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第11章 断罪官の逆襲
第283話 決戦、断罪官16 「戦鬼」と「師匠」と「英雄達」の戦い
しおりを挟むリアナ達がそれぞれ断罪官の小隊長と戦っていた、丁度同じ頃、水音、冬夜、雪花、静流は今、1人の断罪官の青年と戦っていた。
(くっ! この人、手強い!)
数では水音達の方が有利なのだが、その青年はそれを覆すくらいの実力を有していた。
青年は水音達の何度目かの攻撃を、持っていた剣で軽くいなすと、「……フ」と不敵な笑みを浮かべて、
「どうした? 『神』に逆らってまでして手に入れた固有職保持者の力は、そんなものなのか?」
と、水音に向かってそう挑発した。
「こ、このぉ!」
その挑発を受けて、水音はムカっとなったが、
「待つんだ。ここで冷静さを失ったら相手のおもうつぼだよ」
と、冬夜が水音の前にスッと手を出して「待った」をかけた。そのおかげで、水音はなんとか気持ちを落ち着かせることが出来た。
そんな水音の様子を見た後、冬夜は青年に向かって、
「……君は確か、『ルーク副隊長』だったね?」
と尋ねた。
名前を尋ねられた青年は、
「ほう、私のことを知っているのか?」
と、冬夜に尋ね返した。
その問いに、今度は冬夜が「……フ」と笑うと、
「生憎、僕には色々な情報源があるのさ」
と、青年以上の不敵な笑みでそう答えた。
ただ心の中では、
(本当は春風の記憶を見ただけなんだけど、ここはカッコつけさせてもらうよ)
と、事情を知る者がいたら「オイオイ」と突っ込まれそうなことを呟いていた。
しかし、そんな冬夜の心の中を知らない青年はというと、
「いかにも。私は、異端者討伐部隊『断罪官』副隊長、ルーク・アークライトだ」
と、真面目な表情でそう名乗った。
「あ、アークライトって、じゃあ、あなたは、ウォーレンって人の!?」
その名乗りに驚いた水音がそう尋ねると、
「そうだ。断罪官大隊長ウォーレン・アークライトは、私の父だ!」
と、その青年、ルークはそう答えた。
すると、
「へぇ、面白いこと聞いたわ」
「!」
ルークの背後に立った女性、凛依冴が、ルークに向かって持っている日本刀を振り下ろした。
しかし、
「スキル、[絶対防御]」
と、ルークは静かにそう唱えて、光の壁のようなものを出現させると、その壁で凛依冴の日本刀による攻撃を防いだ。
(う、固いなこれ)
攻撃を防がれた凛依冴は心の中でそう呟くと、
「ハァ!」
と、ルークは凛依冴の隙をついて攻撃を仕掛けた。
「フン!」
ガキィン!
凛依冴はそれを日本刀で防ぐと、その場をジャンプして離れて、その勢いに乗って水音達の側まで移動した。
「師匠、大丈夫ですか!?」
水音は凛依冴にそう尋ねると、
「問題ないわ」
と、凛依冴はニカっと笑ってそう答えた。
だが、その後すぐに真面目な表情になって、
「でもね、水音。彼、結構強いわよ」
「マジですか?」
「マジ。流石は『副隊長』ってところかしらね」
ルークに視線を向けたままやり取りをする凛依冴と水音。そんな2人を見てルークは、
「フン。今更仲間が1人増えたところでなんになる」
と、鼻で笑いながらそう言うと、
「全員まとめて、『死』をくれてやるわ!』
と叫んだ。
すると次の瞬間、ルークの全身が眩い光に覆われた。
あまりの眩しさに思わず目を瞑った水音達。
それから少しして、漸く目を開いた水音達が目の前を見ると、そこにはそれまで身に纏っていた漆黒の鎧の代わりに、何処か神々しさを感じさせる純白の鎧を纏ったルークがいた。
「うわぁ、これはやばいわね」
ルークの姿を見て、凛依冴はタラリと冷や汗を流すと、
「ああ。確かにやばいね」
と、凛依冴に続くように冬夜もそう言った。
ただし、
「生の『変身』なんて、初めて見たよ!」
同時に目をキラキラと輝かせていた。
その言葉に、周囲の人達は「ズコ!」とこけかけたが、どうにか踏ん張った。
「さぁ、続きといこうか!」
そう叫ぶと、純白の鎧を纏ったルークは水音達に向かって突撃してきた。
「! 来たよ!」
と、雪花がそう言うと、
「皆、いくよ!」
と、冬夜が号令をかけて、
『オウッ!』
と、全員が戦闘体勢に入った。
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