そこは獣人たちの世界

レクセル

文字の大きさ
18 / 303
第一章

兎肉の夕飯

しおりを挟む
全身ドライヤーの部屋で温風に吹かれながら、何とも言えないぎこちない雰囲気になってしまった。

「さっきは悪かった、なんか湯に浸かったら変にベタベタしようとしちまったな。発情期が近いせいかもしれない。」

「いや、大丈夫だよ、もう気にしてないから。それより夕飯どうする?」

こういう時は話題を変えるに限る。一番いいのはこの後の夕飯だよね。多分また僕が作る感じだろうけど、苦ではないし家に泊めてもらうんだからそのくらいはね。

「やっぱ肉だな肉。できれば兎肉を使って何か食いたいんだけどな。キオは兎肉食って不味くて苦手になっちまったか?」

「うーん、ちょっとね。でもまぁせっかくだし調べて作ってみるよ。味見していけそうなら僕も同じのにするし、ダメなら違うのを作ろうかな。それでいい?」

「おう、全然いいぜ。昼もうまかったから期待するぜ?」

あんまり期待されても困るんだけどと思いつつ、温風で乾いたとはいえ拭けないのはちょっと気になりながら服を着ていく。今度バスタオル買えたらいいな。
脱いだパンツをそのままっていうのも気になるけど、履かないでこの生地のズボンだけはくのはもっと気になるので、これも我慢だな。
不満は言ってもしょうがないので僕が慣れるしかない。今はガロに頼まれた兎肉の料理だ。もちろん兎肉なんて食べたのが今日の昼が初めてで、料理で使ったことはない。スマホで調べるとまず出てくるのは煮込み料理。だけどワインが必要か。

「ガロ、ワイン飲んだことないってことは、やっぱ家にはないよね?」

「もしかして料理に使いたかったのか?残念ながら持ってないし買ってきてないな。」

「うーん、そうだよね、ブドウから作るってわけにも・・・いや、作れるのかな?」

ブドウは買ってきてくれてたから、作り方を調べれば行けるかな?作り方を調べた感じパンよりも簡単そうで、発酵時間によっては行けそうだな。

「なんだ?今度はワイン作りか?そんなすぐできるものじゃないはずだが。」

「そうなんだよね。でもパンだってそうだったしもしかしたらいけるかもでしょ?」

「まぁ何事もやってみるのが一番だと思うから俺はいいぜ。んじゃまずはぶどうだな。」

さっき一粒だけ食べたブドウを取り出してくれたので、まずは粒を全部取ってボウルに移す。そしてちょうどいい感じの棒があったのでこれでつぶしていく。
全部潰し終えたら瓶に移してって、これじゃあ量が多いか。少し悩んだけどさすがにどうしようもない。しょうがないので果汁だけをうまく瓶にと移していく。ってなんかもうしっかり赤色でワインみたいな色になってるんだけど。

「おい、なんかもうワインになってるんじゃないか?」

「・・・なってるみたい。どうなってるのこれ?」

「俺もわからないな。キオも時間がかかるはずだと思ってたのにこれだよな?まぁすぐ使えるんならいいのかもしれないけどよ・・・」

スマホのカメラで確認したらワイン(赤)の表記になっていた。確かに赤ワインみたいだしもうこれを使って兎肉の煮込みだな。

「よし、もう気にないことにしよう!それとニンジンと玉ねぎがあればいいんだけど。」

「それならどっちも買ってきてるぞ。」

ポーチからニンジンと玉ねぎと兎肉をポンポンと出す。ニンジン玉ねぎは見たことある形だし、兎肉も兎のままじゃなく肉塊だからまぁ何とか見れる。
さっそく下処理を始める。そういえば犬は玉ねぎ駄目とかなかったっけ?まぁ買ってきてるってことは平気なのか。
玉ねぎを炒めて兎肉もバターと一緒にフライパンで火を通してから、鍋に水と赤ワインに兎肉とニンジン玉ねぎを入れて煮込んでいく。
さらに横でバターと赤ワインとトマトでソースをつくってみる。レシピではトマトピューレとか使ってるみたいだけど、トマト潰して使ってるからまぁ大丈夫なはず!
まずはソースを味見してみると、まぁ悪くはないと思う。煮込んだ兎肉もちょっと躊躇しながら小さいのを味見。あ、焼いただけのより全然臭い感じないや。これなら食べれそうだ。一応だいぶ多めに煮込んだけど、これならガロに明日もお願いとはならないな。

「お、できあがったか?だいぶ腹減っちまって来たぜ。」

「うん、後は盛り付けだけ。先にガロの分盛るね。」

「おう、先に持ってくけど、キオが来るまで待ってるぜ?」

ガロの分をお皿に盛り付けたら、パンも一緒に持ってってもらう。ソースにつけて食べたらなかなかおいしそうだ。僕も自分の分を盛り付けてリビングに向かう。

「んじゃいただきますだっけか?食べさせてもらうぜ。」

「え、あ、うん。いただきます。」

ガロはフォークで兎肉を豪快に一口。あんなに一気には僕はいけないので小さく一口。広がる風味はソースのおかげで青臭さは完全に消えて、むしろ鶏肉っぽい感じ?初めてにしてはなかなかおいしくできてよかった。

「くはぁ、上手いな。これじゃあ屋台でもう串焼き食えなくなっちまうよ。」

「そ、そんなおおげさな。まぁ僕は正直串焼きはこりごりだけど。」

「いやぁ、あれもうまかったはずなんだけどな。キオの作った煮込みのほうが断然うまいわ。」

「まぁそういってくれると嬉しいよ。」

ガロも気に入ってよかった。僕もこの味はパンが進む。ソースをしみこませるとなおいい。そんなんであっという間に完食してしまっていた。

「ふぅ、ごちそうさまだな。」

「うん、ごちそうさま。これでパンなくなっちゃたから明日も焼かないとね。」

「お、じゃあまた明日も作ってくれるのか。もしキオがまだいたら頼むぜ?楽しみにしてるわ。」

あぁそうか、寝たらもしかしたら元の世界に帰る可能性もあるのか。正直この世界の実感がようやくわいてきたところだから帰りたくはないけどね・・・
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

禁断の祈祷室

土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。 アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。 それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。 救済のために神は神官を抱くのか。 それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。 神×神官の許された神秘的な夜の話。 ※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...