4 / 97

しおりを挟む

秋が過ぎて。

冬になった。

冬は、思いきり、雪が降る。

山が真っ白になるぐらい、降り積もる。

当然、寒い。

山小屋には暖炉がない。

だから、暖を取るには、火魔石ひませきを使う。

まず、未使用みしよう状態じょうたい火魔石ひませきは、色褪いろあせた赤色をしている。

その火魔石をランタン型の容器にセット。

火魔石に魔力を送り込む。

すると、火魔石の赤色がきらめき始め、熱と、ほのかな光を放ち始める。

この状態で容器を閉じる。

あとは屋内のテキトーな位置に置いておけば、周囲の空気をあたためてくれる。

【火魔石ヒーター】の完成である。

……まあ、一連の作業は、全部クレアベルがやってくれてるんだけどね。

そういう便利なアイテムを駆使しながら、寒い冬を、なんとか乗り越えていく。





――――雪解けの春。

異世界に来てから1年の歳月が流れる。

私にとって二度目の春。

クレアベルは、私を大事に育ててくれた。

そんなある日。

私は、3日ほど近くの村に預けられることになった。

どうやらクレアベルは既婚者だったらしく……

ひさびさに帰ってきた夫と、二人きりで会うつもりらしい。

ちなみに夫の名は、ハンクス。

兵士らしく、普段は軍にいて、なかなか帰ってこられないんだとか。

しかし今回、時間が取れたので街に帰省してきたらしい。

で……

重要なことがある。

クレアベルが、なんと、妊娠した!

街でハンクスと会った際に、新しい命を授かってきたようだ。

おめでとう!

と、私は心の底から祝福した。







けれど。

数ヵ月後――――

不幸が起こった。

なんと、ハンクスが、戦死してしまったのだ。

その報告が、クレアベルのもとへと届けられた。

クレアベルは、ハンクスの死を嘆き悲しみ、涙にくれた。

見ていられないほどだった。

ああ……

やっぱり、戦争なんてロクでもない。

異世界であっても、やはり人という生き物は、わかりあえないものなのか。





しかしクレアベルは、やがて立ち直った。

お腹の中には、新しい命が宿っているのだ。

いつまでも落ち込んでいられないと……クレアベルは奮起した。

結果。

いろいろあったけれど、7ヵ月後。

クレアベルは、無事に出産した。

血のつながりはないが、私の妹となる子どもだ。

名前はアイリス。

山小屋のようなクレアベルたく

3人目の家族ができたことで、にぎやかになった。

なにしろ、アイリスは本当によく泣く。

赤ん坊とはこんなにも泣くのかと、驚かされる。

でもまあ、家族が増えて、私は幸せな気分だ。

クレアベルも、ハンクスの死は乗り越えて、笑顔が増えたようだった。

立ち直れて、良かった。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...