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第3章66話:ネリアンヌ視点
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<ネリアンヌ視点>
さきほどセレナたちと会っていた場所から、しばらく歩いたネリアンヌ。
路地裏で、ふいに立ち止まる。
背後の護衛たちも、ネリアンヌにあわせて立ち止まった。
「ねえ、ジル」
「あん?」
ネリアンヌが声をかけたのは、護衛のなかでも目立つ風貌の男性。
オオカミのようなツラをした、刺すような雰囲気の男だ。
銀髪で、ギラギラした緑色の瞳をしている。
彼――――ジルは、ネリアンヌの一番の用心棒である。
もとはプロの殺し屋であり、裏社会の人間でもあった。
「面白いオモチャを見つけちゃったわね」
「ああ。さっきのセレナとかいうガキか」
「ええ」
ネリアンヌはニヤニヤと笑う。
どんな悪業をしてやろうかと思案している顔であった。
ややあってから、ネリアンヌが命じた。
「ザカルに、セレナの調査と拉致をさせなさい」
「ザカルって、盗賊のザカルか?」
「そうよ。それ以外にどこのザカルがいるのよ」
――――ザカル。
かつてCランク級の殺し屋に認定されていたアサシンである。
一般的に冒険者にしろ、盗賊にしろ、殺し屋にしろ、Cランク以上はプロ。凄腕とされる。
ザカルは現在、いろいろあって盗賊に身をやつしているものの、戦闘技術は変わらずプロ級だ。
もしザカルが出向くなら、セレナみたいなガキなんざひとたまりもないだろう……とジルは思った。
ネリアンヌがつぶやく。
「この街に、まだ私に異見してくる庶民がいるなんて……あのセレナとかいう少女には、私の恐ろしさをしっかりと刻み付けてあげないとね」
「具体的に何やるんだよ?」
「家を燃やすか、家族を皆殺しにするか。いろいろアイディアはあるわよ」
「ははは。相変わらずおっかねえお嬢様だぜ!」
とジルは笑う。
ジルは殺し屋なので、ネリアンヌのような性悪の令嬢は見慣れている。
ネリアンヌはコロコロ笑いながら告げた。
「とりあえず、ザカルにセレナを拉致してもらうのが先ね」
「わかったよ。ザカルに連絡つけといてやらぁ」
とジルは言って、歩き出した。
ネリアンヌは、今後のことを考えて、あくどい笑みを浮かべるのだった。
さきほどセレナたちと会っていた場所から、しばらく歩いたネリアンヌ。
路地裏で、ふいに立ち止まる。
背後の護衛たちも、ネリアンヌにあわせて立ち止まった。
「ねえ、ジル」
「あん?」
ネリアンヌが声をかけたのは、護衛のなかでも目立つ風貌の男性。
オオカミのようなツラをした、刺すような雰囲気の男だ。
銀髪で、ギラギラした緑色の瞳をしている。
彼――――ジルは、ネリアンヌの一番の用心棒である。
もとはプロの殺し屋であり、裏社会の人間でもあった。
「面白いオモチャを見つけちゃったわね」
「ああ。さっきのセレナとかいうガキか」
「ええ」
ネリアンヌはニヤニヤと笑う。
どんな悪業をしてやろうかと思案している顔であった。
ややあってから、ネリアンヌが命じた。
「ザカルに、セレナの調査と拉致をさせなさい」
「ザカルって、盗賊のザカルか?」
「そうよ。それ以外にどこのザカルがいるのよ」
――――ザカル。
かつてCランク級の殺し屋に認定されていたアサシンである。
一般的に冒険者にしろ、盗賊にしろ、殺し屋にしろ、Cランク以上はプロ。凄腕とされる。
ザカルは現在、いろいろあって盗賊に身をやつしているものの、戦闘技術は変わらずプロ級だ。
もしザカルが出向くなら、セレナみたいなガキなんざひとたまりもないだろう……とジルは思った。
ネリアンヌがつぶやく。
「この街に、まだ私に異見してくる庶民がいるなんて……あのセレナとかいう少女には、私の恐ろしさをしっかりと刻み付けてあげないとね」
「具体的に何やるんだよ?」
「家を燃やすか、家族を皆殺しにするか。いろいろアイディアはあるわよ」
「ははは。相変わらずおっかねえお嬢様だぜ!」
とジルは笑う。
ジルは殺し屋なので、ネリアンヌのような性悪の令嬢は見慣れている。
ネリアンヌはコロコロ笑いながら告げた。
「とりあえず、ザカルにセレナを拉致してもらうのが先ね」
「わかったよ。ザカルに連絡つけといてやらぁ」
とジルは言って、歩き出した。
ネリアンヌは、今後のことを考えて、あくどい笑みを浮かべるのだった。
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