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第11章 断罪官の逆襲
第274話 決戦、断罪官7 アデルチームvsダリア
しおりを挟むリアナと歩夢が、ギャレットと戦い始めた丁度同じ頃、アデル、ケイト、クレイグ、フィオナ、そしてルーシーも、1人の断罪官の女性と対峙していた。
「まさか隊員達を相手にここまで奮闘するとは、中々のチームワークのようだな」
と、アデル達に倒された隊員達を見回しながらそう言った女性に、アデル達は警戒心を剥き出しにした。そんなアデル達を前に、女性は名乗る。
「私は、断罪官第2小隊隊長、ダリア・マクロード。自慢をする気はないが、私は結構強いぞ?」
と言うと、その女性ーーダリアは背中に背負った武器を手に取り、構えた。
それは、細身の刀身を持つ6本の小型剣だった。
ダリアはそれを、左右の手の指と指の間に1本ずつ挟み、まるで爪のように6本全て持った。
その異様な姿を見て、アデル達はすぐに陣形を整えた。アデルとクレイグが前に出て、2人の後ろにケイトが弓を構えて、その更に後ろにフィオナとルーシーが立つ形だ。
ダリアは組み上がったその陣形を見て、
「おぉ、バランスが取れた、良い陣形だな」
と、アデル達に褒め言葉を贈ると、
「では、私から行かせてもらおう!」
ダリアは6本の小型剣を持った状態で突撃した。
ダリアは素早い動きでアデルとクレイグの間合いに入ると、右手の3本の小型剣を突き出した。
「っ!」
クレイグはその攻撃に反応したかのように、持っていた大剣を盾代わりにしてそれを防いだ。
ガキィンという音が戦場に響き渡る。
しかしそれでもダリアは止まらず、今度は左手の3本の小型剣で、防御の空いている部分に攻撃を仕掛けるが、
「させるかぁ!」
と、そこへアデルがすかさず割って入り、自身の持つ片手剣でそれを防いだ。
その時、何かの気配を感じたダリアは、すぐに真上へとジャンプした。
そこへ、ケイトが放った矢が迫ってきたきたからだ。
ダリアは空中でクルクルと体を回転させて、地面に着地した。
その瞬間、ダリアの真下に紫色の魔法陣が描かれて、そこから何本もの鎖が現れてダリアを縛りつけた。
それは、ルーシーの「呪術師」のスキルによるものだった。
「ナイスだ、ルーシー!」
動きを封じられたダリアに向かって、アデルとクレイグが攻撃を仕掛けてきた。
だが、
「舐めるなぁ!」
と、ダリアは魔力で自身の身体を強化すると、強引に鎖を引きちぎって再びジャンプし、アデル達の攻撃を回避した。
その後、2人の背後に着地したダリア。
(しまった、攻撃が来る!)
と、アデルとクレイグは身構えたが、何故かダリアは2人を放ってそのまま前方へダッシュした。
そして、
「邪魔だ」
と、ケイトを横へ殴り飛ばすと、ルーシーの目の前で止まった。
「え、う、あ……」
突然の事に戸惑うルーシーに、ダリアは静かに尋ねる。
「その力、君は、ルーシー・カーリングか?」
「え?」
その苗字を聞いてルーシーが固まっていると、
「ルーシー!」
と、ハッとなったフィオナがルーシーの前に立った。
それと同時に、アデルとクレイグがダリアの背後から攻撃を仕掛ける。
ダリアがアデル達の方を向いた瞬間、フィオナはルーシーとその場を離れた。
ダリアは6本の小型剣で、アデルとクレイグの攻撃を弾くと、その勢いで2人を吹っ飛ばした。
「クッ!」
吹っ飛ばされた2人はどうにか地面に着地する。
それと同時に、殴り飛ばされたケイトも弓を構える。
その場が一気に緊張に包まれると、
「……ど、どうして」
と、ルーシーが口を開いた。
ダリアがルーシーの方を向き、アデル達が「?」を浮かべると、ルーシーは更に続けて、
「どうして、あなたが、わ、私の、本当の、名前を、知ってるの?」
と、ダリアに向かってそう尋ねた。
するとダリアは、左手の小型剣3本を地面に突き立てると、ズボンのポケットに手を突っ込んで、「あるもの」を取り出した。
それは、中央に緑の宝石がはめ込まれた、銀のペンダントだった。
そのペンダントを見て、アデル達は「なんだ?」と再び「?」を浮かべると、ダリアはルーシーに向かって再び尋ねる。
「このペンダントに覚えはあるか?」
その質問に、ルーシーは体を震わせながら答える。
「そ、それは、お母さんのペンダント!」
そう答えたルーシーに、アデル達は「えっ!?」となると、ダリアは、「そうか」と言った後、ルーシーに向かって静かに言い放つ。
「君の両親は、私が殺した」
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