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第一章・僕が公爵家に居るワケ
7・この世界の僕の人生
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「どうでしょうか?僕の知り合いの人が作った品なんですが…。このお店の一角に置いて、売ってみていただけないでしょうか?」
あれから応接室に通されて、テーブルに僕の作品を広げて見せた。
定番のハンカチに刺繍した物と、大きめのテーブルクロスに品の良いように葉と鳥を形どった図柄を入れて、所々に僕のブランドの特色の日本語を入れてある。
図柄にちなんで『花鳥風月』にしてみました!
その他に、布のコースターとか花瓶の敷物とか色々作ってみたんだけど?
懲りだすと止まらない性格な僕は、品質には拘って高級感溢れる品にしたつもりだ。
目の前のリンダさんは、一つ一つ手に取ってじっと見ていた。
やがて、フーッっと溜息をつきながら僕をじっと見た。
「素晴らしい!一体どなたがこんな素晴らしい作品を?このクオリティなら直ぐにでもお店に置けます。そして、あっという間に売れるんじゃないかと思いますが。」
真剣な表情でそう言うリンダさんに、僕は猛烈に感動していた。
やったー!認めて貰えたんだ…僕の作品を。
これでやっと、この世界で生き抜く第一歩を踏み出せたような気がする。
これからもっと沢山の作品を作って売らなければならないけれど、道筋が出来ただけでも!って安堵する。
「それでいくらくらいなら売れると思われますか?相場が分からないもので…。そしてこちらには何割ほど入る事になるでしょうか?」
ちょっと安心出来て冷静になった僕は、更に突き詰めた話しをしにかかる。
この世界の常識にまだ疎い立場だし、このオリヴァーの旧知の仲のリンダさんなら信用できる。
よほど損にならない限り、お願いするより他にないしね。
リンダさんはさっと紙に値段を書いて、作品の上に置いていく。
「このくらいから始めませんか?人気が出たらもう少し上げても良いかと。良い材料を使っていますね?恐らく材料費も安くはないでしょうし、こちらは三割いただきます。それでいかがですか?」
──めちゃくちゃ良心的!!半々って言われるかも?って思っていたから…
こんな得体の知れない人物に対して、有り難いわぁ~。
もちろん二つ返事でお願いして、今後の連絡はオリヴァーを通してしてくれる事に。
「売れましたらまた連絡致しますね。それまでに新作を何点か作っておいていただければ。カイト様、ごきげんよう!」
僕は深々とお辞儀をして、「こちらこそお願い致します」って店を出た。
店を出た途端、秋風に吹かれてブルッと身体が震えたけど、心の中はホカホカだった。
──や、やったぞ!!
だけど、やってみるもんだなぁ~思い付きで始めた事だったけど、思いの外上手くいきそうだ。
これからは出来るだけ売って、ある程度のお金を手に入れなくては。
そして出来ればこの商売、継続出来るといいよね?
公爵家を出たとして、暫くは蓄えで生活できるかもしれないけど、いずれ尽きるだろう。
それから新しい職を探そうとしても…
だから人気が出るように、よりレベルアップが必要かも?
僕は編み物も出来るし、他にもチャレンジしてみようっと!
足取り軽くなる帰り道、オリヴァーと屋台で美味しい物を買って食べたりしてついでに楽しく過ごす。
そう言えば、村を出てこの城下町に来てから初めてかも?こんなに自由で楽しいの。
ロテシュ伯爵家では、家に閉じ籠もってずっと勉強だったし、公爵家に来てからは出掛ける気力もなくって…
漠然と、これから僕どうなるのかな?って思うけど、結局自分でどうにかするしかないんだ。
ここで側に居てくれるのは隣のオリヴァー以外にはいない!それを理解してこの先行動していこう。
そして出来ることなら、ミシェルに愛する人が現れたタイミングで去る。
四の五の言わず、さっと去って行こう!
ロテシュもギルフォードも、その先の僕の人生に関係なんてない!
そうなってから初めて、僕のこの世界での本当の人生が始まるのかも知れないって、少しワクワクしたんだ──。
あれから応接室に通されて、テーブルに僕の作品を広げて見せた。
定番のハンカチに刺繍した物と、大きめのテーブルクロスに品の良いように葉と鳥を形どった図柄を入れて、所々に僕のブランドの特色の日本語を入れてある。
図柄にちなんで『花鳥風月』にしてみました!
その他に、布のコースターとか花瓶の敷物とか色々作ってみたんだけど?
懲りだすと止まらない性格な僕は、品質には拘って高級感溢れる品にしたつもりだ。
目の前のリンダさんは、一つ一つ手に取ってじっと見ていた。
やがて、フーッっと溜息をつきながら僕をじっと見た。
「素晴らしい!一体どなたがこんな素晴らしい作品を?このクオリティなら直ぐにでもお店に置けます。そして、あっという間に売れるんじゃないかと思いますが。」
真剣な表情でそう言うリンダさんに、僕は猛烈に感動していた。
やったー!認めて貰えたんだ…僕の作品を。
これでやっと、この世界で生き抜く第一歩を踏み出せたような気がする。
これからもっと沢山の作品を作って売らなければならないけれど、道筋が出来ただけでも!って安堵する。
「それでいくらくらいなら売れると思われますか?相場が分からないもので…。そしてこちらには何割ほど入る事になるでしょうか?」
ちょっと安心出来て冷静になった僕は、更に突き詰めた話しをしにかかる。
この世界の常識にまだ疎い立場だし、このオリヴァーの旧知の仲のリンダさんなら信用できる。
よほど損にならない限り、お願いするより他にないしね。
リンダさんはさっと紙に値段を書いて、作品の上に置いていく。
「このくらいから始めませんか?人気が出たらもう少し上げても良いかと。良い材料を使っていますね?恐らく材料費も安くはないでしょうし、こちらは三割いただきます。それでいかがですか?」
──めちゃくちゃ良心的!!半々って言われるかも?って思っていたから…
こんな得体の知れない人物に対して、有り難いわぁ~。
もちろん二つ返事でお願いして、今後の連絡はオリヴァーを通してしてくれる事に。
「売れましたらまた連絡致しますね。それまでに新作を何点か作っておいていただければ。カイト様、ごきげんよう!」
僕は深々とお辞儀をして、「こちらこそお願い致します」って店を出た。
店を出た途端、秋風に吹かれてブルッと身体が震えたけど、心の中はホカホカだった。
──や、やったぞ!!
だけど、やってみるもんだなぁ~思い付きで始めた事だったけど、思いの外上手くいきそうだ。
これからは出来るだけ売って、ある程度のお金を手に入れなくては。
そして出来ればこの商売、継続出来るといいよね?
公爵家を出たとして、暫くは蓄えで生活できるかもしれないけど、いずれ尽きるだろう。
それから新しい職を探そうとしても…
だから人気が出るように、よりレベルアップが必要かも?
僕は編み物も出来るし、他にもチャレンジしてみようっと!
足取り軽くなる帰り道、オリヴァーと屋台で美味しい物を買って食べたりしてついでに楽しく過ごす。
そう言えば、村を出てこの城下町に来てから初めてかも?こんなに自由で楽しいの。
ロテシュ伯爵家では、家に閉じ籠もってずっと勉強だったし、公爵家に来てからは出掛ける気力もなくって…
漠然と、これから僕どうなるのかな?って思うけど、結局自分でどうにかするしかないんだ。
ここで側に居てくれるのは隣のオリヴァー以外にはいない!それを理解してこの先行動していこう。
そして出来ることなら、ミシェルに愛する人が現れたタイミングで去る。
四の五の言わず、さっと去って行こう!
ロテシュもギルフォードも、その先の僕の人生に関係なんてない!
そうなってから初めて、僕のこの世界での本当の人生が始まるのかも知れないって、少しワクワクしたんだ──。
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