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第15章 激闘、セイクリア王国
第515話 「前原翔輝」という少年7
しおりを挟む翔輝と王族達の、あの衝撃的な「カミングアウト」があってから、翔輝は「勇者」としての訓練を頑張りつつ、ウィルフレッドら王族達を手伝うようになった。
まるで肩荷が降りたかのように、何処か軽やかな感じになってる翔輝の様子を、小夜子やクラスメイト達だけでなく、兵士や騎士達も、まるで不思議なものを見るような感じで見ていた。
ただその間、モーゼス教主の帰還からのウォーレンら断罪官達の出動や、アッシュ達による古代兵器の持ち出しとクラスメイトの小日向星乃香の連れ去りというとんでもないイベントがあり、その所為で王城内はますます暗い雰囲気に包まれたが、それでも翔輝は、
「今はただ、自分に出来ることをしなくちゃ!」
という想いで、小夜子とクラスメイト達、更にはウィルフレッドら王族達を励ましていった。
当然、その最中にちゃっかりとクラリッサとの絆も深めていた。
さて、そんな感じで日々が過ぎていくと、
「聞けぇ! エルードに住む全ての人間達よぉ! 我が名はループス! お前達が『邪神』と呼ぶ存在だ!」
蘇った「邪神」ことループスが、全世界に向かって「宣戦布告」をしてきた。
翔輝はすぐに王族達と共に、ループスがいるという「北の大地」へと向かう準備を始めた。
そして、いざ出陣となった日、
「それじゃあクラリッサ様、行ってきます」
「はい、翔輝様お気をつけて」
と、翔輝はクラリッサとそう言葉を交わすと、「北の大地」へと出発した。
それから数日後、翔輝達は「北の大地」に着いた。
そこはまさに「廃墟」と言える場所で、かつて大きな国の中心都市があった所だと話に聞いていたが、今はとても信じられないくらいの荒れ果てようで、それが翔輝を緊張させた。
そして、その「廃墟」の近くで拠点を構えていると、中立都市シャーサル、そしてもう1つの大国ウォーリス帝国の馬車がたくさんやってきて、彼らもそれぞれ拠点を構えた。
それから少しすると、翔輝はウォーリス帝国の面々の中に、見知った顔ぶれを見つけた。
(桜庭に朝日、天上さんや海神さん。あ、力石達もいる)
それは、自分と同じ「勇者」として召喚されたクラスメイト達だった。当然、その中には、
(……幸村)
春風もしっかりいた。
その後、
「無事でよかった。本当に、心配したんだからな」
と、小夜子が春風を抱きしめて、
「……ごめんなさい、先生」
と、春風がそんな小夜子に向かってそう謝罪した。
それからウォーリス帝国のギルバート皇帝に促されるかのように、翔輝達は大きなテントの中へと入った。
そこで彼らを待っていたもの。
それは、春風が本当に「異世界の神の使徒」であり、その目的は、「『勇者召喚』の所為で大変な事態に陥った地球を救う為」だという事実と、蘇ったもう1柱の「邪神」という1人の幼い少女、そして、地球(というより日本)の神アマテラスこと天照大神の登場だった。
一連の出来事に、
(……は? ちょっと待って、『地球』が何だって? いや、それよりも、あの幼い女の子が『邪神』? でもって、あの女の人が『地球』の神様? な、何で、幸村のスマホから出てきた?)
と、翔輝がかなり混乱していると、
「先ほどギルが言っていた、『勇者召喚の所為で大変な事態に陥った』というのは、どういう意味なのでしょうか?」
と、ウィルフレッドがアマテラスに向かってそう質問したので、
(ハッ! そ、そうだ! あの言葉、一体どういう意味なんだ!?)
と、翔輝はハッと我に返った。
「本当に聞きたいの? あなたにとっては、かーなーり辛い話になるわよ?」
「構いません、どうか教えてください」
「……わかったわ。みんなも、よく聞いてね」
というやり取りがあった後、アマテラスは周囲を見回しながら、文字通り「全て」を話した。
(な、何だ? 彼女は一体、何を話し始めるっていうんだ!?)
それは、翔輝に……いや、翔輝だけでなく小夜子やクラスメイト達、そして、ウィルフレッドにとって、あまりにも残酷すぎる「真実」だった。
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