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第15章 激闘、セイクリア王国
第502話 空の上での集結
しおりを挟む何処までも広がるエルードの青い空。
その空の上を、もの凄い速さで飛ぶ1つの物体があった。
その正体は、絨毯型魔導具「フライング・カーペット」に乗って空を飛ぶ春風達だった。
「お、おい、ハル! ちょっと速すぎやしないか!?」
と、絨毯の上で文句を言う鉄雄に対して、
「ご、ごめん、これでも抑えている方なんだけど……!」
と、春風は前を向いたままそう謝罪した。
「賢者」へのランクアップからの、モーゼスとの戦いを終えた翌日、春風達は処刑されることになったウィルフレッド達を救出する為、フライングカーペットに乗ってシャーサルを出発した。当然、メンバーは春風達「七色の綺羅星」は勿論、幼いイアン、ニコラ、マークの3人もいる。彼らの参加については、
「出来ればここに残って欲しいんだけど……」
と、春風は説得しようとしたが、
「嫌だ! 俺達、おねにーちゃん達と最後まで一緒にいたい!」
というイアン達の熱意に負けて、一緒に行くことになったそうだ。
更にそこへ、モーゼスとの戦いの中、洗脳状態から解放した、登らクラスメイト4人に、断罪官のルークとダリア、そして、「最初の固有職保持者」フリードリヒや、この世界の「意志」そのものであるクロエルとシロエルも加わり、その結果かなりの大所帯になったので、「それならば……」と、春風は急遽全員が乗れる大型のフライング・カーペットをスキルで作成した。
そして現在、完成した大型のフライング・カーペットに乗って、春風達はセイクリア王国王都を目指して空の旅をしていた。
ただ先ほども記したように大所帯なので、慣れてない人為にスピードを上げないように動かしている春風だが、「もしも間に合わなかったら?」という不安と焦りの所為か、上手くコントロールが出来ずに、かなりの速さで飛んでいた。そのことで若干不安になっている仲間達だが、同時に春風の気持ちも理解している為、そこまで強く言うことが出来ないでいた。
そんな時、
「おーい、ハールー!」
と、横でそう叫ぶ声が聞こえたので、春風達は「ん?」とその声がした方へと振り向くと、
「リアナ!」
そこにいたのは、フライング・カーペットに乗って空を飛んでいるリアナ達だった。
更に、
「春風ぁー!」
と、今度は反対方向からそう叫ぶ声がしたので、すぐにその声がした方へと振り向くと、
「水音!」
そこにいたのは、リアナ達と同じように、フライング・カーペットに乗った水音達だった。
因みに、何故彼らもフライング・カーペットに乗っているのかというと、それぞれの地へと分かれる前に、
「もしかしたら必要になるかもしれないから」
と、春風が水音に渡していたからだ。
久しぶりにあったリアナ達に感動したのか、
「2人とも、パワーアップ出来たんだね!?」
と、春風がそう尋ねると、
「勿論!」
「ああ!」
と、リアナと水音は笑顔でそう返事した。
春風はその辺りについて話を聞きたかったが、
「私もハル達のこと聞きたいけど、今はやらなきゃいけないことあるでしょ!?」
と、リアナにそう問われてしまったので、
「そうだね、じゃあそれが終わったらみんなで報告会みたいなのしよう!」
と、春風はリアナと水音を交互に見ながらそう提案した。
当然、返事は2人共、
「「オッケー!」」
だ、そうだ。
それから暫くの間飛んでいると、
「あ、見えたよ!」
と、歩夢が前方指差したので、春風は「え、どれどれ?」とその指差した方角を見ると、
(ああ、本当だ)
そこには、懐かしき大きな都市が見えた。
(セイクリア王国、王都)
エルードに来て早々に飛び出してから、一度も戻っていないその場所。
(待っていてください、ウィルフレッド陛下、みんな)
春風は本当に久しぶりに見たその都市をジィッと見つめながら、
(待っててください、イブリーヌ様!)
と、心の中でそう呟いた。
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