぎてピッケルが外れても、魔素纏いの身体強化で片腕だけで支えられるし、それにこのピッケルが結構いいもので、そもそもよほど変に刺さなければまず簡単には抜けない。グリップ部分の留め具を強く握ると外れやすくなる特殊な仕組みだ。
すでに二人は登り始めた、僕もまず一刺し登り始める。一度踏み出してしまえば跡は意外とすいすいと登っていける。でも下は見ないでおく。昇るだけならほんと問題ないから何も来ないでほしいけど。

「来たね、クリフハンターイーグルだ。頂上にドラゴンがいるのに飛んでくるとはね。」

「おそらく干渉されていないんだろう。」

「うぅ、見えちゃったよ。どうする?魔法打ち込む?」

「いいや、ここは私に任せてもらおうかな。」

ガロ達が振り向いてるのが見えたので僕も振りむくと、かなりの速度でどこからともなく飛んできている3匹の崖狩り鷹。こいつらがいるからイービルロックエイプはこの崖に寄らないんだろう。
崖を上って無防備なところを狙う鷹、風魔法もあやつり場合によっては登山者を風で突き落としたりもするらしい。一応予定ではガロも合わせて魔法を打ち込んで撃退する予定だったけど、ベラルさんがまかせてというので傍観することに。
ベラルさんの魔法が見れるかなって思ってたら、まさかの崖を蹴って空にと飛び出していってしまった。

「えぇ!?あ、あれ大丈夫なの!?」

「おそらくな。俺も聞いただけだが、ベラルさんは空も蹴れるらしい。」

空を蹴るって何?って思うけど、見てればわかるか。鷹たちもまさか飛んでくるとは思ってなかったようで急ブレーキをかけたけど、それは悪手だろう。止まった瞬間を狙ったようにまず一匹を切り落とした。
そしたらほんとに空中に地面でもあるかのように空を蹴って残りの二匹のほうにと跳躍、そしてあっけなく切り落としてまた空をけって戻ってきてしまった。ほんと、とんでもない人だ。今のはたぶん魔法を使ってない。魔素纏いの身体強化だけでやってる。

「す、すごいですね。今の身体強化だけですよね?」

「そうだね。私は魔法をまともに使えないから魔素纏いと魔素感知くらいしか使えないんだ。」

「いや、魔法を使えないからこそ魔素纏いを極め、もはや魔法を使うもの以上の力があるじゃないか。」

「そういってもらえると頑張った甲斐があるよね。さ、続きを登ろうか。あ、次来たらガロとキオ君が仕留めてね。」

「わかりました。」

「え、あ、はい。」

あれだけのことができるけど、僕たちだけでの対応を見るらしい。しばらく上るとまたガロとベラルさんが崖狩り鷹の接近を察知する。僕も振りむいたけど、すぐに姿は見えなかった。でもあっという間に見えるくらいまで接近してきた。また3匹か。

「キオ!一番左を狙え!集まってる右側は俺が仕留める!」

「了解!」

すぐに集中する。腕を構えなくたってガンの魔法は打ち出せる。といっても崖を上ってるんだから体制が体制だ。普通なら集中力が切れやすくて威力が出にくい。そのための訓練はしておいたけどね。

「雷装レッドバスター、雷斬撃!」

「サンダーガン!」

僕のサンダーガンと同時に、ガロもレッドバスターに雷を纏わせ、そのまま片手で自分を支え、もう片手で剣をふるい雷の斬撃が飛んでいく。僕のサンダーガンなんかよりも全然早い。だけどまとまってた二匹のうち一匹にしか当たらなかった。僕のサンダーガンはというと一瞬遅れてちょっと左に離れてた崖狩り鷹の前まで言ったけど、隣で撃ち落とされたのを見たからか、ブレーキと同時に風を起こしてサンダーガンの威力を少し殺したようだ。
命中自体はした。だけど少し体をしびれさせるようにしながらもまだ宙を飛んでいる。ガロが仕留めそこなったもう一匹もまっすぐ突っ込んできてない。軽くガロの斬撃の圧にやられたようで呆けているようにも見えた。

「キオ!今弱らせた奴にロックガンを打て!雷斬撃!」

「了解!ロックガン!」

即座にガロの二撃目が呆けたほうに飛んでいく。慌ててよけようとしたが、さっきよりも斬撃がでかく、あっけなく切り裂かれて落ちていった。僕のほうもしびれて動きの鈍い崖狩り鷹にロックガンを放った。もう一度羽を使って風魔法を起こそうとしてたけど、うまく羽ばたけず風の威力が弱い。
さすがにそれくらいじゃあ岩の弾丸の威力は落ちない。だけど体の真ん中を狙った弾丸は少しづれて羽を貫くだけだった。それでも十分効果はあったようで、少し中でのけぞった後は下におちていった。

「二人ともやるね。これなら6匹くらい来ても安心して任せられる。上に行くほど数が多くなるはずだよ。」

「そこは猿と同じなんですね・・・了解です。」

「ベラルさんに当てないように放つのは難しいんだが、まぁ何とかしよう。」

「ふふ、たのむよ。」

登ってるから表情はわからないけど、またあの柔らかいような笑顔をしてたんだろう。僕の魔法はガンだからよほどじゃなきゃ当たらないだろうけど、ガロの雷斬撃は大きくするほど危ないよね。やっぱガロを試してるんだろうか?今も任せられたし。
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