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第7章 襲来、「邪神の眷属」
第128話 起動、「銀の左腕」
しおりを挟む「あ、アガートラーム?」
「タクティカル・アタッチメントだと!?」
目の前で起きた出来事に、結界に閉じ込められたリアナ達を含む周囲の人達がざわめく中、
「ホウ、コレハマタ随分トゴツイ見タ目ダナ。ソンナアンバランスナ格好デ、コノ我ニ挑モウトイウノカ?」
と、ループスは春風を挑発した。
今の春風の姿は、服装こそそのままではあるが、左腕(肘から下)は装着したタクティカル・アタッチメントの所為で異様に大きくなっていて、ループスが言った様に、正に左右非対称のアンバランスな格好だった。
しかし、
「申し訳ありませんが、お喋りする気はありませんので、どうぞそちらからかかってきて下さい」
春風は涼しい表情で、逆にループスを挑発した。しかもご丁寧に、大きくなった左腕を動かし、その金属の掌をクイックイと動かした。3本しかない金属の指が、まるで本物の指の様に違和感のない動きをしていた。
それが、ループスの怒りに火をつけたのか、ピキッとなって、
「ソウカ、ナラバ遠慮ナクコチラカライカセテモラウ!」
と、春風に向かって突進し、右ストレートをお見舞いした。
春風は直ぐにそれを、大きくなった左腕でガードした。その衝撃の所為か、少し体が地面に沈んだ。
だが、春風の表情は崩れなかった。それどころか、
(ナ、何ダ? コノ力ガ吸ワレル感覚ハ?)
左腕の装甲を殴った感触におかしなものを感じたループスは、直ぐにその場を離れようとしたが、
「逃がしません」
と言って、春風は右手デ握り拳を作ると、それに意識を集中させた。
(吸収した攻撃のエネルギーと、俺自身の魔力を融合)
次の瞬間、春風の右手から赤いエネルギーの様なものが放出され、それが春風の右手を覆い、やがて別の形に変化した。
出来上がったのは、真紅の巨大な握り拳だった。
「くらえ、『メガトンブロー』!」
そう叫んだ春風は、その巨大な握り拳で、ループスの腹を力いっぱい殴った。
「グォッ!」
強烈な一撃を受けたループスの分身は、思いっきり後ろにぶっ飛ばされた。因みに、春風の右手はいつの間にか元に戻っていた。
「マサカ、コチラノ攻撃ヲ吸収スル能力トハ……」
「まだまだ、こんなものではありませんよ」
そう言ってループスの分身に近づく春風。
だがループスもコレで終わりにする気はなかった。
「ナラバ、吸収スル暇ガナイクライノ攻撃ヲオ見舞イスルダケダ!」
ループスはそう叫ぶと、全身から黒い稲妻を何本も放出し、それらを春風めがけて放った。
「!」
春風はそれら全てを避けるが、それでもループスは諦めずに、再び春風に黒い稲妻を放った。
「だったらこっちは……」
と、避けるのをやめた春風はその場に立ち止まると、大きくなった銀の左手を銃の形にして、砲身にあたる人差し指の部分を、ループスの分身が放った黒い稲妻に向けた。
すると、人差し指の指先がパカッと割れて、中から細い金属の筒が現れた。
(魔力、充填)
春風は割れたその指先に魔力を集めた。そして、
「受けてみろ、魔光銃!」
そう叫んだ次の瞬間、筒の先から光が放たれ、黒い稲妻を打ち消した。
「ナ、ナンダトォ!?」
驚くループスをよそに、その後春風は何度も魔光銃を撃ちまくった。
ループスの分身はそれを避けたが、全て避けたわけじゃなく、数発ほど胴体や足にあたった。
「グゥ! シマッタ、コレデハ思ウ様ニ動ク事ガ出来ナイ!」
撃たれた箇所を押さえるループスの分身に、春風は、
「じゃあ、取り敢えず止めといきますか」
そう言って、魔力を流して左腕のタクティカル・アタッチメントを変形させた。
それは左腕全体を包み、やがてそれは大きな銀の筒になった。
春風はその銀の筒に魔力を流した後、先程の「魔光銃」と同じ様に筒の先をループスの分身に向けて、叫ぶ。
「魔光大砲、発射!」
すると、今度は太いエネルギーがその筒から放たれた。
(クッ! 足ノ痛ミノ所為デ、上手ク動ケナイ!)
足負傷した為素早く動く事が出来ないループスの分身は……。
チュドォオオオオオオオン!
「グォオオオオオオオッ!」
と、大きな音を立てて思いっきりそれをくらった。
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