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第3章67話:髪

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<セレナ視点>

街から家に帰る。

それから2日後。

朝。

井戸の水で顔を洗い、リビングに戻ってきたとき。

「おいセレナ」

とクレアベルが言ってきた。

「お前、髪がおかしいぞ」

「え?」

「毛先の色が変わってる。鏡を見てみろ」

そういわれたので、私はリビングの鏡の前に立つ。

「ほんとだ……なにこれ?」

自身に起こった異変を自覚する。

前世でも異世界でも私の髪は黒色だ。

ところが、なぜか鏡に映る自分の毛先が、茶色みがかっている。

気のせい……ではない。

明らかに、髪の先端部分の色が違っている。

具体的にいえば、髪の頭頂部から半ほどにかけてが黒色。

そこから下はグラデーションを描きながら茶色に変わっていた。

「うーん?」

原因不明だ。

病気か?

でも、特に体調が悪くなったりはしてない。

「まあいっか」

と大して気にも留めないことにした。







だが、1日後。

私の髪の色は、さらに茶色みがかった。

髪の中ほどまでだった茶色が、てっぺんに向かってどんどん広がる。




そして2日後。

いよいよ、私の髪は完全な茶髪へと変貌した。

毛先だけだった茶色が、頭頂部まで広がって、髪全体を覆い尽くしたのだ。

この深みのある茶色――――

私は心当たりがある。

(チョ、チョコレートだ……)

そう、チョコレート色である。

どういうわけかチョコレートの茶色が、髪に反映されてしまったようだ。

(うーん、なんでだろ?)

どうしてこんなことが起こったのか?

まったく見当もつかない。

とりあえずクレアベルに聞いてみることにした。

すると、

「そうだなぁ……自分の魔法や魔力が、身体や体質に影響を与えることは、なくはない」

とのことだ。

つまりチョコレート魔法が、髪の色に影響を与えたという推理。

まあ、私もそんなところだろうと思うけど。

クレアベルは逆に聞き返してくる。

「髪が心配か?」

「うーん」

私は口元に手をあてて答えた。

「まあ、体調不良が起こってるわけでもないですし、別にいいかなとは思ってます」

「そうか」

別にチョコレートのにおいがするとか、甘い味がするわけではない。

ただ色が変わっただけだ。

だから、深刻になるような話ではないと思った。

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