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第14章 更なる「力」を求めて
第428話 水音編24 闇の中での「出会い」
しおりを挟む「オイ! オイ、起きろ!」
「う、うーん?」
ループスにそう怒鳴られて、分身1号は目を覚ました。
「あ、僕の本体……って、え、ここ何処!?」
起き上がってループスを見つけた分身1号だったが、その周りの景色を見て、驚きの声をあげた。
「ヒィイイ、真っ暗だよぉ。僕の本体以外、何もないよぉ」
そこは、辺り一面真っ暗で、地面に立ってる感触はあるが、目の前にいるループス以外は何も無いことを理解して、分身1号は恐怖で震え出した。
すると、
「落ち着けっての」
ーーポコッ!
「アウチ!」
ループスは分身1号の頭を軽く叩いた。
それが効いたのか、震えが止まった分身1号は、
「ね、ねぇ、ここって何処なの?」
と、ループスに尋ねると、
「俺にもわかんねぇけど、確かに言えるのは、ここは水音に関連した場所だと思うぜ」
と、ループスはそう答えた。
「水音君に……あ!」
その瞬間、分身1号はそれまでの記憶を思い出した。
「そ、そうだよ! 水音君! 水音君はどうなっちゃったの!?」
「そんなの俺だって知りてぇよ。とにかく、今のところわかってるのは、水音があの女に刺された瞬間、水音の体が青い炎みたいなのに包まれて、それに俺らも巻き込まれて、気がついたらここにいたってことだけだ」
と、ループスがそう説明すると、分身1号は不安になったのか、
「そっかぁ」
と、シュンとなった。
すると、
「しょげんなっての」
ーーポコッ!
「アウチ!」
ループスは再び分身1号の頭を軽く叩いた。
「とにかく、ここでボケーッとしてても何も始まらねぇ。まずはこの変なとこから脱出するぞ」
と、ループスがそう言うと、ハッとなった分身1号は納得して、
「う、うん、そうだね。でも、どうしたらいいんだろう?」
と、ループスに尋ねると、ループスは考える仕草をして、
「うーん、そうだな。取り敢えず、何か『臭い』がないか、鼻で探ってみるか」
と、ループスは自身の鼻をチョンチョンと突きながらそう答えた。
その後、ループスと分身1号はそれぞれ鼻を動かして、自分達の周辺をくんかくんかと何か「臭い」がないか探った。
そして、暫くすると、
「「……あ!」」
と、とある方向から妙な「臭い」がしたので、
「よっしゃ、行くぜ1号!」
「う、うん、わかった!」
と、ループス達はすぐにその「臭い」を辿って歩き出した。
そして、暫く「臭い」を嗅ぎながら歩いていると、
「あ、なんかいたよ!」
「おう、俺にも見えたぜ!」
と、ちょっと離れた位置に何かがいるのが見えたので、ループス達はそれを目指して一斉に駆け出した。
そこにいたのは、
「な、何だありゃ!?」
「ひ、ヒィ!」
全身を青く輝かせた、人の形をした大きな「何か」で、よく見ると誰かを襲っている様子だった。
「ど、どうしよう!」
と、分身1号がループスに尋ねると、
「ど、どうするって、アイツをやっつけるに決まってるだろ!」
と、ループスは慌てた様子で答えた。
そんなループスを見て、
「で、でも、『やっつける』ってどうやって?」
と、分身1号が再び尋ねた。
「え、そ、そりゃあ勿論……」
と、ループスは「何か」を倒す「作戦」について説明した。
その「作戦」とは……。
「「せーのっ!」」
ーーガブリ!
人の形をした「何か」の、お尻(もしくはお尻にあたる部分)を思いっきり噛むというものだった。
「ギャアアアアアッ!」
突然のことに驚いた人型の「何か」はそう悲鳴をあげると、光の粒子となって消滅した。
「うぇえ、ま、不味いよぉ」
「も、文句を言うな。俺だって不味いって思ってんだから」
口をペッペとさせながらそう言ったループス達。
それから少しして漸く落ち着くと、
「ふぅ、さてと。おい、そこのあんた、大丈夫か……って……」
と、ループスが人型の「何か」に襲われていたものに話しかけたが、
「ありがとうございます、助かりました」
そこにいた者達を見て、
「白い水音に……!?」
「ちっちゃな水音君!?」
と、ループスと分身1号は驚愕の声をあげた。
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