564 / 608
第15章 激闘、セイクリア王国
第503話 王都への帰還
しおりを挟むセイクリア王国へと向かう空の旅で集結した春風達。
それから暫くすると、目的地であるセイクリア王国の王都が見えてきたので、春風達はその近くで一旦フライング・カーペットを止めた。
白い外壁で囲われた円形の都市。その中央にはシンボルであるセイクリアの王城がある。
(セイクリア王国、王都。全ての始まりとなった場所)
そんな王都を見て、
「……戻ってきたんだな、俺」
と、春風は小さくそう呟いた。
その呟きが聞こえたのか、
「うん。そうだね、フーちゃん」
と、隣にいた歩夢が、ポンと春風の肩に手を置いた。
心配そうに見つめてきた歩夢に、春風は笑顔で「大丈夫」と言うと、
「ちょおっとぉ! 私達抜きでイチャイチャしないでよぉ!」
と、隣のフライング・カーペットに乗っているリアナがプンスカと怒鳴ってきた。よく見ると、その隣にいるアデレードも、リアナと同じような表情をしていた。
春風はそんな2人を見て、
「アハハ、ごめんごめん!」
と、謝罪すると、
「ていうか、リアナも水音も、なんか人増えてない?」
と、リアナ達と水音達を交互に見ながらそう尋ねた。
確かに改めてよく見ると、リアナ達の方には、リアナ、アデレード、ヘリアテス、彩織、詩織、ギャレットの他にもう1人、灰色ローブに眼鏡をかけた人物が乗っていて、水音達の方には、水音、セレスティア、リネット、ループス、煌良、学、麗生の他に、若い男性が1人に、見たところセレスティアやリネットと同い年くらいの女性が1人、そして、ループスの隣で体をプルプルと震わせた、ループスそっくりの子犬が乗っていた。
春風の質問に対して、
「いや、そういう春風こそ、凄い人増えてるじゃないか。ていうか、よく見たら近藤君に遠山君、愛島さんに深見さんだし」
と、水音が「んん?」と遠くを見る仕草をしながらそう言った。更に、
「それだけじゃねぇな。ルークの坊主やダリアもいるじゃねぇかよ」
と、ギャレットがユリウスの近くに座るルークとダリアを見てそう言った。
2人にそう言われて、近藤達4人とルークとダリアの2人は「……」と気まずそうな表情になった。
その時だ。
「あー、すまないがお前達、色々と言いたいこともあるだろうが、まずは目的を果たすのが先じゃないだろうか?」
と、水音の隣に座るセレスティアがそう言ってきたので、
「……そうですね、まずは陛下達を救出しましょう。報告は、その後で」
と、春風はそれに従うことにした。仲間達も春風に続くように、皆コクリと頷いた。
その後、春風達は王都に向かってフライング・カーペットを進ませる。
(待っていてください、ウィルフレッド陛下、みんな……)
春風は王都をジィッと見つめて、
(待っていてください、イブリーヌ様!)
と、心の中でそう呟いた。
その後、王都上空で再び止まると、丁度良い広場を見つけたので、
「うん、あそこに降りよう!」
と、その広場へと向かった。
広場に着いた春風達は、フライング・カーペットから降りると、警戒するように辺りを見回した。
「よし、みんな、行こう!」
『オウ!』
と、春風達がその場から進もうとした、まさにその時、
「おーい、春風殿、こっちだ」
という聞き覚えのある声がしたので、春風達は「え?」とその声がした方へと振り向くと、
そこはどうやら喫茶店の屋外席のようで、
「……え、ウィルフレッド陛下?」
「ウォーレンの旦那?」
と、春風とギャレットが頭上に「?」を浮かべたように、その席にはシンプルな服装に身を包んだ国王ウィルフレッドと、断罪官大隊長のウォーレン、そして、よく見るとウィルフレッドの隣に1人の女性の姿があった。
その女性の顔を見て、
「あ、あなたは、マーガレット様!?」
と、小夜子は驚きの声をあげたので、
(あ、そうだ! あの人は確か、マーガレット・アルマ・セイクリア王妃様だ!)
と、春風もその女性が何者かを思い出した。それを察したのか、女性……否、王妃マーガレットは「ウフフ、お久しぶりね」と、穏やかな笑みを浮かべながら手を振った。
春風はそれを見て、
「あ、どうも……」
と、小さく言うと、
『なんでここにいるんですかぁ!?』
と、春風だけでなく仲間達全員が驚きの声をあげた。
当然だろう、何せ目の前にいるのは、処刑される筈の人物達なのだから。
すると、ウィルフレッドは「フム、それは……」と言ってスッと春風を呼びさすと、
「春風殿。其方の真似をして、脱獄したからだ」
と、真っ直ぐ春風を見てそう答えたので、春風は数秒ほどシーンと静かになると、
『ハァアアアアアッ!?』
と、更に驚きの声をあげるのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
185
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる