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26.ティスのひみつ
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城では『エンカイ』の準備が、着々と進められている。
会場の真ん中では、大鍋でトン汁が作られている。
『日本人はトン汁だよねー』と、いつもトン汁を作るのは、響だ!
何故ならば、彼のレパートリーには、バイトで覚えたトン汁しかないからだ。
だから、暑い日でもトン汁なのである。
誰か、言ってあげて!
ティスが作る料理は、いつも絶品である。
長年培われて来た技術とレシピ、そしてインスピレーションが、ティスの持ち味なのである。
響は知らないが、ティスはメイドロイドではない、密かに『貴族再生強化』を受けた皇室メイドであり、人間なのだ。
『亜空間固定』出来るブロックは三つあり、それは既に埋っている。
第一ブロック、『海に浮かぶ孤島』、色々な世界の海の生物が生息している。
第二ブロック、『農耕と牧畜の世界』、さまざまな農作物が有り、家畜が生息している大陸。
第三ブロック、『パラダイス』、皇族の保養地。
ティスさえ居れば、ここでとれるものだけで、食に関しては心配がない。
現に、響の『ストックルーム』の食材補給は、ここから行われているのだ。
では、なぜティスが響に伝えないのか?
それは、ティスに何かあれば、食の供給が止まってしまうからだ。
そして、何にしても響自身が、考える事が一番重要であり、その教育が必要なのだ。
皇室メイドとして、幼い頃から育てられた、ティスであるが故の考えだ。
ちなみに、第三ブロックの『パラダイス』に付いては、大人の遊び場なので、『響くんには、まだ早い』だそうである。
女性は大人びていると言うが、同じ十七歳の響に対して、これからの教育は……『ヒ・ミ・ツ』だそうだ!
料理が次々と並べられて行く、今日はイタリアンだ!
基本ここではビュッフェスタイルで、皆が平等で食事をするのだ。
農民が多い事もあり、気兼ねせずに騒げて、子供が走り回っても誰も文句を言わない。
それに、ここには給仕をするメイドが少ない事も、理由の一つになるであろう。
「なんだい響、またトン汁かい! いい加減、たまには違う物でも、作ったらどうだい!」
よく言ってくれました!
「クロエ……お前……もう先に飲んでるのか!」
「いつもの事だろ」
「……」
最近、響がクロエを睨んでも、クロエのチョウカ-は締まらなくなった。
響もコントロール出来るように、なったからだ。
クロエも、その事を分かっているから、平気で何でも言うようになっている。
「響兄ちゃん」
「お~ぉ、またトン汁なんだ!」
「……」
子供は正直だ!
子供達を先頭に、村人達が入ってくる。
そして、新しく加わった騎士達も、このように立派な城で、村人達が遠慮する事もなく『エンカイ』に、参加している事に戸惑いの表情を浮かべている。
暫くしてティスが、全員集まった事を響に教えてくれる。
響は、グラスを持って皆の前に立つ。
それに倣い、村人達もグラスを手にする。
騎士達も見よう見まねだ。
そして響は、グラスを掲げて宣言する。
『ブレイコウダ!』
こうして『エンカイ』は、始まった。
響のテ-ブルには響の他に、アリシア、アリス団長、ビクトル副団長、ウルム村長、クロエ、ティスと言った面々が、集まっている。
響は、『スモークサーモンとクリームチーズのタルティーヌ』と『サーモンのムニエル、オレンジソースがけ』を、皿に乗せてテ-ブルについた。
『スモークサーモンとクリームチーズのタルティーヌ』は、カリカリのパンの上に、スライスした玉ねぎ、クリームチーズ、塩気の利いたスモークサーモンが乗って、ブドウジュ-スによく合う。
響は、未成年なので自重している。
前に飲んでたよね。
『サーモンのムニエル、オレンジソースがけ』は、ソースに塩、コショウ、オリ-ブオイルにオレンジ、レモン、マーマレードが入って、甘酸っぱく爽やかで美味しい。
皆、お酒が入って和気あいあいと、騒いで楽しそうだ。
「皆、楽しんでいる所、悪いんだけど。各責任者が集まってるから、今後について、話しておきたいんだけど」
響は、皆が酔う前に、話を進めて行く。
話し合う内容としては、アリシアと騎士達は、今後どうするのか。村の守りをどうするか。ダンジョンをどうするか。などだ。
「私は、行く所もないので、こちらで仕事をさせて頂ければと思います」
「我らも、姫と共にお願い出来ればと」
アリシアと騎士達は、これで確保できた。
「食事や手に入る物の、支給は出来ますが、ここでは金銭の流通がないので、給金が支給できません」
話をしていて、響は金銭の必要性を感じるとともに、今の現状を伝えた。
「各自多少の蓄えもありますし、当面ここでは使う事もないかと思いますが」
アリス団長が、言うのなら当面はいいのだろう。
「ただ、今回のようにダンジョンが、他にもあるとすれば、回復薬、毒消し、麻痺回復薬などの薬や、新たな人の手配などが必要になります。外からとなると、やはり金銭が必要になります」
ビクトル副団長の発言で、早急に必要な物の手配と、金銭を手に入れる必要がある事が、あきらかになった。
「金銭の調達には、ここの農作物を売ってはどうでしょうか? 見知りの商人もおりますので」
流石はアリシアである。公爵家の御用商人との、取引の事を言っているのだ。
「村長さん、農作物はどの程度なら拠出出来ますか?」
この様な話は、ティスに任せるのが一番だ。
「そうじゃな、前の村では税が七割じゃった。じゃが、ここは気候も良く、収穫が年二回から三回は行けそうじゃ。じゃから、収穫物の八割でも大丈夫じゃ」
ウルム村長は、響達を本当に信用しているようだ。
「そうなると、物資を商人に引き渡す、拠点が必要になりますね」
ビクトル副団長は、結構頭がきれる人のようだ。
「ただ売るだけじゃ、安くたたかれるんじゃないかい。アタイなら手を加えて、売るけどね」
酔っ払いのクロエにしては、まともなご意見だ。
「ティス姉ちゃん、これ、なあに?」
村の少女が、両手にお菓子を抱え、食べながらティスの所へ来る。
「それはね、『スフォッリャテッラ』て言う、お菓子ですよ。生地がひだを重ねたサクサクで、中にクリームが入っているでしょう」
「ウン、こんなに美味しお菓子、初めて!」
少女の笑顔見て微笑むティスは、いつもの冷静沈着な面持ちとは別人だ。
「そうか! アリシアさん、砂糖は貴重品なんですよね」
「はい、高値で取引されているはずです。」
アリシアは、響の意図がまだ分からないようだ。
「さっき、ビクトルさんが言っていたように、王都で拠点を作りましょう。そした、その拠点の店先で、砂糖を使ったお菓子を店頭販売する。貴族用の高いぼったくり商品を……」
響は、金儲けで儲かる、妄想に入っている。
「ティス、ハウスで『さとうきび』と『てん菜』の栽培だ!」
「マスター、店を借りる金銭の手配は、どのようにお考えですか?」
「……」
「そんな事、考えちゃいないよ」
クロエが酒を注ぎながら、冷静な判断を下す。
だが、金銭が有ろうと無かろうと、拠点は必要である。
商人が、注文しようと思った時、連絡する先がなければ、その注文は他の所に取られるだろう。
それに、商売をするには、信用が大切だ。
その信用の元となる、重要なことの一つが、店舗『拠点』なのである。
「あの、少しですがこれを」
「私も、給金を姫から貰ったばかりなので、お使い下さい」
アリシアとビクトル副団長は、響の前に手持ちの金銭を、全て差し出すのであった。
その後、酔った騎士達も、全員が金銭を渡して来た。
「商人に、作物を持ち込んで売れば、そのくらいの資金の調達、出来るんじゃないかい?」
「……」
クロエに言われて気付くとは、今日のドタバタで、気が回っていないようだ。
取引が続くようであれば、直ぐにでも拠点が必要になるが、始めの一度か二度の取引なら、持ち込むか指定された場所に届ければ、怪しまれずに済む。
村の守りに付いて、王都のように壁で囲めればいいが、今は人手もなく無理だ。
当面、今日入口を潰したダンジョンの攻略と、見回りが最優先になるだろう。
村周りの監視体制は、ティスと琴祢に任せればいい。
ゴブリンなどの魔物が、少数ならいいが、多数の敵がバラバラで来たら、今の頭数では守り切れない。
やはり、ガ-ディアンを使うべきか。
メードロイドは、生体エネルギーで動く生命体だが、ガ-ディアンは、亜空間エネルギーで半永久的に動く、ロボット……だった。が、アルン村に配置したガ-ディアンが、ここ最近、行動停止状態なる事が増えてきていた。調査してみると、魔素による腐食が原因だと言う事が分かり、アルン村へのガ-ディアンを、追加する事を中止したばかりだったのだ。腐食したガ-ディアンは、『原子分解保存』された。その時、腐食魔素から『魔素クリスタル』が、生成された。これに付いては、ティスと琴祢が研究中だ。
前に、魔素が無いブロックを作り、村人の収容を考えた事もあったが、村人の内部魔素が尽きると、身動きが出来なくなり、最悪命を落としてしまう事も、あると分かって諦めた。
会場の真ん中では、大鍋でトン汁が作られている。
『日本人はトン汁だよねー』と、いつもトン汁を作るのは、響だ!
何故ならば、彼のレパートリーには、バイトで覚えたトン汁しかないからだ。
だから、暑い日でもトン汁なのである。
誰か、言ってあげて!
ティスが作る料理は、いつも絶品である。
長年培われて来た技術とレシピ、そしてインスピレーションが、ティスの持ち味なのである。
響は知らないが、ティスはメイドロイドではない、密かに『貴族再生強化』を受けた皇室メイドであり、人間なのだ。
『亜空間固定』出来るブロックは三つあり、それは既に埋っている。
第一ブロック、『海に浮かぶ孤島』、色々な世界の海の生物が生息している。
第二ブロック、『農耕と牧畜の世界』、さまざまな農作物が有り、家畜が生息している大陸。
第三ブロック、『パラダイス』、皇族の保養地。
ティスさえ居れば、ここでとれるものだけで、食に関しては心配がない。
現に、響の『ストックルーム』の食材補給は、ここから行われているのだ。
では、なぜティスが響に伝えないのか?
それは、ティスに何かあれば、食の供給が止まってしまうからだ。
そして、何にしても響自身が、考える事が一番重要であり、その教育が必要なのだ。
皇室メイドとして、幼い頃から育てられた、ティスであるが故の考えだ。
ちなみに、第三ブロックの『パラダイス』に付いては、大人の遊び場なので、『響くんには、まだ早い』だそうである。
女性は大人びていると言うが、同じ十七歳の響に対して、これからの教育は……『ヒ・ミ・ツ』だそうだ!
料理が次々と並べられて行く、今日はイタリアンだ!
基本ここではビュッフェスタイルで、皆が平等で食事をするのだ。
農民が多い事もあり、気兼ねせずに騒げて、子供が走り回っても誰も文句を言わない。
それに、ここには給仕をするメイドが少ない事も、理由の一つになるであろう。
「なんだい響、またトン汁かい! いい加減、たまには違う物でも、作ったらどうだい!」
よく言ってくれました!
「クロエ……お前……もう先に飲んでるのか!」
「いつもの事だろ」
「……」
最近、響がクロエを睨んでも、クロエのチョウカ-は締まらなくなった。
響もコントロール出来るように、なったからだ。
クロエも、その事を分かっているから、平気で何でも言うようになっている。
「響兄ちゃん」
「お~ぉ、またトン汁なんだ!」
「……」
子供は正直だ!
子供達を先頭に、村人達が入ってくる。
そして、新しく加わった騎士達も、このように立派な城で、村人達が遠慮する事もなく『エンカイ』に、参加している事に戸惑いの表情を浮かべている。
暫くしてティスが、全員集まった事を響に教えてくれる。
響は、グラスを持って皆の前に立つ。
それに倣い、村人達もグラスを手にする。
騎士達も見よう見まねだ。
そして響は、グラスを掲げて宣言する。
『ブレイコウダ!』
こうして『エンカイ』は、始まった。
響のテ-ブルには響の他に、アリシア、アリス団長、ビクトル副団長、ウルム村長、クロエ、ティスと言った面々が、集まっている。
響は、『スモークサーモンとクリームチーズのタルティーヌ』と『サーモンのムニエル、オレンジソースがけ』を、皿に乗せてテ-ブルについた。
『スモークサーモンとクリームチーズのタルティーヌ』は、カリカリのパンの上に、スライスした玉ねぎ、クリームチーズ、塩気の利いたスモークサーモンが乗って、ブドウジュ-スによく合う。
響は、未成年なので自重している。
前に飲んでたよね。
『サーモンのムニエル、オレンジソースがけ』は、ソースに塩、コショウ、オリ-ブオイルにオレンジ、レモン、マーマレードが入って、甘酸っぱく爽やかで美味しい。
皆、お酒が入って和気あいあいと、騒いで楽しそうだ。
「皆、楽しんでいる所、悪いんだけど。各責任者が集まってるから、今後について、話しておきたいんだけど」
響は、皆が酔う前に、話を進めて行く。
話し合う内容としては、アリシアと騎士達は、今後どうするのか。村の守りをどうするか。ダンジョンをどうするか。などだ。
「私は、行く所もないので、こちらで仕事をさせて頂ければと思います」
「我らも、姫と共にお願い出来ればと」
アリシアと騎士達は、これで確保できた。
「食事や手に入る物の、支給は出来ますが、ここでは金銭の流通がないので、給金が支給できません」
話をしていて、響は金銭の必要性を感じるとともに、今の現状を伝えた。
「各自多少の蓄えもありますし、当面ここでは使う事もないかと思いますが」
アリス団長が、言うのなら当面はいいのだろう。
「ただ、今回のようにダンジョンが、他にもあるとすれば、回復薬、毒消し、麻痺回復薬などの薬や、新たな人の手配などが必要になります。外からとなると、やはり金銭が必要になります」
ビクトル副団長の発言で、早急に必要な物の手配と、金銭を手に入れる必要がある事が、あきらかになった。
「金銭の調達には、ここの農作物を売ってはどうでしょうか? 見知りの商人もおりますので」
流石はアリシアである。公爵家の御用商人との、取引の事を言っているのだ。
「村長さん、農作物はどの程度なら拠出出来ますか?」
この様な話は、ティスに任せるのが一番だ。
「そうじゃな、前の村では税が七割じゃった。じゃが、ここは気候も良く、収穫が年二回から三回は行けそうじゃ。じゃから、収穫物の八割でも大丈夫じゃ」
ウルム村長は、響達を本当に信用しているようだ。
「そうなると、物資を商人に引き渡す、拠点が必要になりますね」
ビクトル副団長は、結構頭がきれる人のようだ。
「ただ売るだけじゃ、安くたたかれるんじゃないかい。アタイなら手を加えて、売るけどね」
酔っ払いのクロエにしては、まともなご意見だ。
「ティス姉ちゃん、これ、なあに?」
村の少女が、両手にお菓子を抱え、食べながらティスの所へ来る。
「それはね、『スフォッリャテッラ』て言う、お菓子ですよ。生地がひだを重ねたサクサクで、中にクリームが入っているでしょう」
「ウン、こんなに美味しお菓子、初めて!」
少女の笑顔見て微笑むティスは、いつもの冷静沈着な面持ちとは別人だ。
「そうか! アリシアさん、砂糖は貴重品なんですよね」
「はい、高値で取引されているはずです。」
アリシアは、響の意図がまだ分からないようだ。
「さっき、ビクトルさんが言っていたように、王都で拠点を作りましょう。そした、その拠点の店先で、砂糖を使ったお菓子を店頭販売する。貴族用の高いぼったくり商品を……」
響は、金儲けで儲かる、妄想に入っている。
「ティス、ハウスで『さとうきび』と『てん菜』の栽培だ!」
「マスター、店を借りる金銭の手配は、どのようにお考えですか?」
「……」
「そんな事、考えちゃいないよ」
クロエが酒を注ぎながら、冷静な判断を下す。
だが、金銭が有ろうと無かろうと、拠点は必要である。
商人が、注文しようと思った時、連絡する先がなければ、その注文は他の所に取られるだろう。
それに、商売をするには、信用が大切だ。
その信用の元となる、重要なことの一つが、店舗『拠点』なのである。
「あの、少しですがこれを」
「私も、給金を姫から貰ったばかりなので、お使い下さい」
アリシアとビクトル副団長は、響の前に手持ちの金銭を、全て差し出すのであった。
その後、酔った騎士達も、全員が金銭を渡して来た。
「商人に、作物を持ち込んで売れば、そのくらいの資金の調達、出来るんじゃないかい?」
「……」
クロエに言われて気付くとは、今日のドタバタで、気が回っていないようだ。
取引が続くようであれば、直ぐにでも拠点が必要になるが、始めの一度か二度の取引なら、持ち込むか指定された場所に届ければ、怪しまれずに済む。
村の守りに付いて、王都のように壁で囲めればいいが、今は人手もなく無理だ。
当面、今日入口を潰したダンジョンの攻略と、見回りが最優先になるだろう。
村周りの監視体制は、ティスと琴祢に任せればいい。
ゴブリンなどの魔物が、少数ならいいが、多数の敵がバラバラで来たら、今の頭数では守り切れない。
やはり、ガ-ディアンを使うべきか。
メードロイドは、生体エネルギーで動く生命体だが、ガ-ディアンは、亜空間エネルギーで半永久的に動く、ロボット……だった。が、アルン村に配置したガ-ディアンが、ここ最近、行動停止状態なる事が増えてきていた。調査してみると、魔素による腐食が原因だと言う事が分かり、アルン村へのガ-ディアンを、追加する事を中止したばかりだったのだ。腐食したガ-ディアンは、『原子分解保存』された。その時、腐食魔素から『魔素クリスタル』が、生成された。これに付いては、ティスと琴祢が研究中だ。
前に、魔素が無いブロックを作り、村人の収容を考えた事もあったが、村人の内部魔素が尽きると、身動きが出来なくなり、最悪命を落としてしまう事も、あると分かって諦めた。
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