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第六章・御使いの秘密
54・恨み
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──アルジェ!!
そのアルジェの声にスリジャは涙ぐむ。
良かった┉アルジェ。心配で心配で生きた心地がしなかった┉。
だが、起き上がったアルジェの頭からは再び赤い血が流れ落ちる。
──きっと動いたから傷口が開いたんだ┉やはり早く手当てしなければ!
アスバルも安堵して涙ぐんでいたが、また心配そうに見ている┉。
そんな私達にアルジェは心配かけまいとして笑顔を作る。そして┉
「痛みで起き上がれませんでしたけど、お話しは全て聞かせていただきました。御使い長もアラン王子も┉。そしてアラン様の件ですが、私もまさかあの時の子供がアラン様だった事に驚いています。直接お会いしてませんが、スリ様から聞いていました。」
あの時、御使い達が止めるのも聞かずスリ様は神殿の外に出て行った┉沢山の人がお礼の祈りに来ていたから┉。
「あの時、スリ様は殆ど目が見えない状態だったのです。
お役目に励むあまり、過度の力を使った事ですっかり体調を崩してしまって┉だけど怪我をした子供をそのまま放っておける人じゃありませんから┉スリ様は。」
「┉そういう事だったのですね。ずっと気づいてくれないので┉ちょっとだけ恨みに思ってました。その理由が分かって良かった。」アランは安堵したようにそう言って笑う。
が、「ほら!結局そのような目に合わされるのですよ┉。そうやって命を削って役目を果たしても意味がない。そう思いませんか?そしてあなたの命も尽きかけているんすね、スリジャ様┉。そしてこの御神体の力が欲しい┉そうですね?」
挑むような表情で御使い長がスリジャに問いかける。
確かにこの御神体の力があったら┉寿命が伸びるかもしれない。だけどきっと、この人は┉
「だけど┉もう壊してしまおうと思うんですよ。せっかく御使い長様までここにお揃いでいらっしゃるんですけどね。」
もう御使いなど終わりにしましょう。
その御使いをも守る事が出来ない女神アイリスに仕えてどうする?って思いますよね┉
独り言のようにそう呟いて、御神体の玉を頭上に振り上げる──その時。
「止めて下さい。御使い長様┉。私が、私が真実をお話し致しますから。」
そう言って前に出たのは、この神殿の前で出会った年配の御使いだった──。
そのアルジェの声にスリジャは涙ぐむ。
良かった┉アルジェ。心配で心配で生きた心地がしなかった┉。
だが、起き上がったアルジェの頭からは再び赤い血が流れ落ちる。
──きっと動いたから傷口が開いたんだ┉やはり早く手当てしなければ!
アスバルも安堵して涙ぐんでいたが、また心配そうに見ている┉。
そんな私達にアルジェは心配かけまいとして笑顔を作る。そして┉
「痛みで起き上がれませんでしたけど、お話しは全て聞かせていただきました。御使い長もアラン王子も┉。そしてアラン様の件ですが、私もまさかあの時の子供がアラン様だった事に驚いています。直接お会いしてませんが、スリ様から聞いていました。」
あの時、御使い達が止めるのも聞かずスリ様は神殿の外に出て行った┉沢山の人がお礼の祈りに来ていたから┉。
「あの時、スリ様は殆ど目が見えない状態だったのです。
お役目に励むあまり、過度の力を使った事ですっかり体調を崩してしまって┉だけど怪我をした子供をそのまま放っておける人じゃありませんから┉スリ様は。」
「┉そういう事だったのですね。ずっと気づいてくれないので┉ちょっとだけ恨みに思ってました。その理由が分かって良かった。」アランは安堵したようにそう言って笑う。
が、「ほら!結局そのような目に合わされるのですよ┉。そうやって命を削って役目を果たしても意味がない。そう思いませんか?そしてあなたの命も尽きかけているんすね、スリジャ様┉。そしてこの御神体の力が欲しい┉そうですね?」
挑むような表情で御使い長がスリジャに問いかける。
確かにこの御神体の力があったら┉寿命が伸びるかもしれない。だけどきっと、この人は┉
「だけど┉もう壊してしまおうと思うんですよ。せっかく御使い長様までここにお揃いでいらっしゃるんですけどね。」
もう御使いなど終わりにしましょう。
その御使いをも守る事が出来ない女神アイリスに仕えてどうする?って思いますよね┉
独り言のようにそう呟いて、御神体の玉を頭上に振り上げる──その時。
「止めて下さい。御使い長様┉。私が、私が真実をお話し致しますから。」
そう言って前に出たのは、この神殿の前で出会った年配の御使いだった──。
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