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第一章
兎肉の夕飯
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全身ドライヤーの部屋で温風に吹かれながら、何とも言えないぎこちない雰囲気になってしまった。
「さっきは悪かった、なんか湯に浸かったら変にベタベタしようとしちまったな。発情期が近いせいかもしれない。」
「いや、大丈夫だよ、もう気にしてないから。それより夕飯どうする?」
こういう時は話題を変えるに限る。一番いいのはこの後の夕飯だよね。多分また僕が作る感じだろうけど、苦ではないし家に泊めてもらうんだからそのくらいはね。
「やっぱ肉だな肉。できれば兎肉を使って何か食いたいんだけどな。キオは兎肉食って不味くて苦手になっちまったか?」
「うーん、ちょっとね。でもまぁせっかくだし調べて作ってみるよ。味見していけそうなら僕も同じのにするし、ダメなら違うのを作ろうかな。それでいい?」
「おう、全然いいぜ。昼もうまかったから期待するぜ?」
あんまり期待されても困るんだけどと思いつつ、温風で乾いたとはいえ拭けないのはちょっと気になりながら服を着ていく。今度バスタオル買えたらいいな。
脱いだパンツをそのままっていうのも気になるけど、履かないでこの生地のズボンだけはくのはもっと気になるので、これも我慢だな。
不満は言ってもしょうがないので僕が慣れるしかない。今はガロに頼まれた兎肉の料理だ。もちろん兎肉なんて食べたのが今日の昼が初めてで、料理で使ったことはない。スマホで調べるとまず出てくるのは煮込み料理。だけどワインが必要か。
「ガロ、ワイン飲んだことないってことは、やっぱ家にはないよね?」
「もしかして料理に使いたかったのか?残念ながら持ってないし買ってきてないな。」
「うーん、そうだよね、ブドウから作るってわけにも・・・いや、作れるのかな?」
ブドウは買ってきてくれてたから、作り方を調べれば行けるかな?作り方を調べた感じパンよりも簡単そうで、発酵時間によっては行けそうだな。
「なんだ?今度はワイン作りか?そんなすぐできるものじゃないはずだが。」
「そうなんだよね。でもパンだってそうだったしもしかしたらいけるかもでしょ?」
「まぁ何事もやってみるのが一番だと思うから俺はいいぜ。んじゃまずはぶどうだな。」
さっき一粒だけ食べたブドウを取り出してくれたので、まずは粒を全部取ってボウルに移す。そしてちょうどいい感じの棒があったのでこれでつぶしていく。
全部潰し終えたら瓶に移してって、これじゃあ量が多いか。少し悩んだけどさすがにどうしようもない。しょうがないので果汁だけをうまく瓶にと移していく。ってなんかもうしっかり赤色でワインみたいな色になってるんだけど。
「おい、なんかもうワインになってるんじゃないか?」
「・・・なってるみたい。どうなってるのこれ?」
「俺もわからないな。キオも時間がかかるはずだと思ってたのにこれだよな?まぁすぐ使えるんならいいのかもしれないけどよ・・・」
スマホのカメラで確認したらワイン(赤)の表記になっていた。確かに赤ワインみたいだしもうこれを使って兎肉の煮込みだな。
「よし、もう気にないことにしよう!それとニンジンと玉ねぎがあればいいんだけど。」
「それならどっちも買ってきてるぞ。」
ポーチからニンジンと玉ねぎと兎肉をポンポンと出す。ニンジン玉ねぎは見たことある形だし、兎肉も兎のままじゃなく肉塊だからまぁ何とか見れる。
さっそく下処理を始める。そういえば犬は玉ねぎ駄目とかなかったっけ?まぁ買ってきてるってことは平気なのか。
玉ねぎを炒めて兎肉もバターと一緒にフライパンで火を通してから、鍋に水と赤ワインに兎肉とニンジン玉ねぎを入れて煮込んでいく。
さらに横でバターと赤ワインとトマトでソースをつくってみる。レシピではトマトピューレとか使ってるみたいだけど、トマト潰して使ってるからまぁ大丈夫なはず!
まずはソースを味見してみると、まぁ悪くはないと思う。煮込んだ兎肉もちょっと躊躇しながら小さいのを味見。あ、焼いただけのより全然臭い感じないや。これなら食べれそうだ。一応だいぶ多めに煮込んだけど、これならガロに明日もお願いとはならないな。
「お、できあがったか?だいぶ腹減っちまって来たぜ。」
「うん、後は盛り付けだけ。先にガロの分盛るね。」
「おう、先に持ってくけど、キオが来るまで待ってるぜ?」
ガロの分をお皿に盛り付けたら、パンも一緒に持ってってもらう。ソースにつけて食べたらなかなかおいしそうだ。僕も自分の分を盛り付けてリビングに向かう。
「んじゃいただきますだっけか?食べさせてもらうぜ。」
「え、あ、うん。いただきます。」
ガロはフォークで兎肉を豪快に一口。あんなに一気には僕はいけないので小さく一口。広がる風味はソースのおかげで青臭さは完全に消えて、むしろ鶏肉っぽい感じ?初めてにしてはなかなかおいしくできてよかった。
「くはぁ、上手いな。これじゃあ屋台でもう串焼き食えなくなっちまうよ。」
「そ、そんなおおげさな。まぁ僕は正直串焼きはこりごりだけど。」
「いやぁ、あれもうまかったはずなんだけどな。キオの作った煮込みのほうが断然うまいわ。」
「まぁそういってくれると嬉しいよ。」
ガロも気に入ってよかった。僕もこの味はパンが進む。ソースをしみこませるとなおいい。そんなんであっという間に完食してしまっていた。
「ふぅ、ごちそうさまだな。」
「うん、ごちそうさま。これでパンなくなっちゃたから明日も焼かないとね。」
「お、じゃあまた明日も作ってくれるのか。もしキオがまだいたら頼むぜ?楽しみにしてるわ。」
あぁそうか、寝たらもしかしたら元の世界に帰る可能性もあるのか。正直この世界の実感がようやくわいてきたところだから帰りたくはないけどね・・・
「さっきは悪かった、なんか湯に浸かったら変にベタベタしようとしちまったな。発情期が近いせいかもしれない。」
「いや、大丈夫だよ、もう気にしてないから。それより夕飯どうする?」
こういう時は話題を変えるに限る。一番いいのはこの後の夕飯だよね。多分また僕が作る感じだろうけど、苦ではないし家に泊めてもらうんだからそのくらいはね。
「やっぱ肉だな肉。できれば兎肉を使って何か食いたいんだけどな。キオは兎肉食って不味くて苦手になっちまったか?」
「うーん、ちょっとね。でもまぁせっかくだし調べて作ってみるよ。味見していけそうなら僕も同じのにするし、ダメなら違うのを作ろうかな。それでいい?」
「おう、全然いいぜ。昼もうまかったから期待するぜ?」
あんまり期待されても困るんだけどと思いつつ、温風で乾いたとはいえ拭けないのはちょっと気になりながら服を着ていく。今度バスタオル買えたらいいな。
脱いだパンツをそのままっていうのも気になるけど、履かないでこの生地のズボンだけはくのはもっと気になるので、これも我慢だな。
不満は言ってもしょうがないので僕が慣れるしかない。今はガロに頼まれた兎肉の料理だ。もちろん兎肉なんて食べたのが今日の昼が初めてで、料理で使ったことはない。スマホで調べるとまず出てくるのは煮込み料理。だけどワインが必要か。
「ガロ、ワイン飲んだことないってことは、やっぱ家にはないよね?」
「もしかして料理に使いたかったのか?残念ながら持ってないし買ってきてないな。」
「うーん、そうだよね、ブドウから作るってわけにも・・・いや、作れるのかな?」
ブドウは買ってきてくれてたから、作り方を調べれば行けるかな?作り方を調べた感じパンよりも簡単そうで、発酵時間によっては行けそうだな。
「なんだ?今度はワイン作りか?そんなすぐできるものじゃないはずだが。」
「そうなんだよね。でもパンだってそうだったしもしかしたらいけるかもでしょ?」
「まぁ何事もやってみるのが一番だと思うから俺はいいぜ。んじゃまずはぶどうだな。」
さっき一粒だけ食べたブドウを取り出してくれたので、まずは粒を全部取ってボウルに移す。そしてちょうどいい感じの棒があったのでこれでつぶしていく。
全部潰し終えたら瓶に移してって、これじゃあ量が多いか。少し悩んだけどさすがにどうしようもない。しょうがないので果汁だけをうまく瓶にと移していく。ってなんかもうしっかり赤色でワインみたいな色になってるんだけど。
「おい、なんかもうワインになってるんじゃないか?」
「・・・なってるみたい。どうなってるのこれ?」
「俺もわからないな。キオも時間がかかるはずだと思ってたのにこれだよな?まぁすぐ使えるんならいいのかもしれないけどよ・・・」
スマホのカメラで確認したらワイン(赤)の表記になっていた。確かに赤ワインみたいだしもうこれを使って兎肉の煮込みだな。
「よし、もう気にないことにしよう!それとニンジンと玉ねぎがあればいいんだけど。」
「それならどっちも買ってきてるぞ。」
ポーチからニンジンと玉ねぎと兎肉をポンポンと出す。ニンジン玉ねぎは見たことある形だし、兎肉も兎のままじゃなく肉塊だからまぁ何とか見れる。
さっそく下処理を始める。そういえば犬は玉ねぎ駄目とかなかったっけ?まぁ買ってきてるってことは平気なのか。
玉ねぎを炒めて兎肉もバターと一緒にフライパンで火を通してから、鍋に水と赤ワインに兎肉とニンジン玉ねぎを入れて煮込んでいく。
さらに横でバターと赤ワインとトマトでソースをつくってみる。レシピではトマトピューレとか使ってるみたいだけど、トマト潰して使ってるからまぁ大丈夫なはず!
まずはソースを味見してみると、まぁ悪くはないと思う。煮込んだ兎肉もちょっと躊躇しながら小さいのを味見。あ、焼いただけのより全然臭い感じないや。これなら食べれそうだ。一応だいぶ多めに煮込んだけど、これならガロに明日もお願いとはならないな。
「お、できあがったか?だいぶ腹減っちまって来たぜ。」
「うん、後は盛り付けだけ。先にガロの分盛るね。」
「おう、先に持ってくけど、キオが来るまで待ってるぜ?」
ガロの分をお皿に盛り付けたら、パンも一緒に持ってってもらう。ソースにつけて食べたらなかなかおいしそうだ。僕も自分の分を盛り付けてリビングに向かう。
「んじゃいただきますだっけか?食べさせてもらうぜ。」
「え、あ、うん。いただきます。」
ガロはフォークで兎肉を豪快に一口。あんなに一気には僕はいけないので小さく一口。広がる風味はソースのおかげで青臭さは完全に消えて、むしろ鶏肉っぽい感じ?初めてにしてはなかなかおいしくできてよかった。
「くはぁ、上手いな。これじゃあ屋台でもう串焼き食えなくなっちまうよ。」
「そ、そんなおおげさな。まぁ僕は正直串焼きはこりごりだけど。」
「いやぁ、あれもうまかったはずなんだけどな。キオの作った煮込みのほうが断然うまいわ。」
「まぁそういってくれると嬉しいよ。」
ガロも気に入ってよかった。僕もこの味はパンが進む。ソースをしみこませるとなおいい。そんなんであっという間に完食してしまっていた。
「ふぅ、ごちそうさまだな。」
「うん、ごちそうさま。これでパンなくなっちゃたから明日も焼かないとね。」
「お、じゃあまた明日も作ってくれるのか。もしキオがまだいたら頼むぜ?楽しみにしてるわ。」
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