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第12章 集結、3人の「悪魔」
第321話 春風、裁判にかけられる
しおりを挟む(えー、皆さんこんにちは、幸村春風です。俺は現在、裁判にかけられています)
と、心の中でそんなことを呟く春風は現在……裁判にかけられていた。
しかも、
「判決を言い渡す。幸村春風……有罪!」
と、何故か裁判長的な立場になっているウィルフレッドから、「有罪判決」を受けてしまった。
(……どうして? どうしてこうなったぁ!?)
まさかの有罪判決をくらって、心の中でそう嘆いた春風。
一体何故こんなことになったのか?
その説明をする為に、時を少し戻すとしよう。
それは、遡ること数時間前、再会からの「全て」の説明があった翌日。
「はい皆さん、そこでその状態をキープしてください」
未だにループスに動きがない為、春風はいつものように仲間達と帝国兵、騎士、魔術師達に訓練をつけていると、
「な、何をしてるんだ幸村ぁ!?」
という悲鳴のような叫び声が聞こえたので、
「ん?」
と、春風が声がした方へと振り向くと、そこには驚きの表情になっている小夜子と翔輝らクラスメイト達、そしてウィルフレッドとイブリーヌがいた。
「あ、あれ? 先生どうしたんですか?」
と、春風が小夜子にそう尋ねると、小夜子は怒りの表情でズンズンと春風に近づき、
「一体、何を、しているのかと、聞いているんだ幸村ぁ!」
と、春風の肩を掴んでブンブンと揺すりながらそう答えた。
そのもの凄い剣幕に押された春風は、
「お、お、落ち着いてください先生ぇ! 答えますからぁ!」
と、少し涙目になりながら、小夜子達に理由を話した。
「……なるほど、そういうことだったのか」
春風から理由を聞き終えて、ウィルフレッドは納得の表情を浮かべた。そしてそれは、小夜子達も同様だった。
春風はそんな彼らの様子を見て、
「あ、あのぉ……」
と、恐る恐る話しかけると、
「よし、では我々セイクリアも訓練に参加させてもらう」
と、ウィルフレッドが春風を見てそう言ってきた。
すると、それを聞いたギルバートが、
「お、オイオイ、ウィルフ、どういうつもりだよ?」
と尋ねると、ウィルフレッドはギロリとギルバートを睨みつけて、
「どういうつもりだと? 自分達だけでこれほどの訓練をつけてもらうなど、ずるいではないか!」
と、少々子供じみた文句を言った。
するとそこへ、
「へぇ、だったら、私らも訓練をお願いしようかねぇ」
と、何処か聞き覚えのあるその声に、春風達が
『ん?』
と一斉に振り向くと、そこにいたのは、シャーサルが誇る2つの巨大レギオンの1つ、「紅蓮の猛牛」リーダーのヴァレリーとその仲間達だった。当然、そこにはアデレードの姿もあった。
「あ、どうも、お久しぶり……です」
まさかの再会に、春風は冷や汗を流しながらそう挨拶すると、
「おう、久しぶりだな。で……」
と言うと、ヴァレリーは素早く春風の側に近づき、
「私らも、訓練、つけてくれるよな?」
と言って、春風の肩をガシッと掴んだ。
春風はその迫力に押されたのか、
「……はい」
と、それからセイクリアの面々(一部だが)と、紅蓮の猛牛メンバーにも訓練をつけることになった。
数時間後、訓練をつけ終えた春風は、少しの間休憩すると、
「みなさーん、ご飯ですよー!」
と、仲間達に食事を振る舞った。
今日のメニューは、春風自身が作った特性の「ハンバーガー」だ。
仲間達や帝国兵、騎士、魔術師達は春風からそれを受け取ると、皆、美味しそうにそれを頬張った。
そんな彼らの姿を見て、小夜子達やセイクリア兵と騎士達、そして紅蓮の猛牛メンバーは目が点になった。
さて、そんな状態の小夜子らをよそに、
「いっぱいありますので、どんどん食べてくださーい」
と、春風がハンバーガーを配っていると、いきなりスッと誰かの手が現れて、ハンバーガーを1つ掴んだ。
よく見ると、それは、ウィルフレッドの手だった。
「ふむ。これは美味いな」
と、ウィルフレッドはハンバーガーをガブリと頬張ると、
「これは、其方が作ったものか?」
と、春風に向かってそう尋ねた。
「は、はい、そうですけど……」
と、春風が恐る恐るそう答えると、ウィルフレッドは「そうか」と言って、
「よし、逮捕だ!」
と、春風に向かって言い放った。
突然のことに春風だけでなく周りが「え?」となっていると、突然セイクリアの騎士2人が、春風をガシッと捕まえた。
「陛下、確保しました!」
騎士の1人がそう言うと、
「うむ、では裁判の準備だ!」
と、ウィルフレッドがそう言い放った。
そして、そこからはあれよあれよという間に、その場に簡易的な裁判所のようなものが出来上がって、
「判決を言い渡す。幸村春風……有罪!」
と、現在に至るのだった。
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