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第5章 対決、断罪官
第79話 傍観者達
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*第5章最終話です。
「えぇ、なにこれ?」
地球でもエルードでもない別の空間で、緑の髪を持つ10代半ばの少年はそう呟いた。
少年が見ていたのは、目の前にある大きな球体に写っていた、とある映像だった。
「なに負けてんだよ! あいつ、断罪官で一番強いんじゃ無かったのかよ!? しかも聖剣まで折られるなんて!」
そこに写っていたのは、先程まで繰り広げられていた春風と断罪官達との戦いだった。
少年は最初、断罪官達が勝つものと思っていたのだが、隊員達は1人残らず倒され、大隊長のウォーレンも、大きな傷を負わされただけじゃなく聖剣スパークルまで折られた。それだけでも少年にとってはショックだったところに、なんと春風は彼らをトドメをささずに生かし、生かされた断罪官達は教会本部に撤退。結果、戦いは春風の勝利に終わった。
「なんだよ! なんなんだよ、あの春風ってやつ! あんなに強いとかマジ反則じゃん! しかも、あの『いつでもかかって来な』ってセリフ、ホンットにマジでむかつくぅううううう!」
誰もいない空間で少年はただ1人、まるで駄々をこねる幼い子供の様に地面を転げ回っていた。
そして暫くの間転がっていると、漸く落ち着いてきたのか、むくっと起き上がって、
「こんなの、みんなに話せる訳ないじゃん。ただでさえこっちはそれどころじゃないってのに……」
そうボソリと愚痴ると、ハッと気配を感じて、少年は慌てて球体の映像を切り替えた。
出てきた映像は、セイクリア王国……というより、召喚された「勇者」達だ。
「よし」と少年が確認すると、そこへ少年の仲間である4人の男女が現れた。
その後、少年はなにも無かったかの様に振る舞うと、合流した4人と共に勇者達を見守るのだった。
一方、別の空間では、
「アハ、アハハ、アハハハハハハハッ!」
今、1人のワイシャツアンドジーンズ姿の男性が、まるで狂った様に笑っていた。
彼の名は、オーディン。春風と契約した地球の神々の1柱にして、北欧神話の最高神だ。
その最高神は今、春風の断罪官達との戦いぶりを見て、そのあまりの凄さに歓喜の声をあげていたのだ。
「素晴らしい! 素晴らしいよ春風君! 君はなんて素晴らしい戦いを見せてくれたんだ! 君の想いが、覚悟が、僕の体に伝わってくるよ! ああ、僕はなんて運が良いんだ! 君と契約する事が出来て、本当に良かった! あの時、あの『提案』をしてくれた君には、本当に感謝しかないよ! さあ、春風君! 次はどんな凄いものを僕に見せてくれるんだい!? 今からとても楽しみで、仕方ないんだよぉ!」
顔を赤くして、恍惚の笑みでそう叫ぶオーディン。そこには、最早神様らしさなど微塵も無かった。
「ねぇ、なんかオーディンが凄いことになってるんだけど?」
「ああ、あそこまで狂喜乱舞するオーディン、見たことねぇよな」
その姿を見て、アマテラスとゼウスをはじめ、他の地球の神々もドン引きしていた。
暫くすると、落ち着きを取り戻したオーディンは他の神達の前で恥ずかしい姿を見せてしまったと激しく後悔するのだが、それはまた別の話である。
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どうも、ハヤテです。
というわけで、以上で第5章は終了です。
続く第6章は、断罪官との戦いを終えた春風君は、とある大きな「決断」をすることになります。
お楽しみに。
「えぇ、なにこれ?」
地球でもエルードでもない別の空間で、緑の髪を持つ10代半ばの少年はそう呟いた。
少年が見ていたのは、目の前にある大きな球体に写っていた、とある映像だった。
「なに負けてんだよ! あいつ、断罪官で一番強いんじゃ無かったのかよ!? しかも聖剣まで折られるなんて!」
そこに写っていたのは、先程まで繰り広げられていた春風と断罪官達との戦いだった。
少年は最初、断罪官達が勝つものと思っていたのだが、隊員達は1人残らず倒され、大隊長のウォーレンも、大きな傷を負わされただけじゃなく聖剣スパークルまで折られた。それだけでも少年にとってはショックだったところに、なんと春風は彼らをトドメをささずに生かし、生かされた断罪官達は教会本部に撤退。結果、戦いは春風の勝利に終わった。
「なんだよ! なんなんだよ、あの春風ってやつ! あんなに強いとかマジ反則じゃん! しかも、あの『いつでもかかって来な』ってセリフ、ホンットにマジでむかつくぅううううう!」
誰もいない空間で少年はただ1人、まるで駄々をこねる幼い子供の様に地面を転げ回っていた。
そして暫くの間転がっていると、漸く落ち着いてきたのか、むくっと起き上がって、
「こんなの、みんなに話せる訳ないじゃん。ただでさえこっちはそれどころじゃないってのに……」
そうボソリと愚痴ると、ハッと気配を感じて、少年は慌てて球体の映像を切り替えた。
出てきた映像は、セイクリア王国……というより、召喚された「勇者」達だ。
「よし」と少年が確認すると、そこへ少年の仲間である4人の男女が現れた。
その後、少年はなにも無かったかの様に振る舞うと、合流した4人と共に勇者達を見守るのだった。
一方、別の空間では、
「アハ、アハハ、アハハハハハハハッ!」
今、1人のワイシャツアンドジーンズ姿の男性が、まるで狂った様に笑っていた。
彼の名は、オーディン。春風と契約した地球の神々の1柱にして、北欧神話の最高神だ。
その最高神は今、春風の断罪官達との戦いぶりを見て、そのあまりの凄さに歓喜の声をあげていたのだ。
「素晴らしい! 素晴らしいよ春風君! 君はなんて素晴らしい戦いを見せてくれたんだ! 君の想いが、覚悟が、僕の体に伝わってくるよ! ああ、僕はなんて運が良いんだ! 君と契約する事が出来て、本当に良かった! あの時、あの『提案』をしてくれた君には、本当に感謝しかないよ! さあ、春風君! 次はどんな凄いものを僕に見せてくれるんだい!? 今からとても楽しみで、仕方ないんだよぉ!」
顔を赤くして、恍惚の笑みでそう叫ぶオーディン。そこには、最早神様らしさなど微塵も無かった。
「ねぇ、なんかオーディンが凄いことになってるんだけど?」
「ああ、あそこまで狂喜乱舞するオーディン、見たことねぇよな」
その姿を見て、アマテラスとゼウスをはじめ、他の地球の神々もドン引きしていた。
暫くすると、落ち着きを取り戻したオーディンは他の神達の前で恥ずかしい姿を見せてしまったと激しく後悔するのだが、それはまた別の話である。
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どうも、ハヤテです。
というわけで、以上で第5章は終了です。
続く第6章は、断罪官との戦いを終えた春風君は、とある大きな「決断」をすることになります。
お楽しみに。
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