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脱走

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かくして私たちはチョコレート・ハウスで暮らし始める。

後日、窓ガラスも購入して、窓つきのチョコレート・ハウスとなった。

さらに数日後。

チョコレート・ハウスに来客があった。

ライネアさんである。

玄関前で、私とクレアベルが応対する。

「ライネア団長……わざわざキトレル山まで参られるなんて、どのようなご用件で?」

とクレアベルが尋ねた。

ライネアさんが答える。

「実は、恥ずかしい話なのだが……ネリアンヌの部下である、ジルに逃げられてな」

「!?」

私は驚愕する。

クレアベルは目を細める。

「ジル……というと、たしかセレナが先日、決闘で戦った相手ですか」

「そのジルだな」

とライネアさんが肯定した。

私は尋ねた。

「ジルさんが脱獄したんですか?」

「正確にいえば牢屋に入る前に逃げたから、脱獄……ではなく脱走だ」

ライネアさんがそう訂正する。

さらに告げた。

「ジルは、セレナさんと決闘をして敗北したと聞く。だからセレナさんに因縁があって、ここを訪れたのではないかと思ったのだが……その様子だと、ここには来てないようだな」

「はい。ここを訪れたのは、今のところ団長だけです」

「そうか」

空振りとわかってライネアさんが、少し残念そうに肩をすくめる。

クレアベルが尋ねる。

「ちなみにネリアンヌ嬢のほうは、脱走してはいないのですか?」

「ああ。ネリアンヌ嬢も、ひどく暴れてはいるものの、ジルほど取り押さえるのに苦労しないからな」

「なるほど」

とクレアベルが納得する。

まとめると、逃亡したのはジルだけらしい。

(うちを襲撃しに来たら面倒だね……)

と私は静かに目を細めた。

内心で、ジルへの殺意を高める。

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