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第9章 出会い、波乱、そして……
第212話 総理大臣・神代総一
しおりを挟む春風達の祖国、日本。
その現在の内閣総理大臣、神代総一の登場。
地球とエルード間の通話中に起きたまさかの出来事に、鉄雄らクラスメイト達は目玉が飛び出そうになるくらい仰天し、残りのエルード勢は皆一斉に頭上に「?」を浮かべていた。
そんな時、
「ねぇ、ねぇ、ユメ!」
「?」
リアナが小声で、隣にいる歩夢を呼び寄せた。
「何? リアナ」
「誰なの? あの人」
「うーんと、ざっくり言うと、私達の祖国の、とっても偉い人の1人」
歩夢の本当にざっくりとした説明に、歩夢だけでなく他のエルード勢も、
『あぁ、成る程』
と納得した。
そんな状況の中、モニター画面に映った総一が、イブリーヌに話しかける。
「さて、イブリーヌ姫……でよろしいでしょうか?」
「は、はい!」
「先程は涼司さんが本当に申し訳ありませんでした。彼は唯一の家族である春風君の事になると少し暴走するところがありのですよ。ですから、今回春風君が大変な事になってるのを知って怒りを抑えられないといったところなのです、すみません」
と、深々と頭を下げてそう謝罪した総一に、それまで震えていたイブリーヌは落ち着いた表情になって、
「……いえ、ハルさま……春風様のお父様のお怒りはごもっともです。春風様だけではありません、この世界の事情に、あなたの国の人達を巻き込んでしまっただけでなく、この世界とあなた方の世界を危険に晒してしまい、本当に申し訳ありませんでした」
と、総一と同じように深々と頭を下げて謝罪した。
そんなイブリーヌを見て、総一は穏やかな笑みを浮かべると、
「それでは、今回の一件が終わったら、あなたのお父上と色々とお話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
と、そう提案をしたので、
「はい、わたくしからお父様にそうお話をお通しします」
とイブリーヌは了承した。
「ありがとうございます。さて……」
総一は視線をイブリーヌから春風に移した。
「春風君」
「はい」
「君に大変なものを背負わせてしまって、私としては本当に申し訳ないと思っていますが……」
その言葉の通り、総一は申し訳なさそうに春風に向かってそう言うと、
「お願いします、『世界』を、救ってください!」
と、イブリーヌの時と同じように深々と頭を下げて頼んだ。
それを見て春風は、
「はい!」
と、キリッとした表情で力強くそう答えた。
すると、
「ハル1人にはさせません! 私もついてます!」
と、リアナが春風の隣に立って、総一に向かってそう言った。
それに続くように、
「うん、私も、フーちゃんの側にいます」
歩夢も春風の隣に立ってそう言い、更に、
「僕も、春風と共に戦います」
水音が、
「俺達もいますよ!」
鉄雄、恵樹、美羽、彩織、詩織が、
「私達もいます!」
アリア、フィナ、アデル、ケイト、クレイグ、ルーシー、イアン、ニコラ、マークが、
「あら、師匠の私も忘れないでよ」
凛依冴が、次々と春風の側に集まった。
するとその時、
「ふむ、じゃあ俺も」
と、ギルバートが玉座から立ち上がって、
「あー、ちょっと失礼」
と言って春風の側に近づいて、モニター画面の総一に視線を向けた。
「む、あなたは?」
と、総一が尋ねると、
「お初にお目にかかる。ウォーリス帝国皇帝、ギルバート・アーチボルト・ウォーリスだ。以後お見知り置きを」
と、ギルバートは総一に向かってそう自己紹介した。
「おお、皇帝陛下でしたか。先程申しましたが、私は、日本国、内閣総理大臣の、神代総一と申します」
「おう、よろしくな。で、春風の事だが、俺達ウォーリス帝国も、全力で春風達をサポートする」
「おぉ! それは心強いですねぇ!」
ギルバートの言葉を聞いて、総一がそう感心すると、ギルバートは少し申し訳なさそうな態度で、
「で、ものは相談だけどぉ……」
と、話しかけた。
「? 何でしょうか」
「先程、イブリーヌに言ってた『この一件が終わったらお父上と色々とお話をしたい』ってやつなんだが、俺も混ぜてもらっていいだろうか?」
「ああ、それでしたか。勿論構いませんよ」
「よっしゃあ、ありがてぇ!」
と、ガッツポーズをとってそう叫ぶギルバートを見て、春風は「ハハハ」と苦笑いし、他の皇族達は「ハァ」と深く溜め息を吐いて顔を覆った。
その状況を見た総一は、「フフ」と小さく笑うと、春風の方を向いて、
「春風君」
「はい」
「どうやら君は、素晴らしい人達に出会えたようですねぇ」
と、穏やかな笑みを浮かべて言うと、
「……はい!」
と、春風も笑顔で力強くそう返事をした。
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