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第一章・僕が公爵家に居るワケ
4・僕の涙ぐましい努力
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ぼ、僕が公爵家の嫡男と結婚するだって!?
確かに同性婚も当たり前なんだけど、僕自身はどちらの嗜好なのか分からない。
親の決めた相手に合わせろ!って事なんだろうか…
それから目の前に居る僕をまるで虫けらのように見ている、さっきまで愛されたいと思っていたその人を見た。
ほんの数分前まで父だと思っていたその人を…
この人は、僕を息子だなんて思っていない。
自分の息子は、あの何かといっては無理難題で僕を傷付けようとするイジワルな兄だけなんだろう。
──あぁ、僕は何てバカなんだ?あのまま村に居た方が貧しくても自由で暮らせたのに…
こんな人達の為に!そう思ったら泣けてきた。
そんな僕の様子を見た伯爵は、侮蔑の笑みを浮かべて言った。
「感動しているのか?そうだろうなぁ。平民のお前にしたら雲の上の相手なんだから。だけど目的は結婚じゃない!監視なんだよ。グランバード公爵はずっと私を目の敵にしている。今までだって細かい事でこの伯爵家を潰そうとして…。だから王に取り入ってお前を婚約者にするように取り計らって貰ったんだ。忘れるな!公爵がおかしな行動をしたら逐一知らせるんだぞ。」
そんな伯爵の言い草を僕は茫然としながら聞いていた。
ほんの一年前まで平民の僕が公爵家の一員になれる訳、ないだろう?
確かに、僕は容姿は悪くないかも知れない。だけど男だよ?
そんな無理やり婚約者にさせて、あちらの公爵家は一体どう思っているのか…
下手したら僕は殺されるような事もあるんじゃないだろうか?
──怖い!嫌だよ!!だけど、やるしかないんだね…
そうして僕は16歳にも満たない年齢でこの公爵家に婚約者としてやって来た。
僕は初めてこの屋敷に来たあの時を忘れない…
初めてミシェルを見た時、余りの美丈夫さに度肝を抜かれた。
流れる銀糸の長髪をなびかせているスラリとした長身。海より深い藍色の瞳、目鼻立ちも非の打ち所が無い程整っているミシェルを。
その時、不覚にもこの人に愛されたい!って思ってしまった…。愛されたらどんなにか幸せだろうって。
同時に自分の性的な嗜好も知ったんだ。
僕は男性と結婚するのが一番なんだと思う。
だけど…ミシェルは、そんな僕の淡い恋心を打ち砕くような冷たい表情をしていた。
一瞬、一瞥をくれてそれからはほぼ無視状態で…
それから自分に与えられた部屋に行ったところで、自分の置かれた立場を思い知る。
確かに立派な部屋は与えられた。部屋はね!
中には何も無かった。ベッドも机や椅子一つさえも。
──僕は途方に暮れた。
もちろん布団もなくて…そんな僕の肩をポンと叩いたのが、ロテシュ家で唯一親切にしてくれて、この公爵家まで一緒に来てくれたオリヴァーだ。
「マリン様、こんな大きくて立派な部屋をくれた事だけ良かったと思いましょう!屋根裏部屋とかじゃなくて良かったですよね?」
そう言ってオリヴァーはガハハと笑った。
──ん、そうだ!ロテシュ家から支度金として少しは渡されているし、何と言っても元平民だ。最低限の家具を買おう。服は持って来た物で充分じゃないか!
オリヴァーのおかげでちょっと元気になって来た!
部屋はそんな状態だったけど、食事や部屋付きのメイドなどは与えて貰えるようだった。
ちょっとした嫌がらせのつもりなんだろう…。身の程を知れ!って事なんだろうな?
もちろんこのグランバード公爵家やミシェルが望んだ結婚じゃないし。
ミシェルは今、18歳になったばかりで大人と同じに扱われる年齢だけど、この国では嫡男は20歳になるまでは正式な結婚は出来ない。
だからそれまで婚約者としてこの家で同居する訳なんだけど…
僕はその時は18歳で…まだまだ先だなぁ。
僕はそんな公爵家からの洗礼を受けて、すっかり落ち込んだけど、いずれ結婚するなら仲良くしたいと思った。
好きになって欲しい…は無理かもしれないけど、せめて家族としての情みたいなものさえ持ってもらえれば…って。
だってこの先、子供が出来る事だってあるかも知れない。
それなのに親同士が仲が悪かったら?子供が不幸だろう。
そう思って、僕はあらゆる涙ぐましい努力をしたんだが…
──とんだ無駄だったな!
前世を思い出して、この世界が小説の中だと気付いた今。
もう無駄な事は辞める!それに期待する事だって…
それからミシェルに向かって、休みたいので出てってくれませんか?って冷たく言ったんだ。
確かに同性婚も当たり前なんだけど、僕自身はどちらの嗜好なのか分からない。
親の決めた相手に合わせろ!って事なんだろうか…
それから目の前に居る僕をまるで虫けらのように見ている、さっきまで愛されたいと思っていたその人を見た。
ほんの数分前まで父だと思っていたその人を…
この人は、僕を息子だなんて思っていない。
自分の息子は、あの何かといっては無理難題で僕を傷付けようとするイジワルな兄だけなんだろう。
──あぁ、僕は何てバカなんだ?あのまま村に居た方が貧しくても自由で暮らせたのに…
こんな人達の為に!そう思ったら泣けてきた。
そんな僕の様子を見た伯爵は、侮蔑の笑みを浮かべて言った。
「感動しているのか?そうだろうなぁ。平民のお前にしたら雲の上の相手なんだから。だけど目的は結婚じゃない!監視なんだよ。グランバード公爵はずっと私を目の敵にしている。今までだって細かい事でこの伯爵家を潰そうとして…。だから王に取り入ってお前を婚約者にするように取り計らって貰ったんだ。忘れるな!公爵がおかしな行動をしたら逐一知らせるんだぞ。」
そんな伯爵の言い草を僕は茫然としながら聞いていた。
ほんの一年前まで平民の僕が公爵家の一員になれる訳、ないだろう?
確かに、僕は容姿は悪くないかも知れない。だけど男だよ?
そんな無理やり婚約者にさせて、あちらの公爵家は一体どう思っているのか…
下手したら僕は殺されるような事もあるんじゃないだろうか?
──怖い!嫌だよ!!だけど、やるしかないんだね…
そうして僕は16歳にも満たない年齢でこの公爵家に婚約者としてやって来た。
僕は初めてこの屋敷に来たあの時を忘れない…
初めてミシェルを見た時、余りの美丈夫さに度肝を抜かれた。
流れる銀糸の長髪をなびかせているスラリとした長身。海より深い藍色の瞳、目鼻立ちも非の打ち所が無い程整っているミシェルを。
その時、不覚にもこの人に愛されたい!って思ってしまった…。愛されたらどんなにか幸せだろうって。
同時に自分の性的な嗜好も知ったんだ。
僕は男性と結婚するのが一番なんだと思う。
だけど…ミシェルは、そんな僕の淡い恋心を打ち砕くような冷たい表情をしていた。
一瞬、一瞥をくれてそれからはほぼ無視状態で…
それから自分に与えられた部屋に行ったところで、自分の置かれた立場を思い知る。
確かに立派な部屋は与えられた。部屋はね!
中には何も無かった。ベッドも机や椅子一つさえも。
──僕は途方に暮れた。
もちろん布団もなくて…そんな僕の肩をポンと叩いたのが、ロテシュ家で唯一親切にしてくれて、この公爵家まで一緒に来てくれたオリヴァーだ。
「マリン様、こんな大きくて立派な部屋をくれた事だけ良かったと思いましょう!屋根裏部屋とかじゃなくて良かったですよね?」
そう言ってオリヴァーはガハハと笑った。
──ん、そうだ!ロテシュ家から支度金として少しは渡されているし、何と言っても元平民だ。最低限の家具を買おう。服は持って来た物で充分じゃないか!
オリヴァーのおかげでちょっと元気になって来た!
部屋はそんな状態だったけど、食事や部屋付きのメイドなどは与えて貰えるようだった。
ちょっとした嫌がらせのつもりなんだろう…。身の程を知れ!って事なんだろうな?
もちろんこのグランバード公爵家やミシェルが望んだ結婚じゃないし。
ミシェルは今、18歳になったばかりで大人と同じに扱われる年齢だけど、この国では嫡男は20歳になるまでは正式な結婚は出来ない。
だからそれまで婚約者としてこの家で同居する訳なんだけど…
僕はその時は18歳で…まだまだ先だなぁ。
僕はそんな公爵家からの洗礼を受けて、すっかり落ち込んだけど、いずれ結婚するなら仲良くしたいと思った。
好きになって欲しい…は無理かもしれないけど、せめて家族としての情みたいなものさえ持ってもらえれば…って。
だってこの先、子供が出来る事だってあるかも知れない。
それなのに親同士が仲が悪かったら?子供が不幸だろう。
そう思って、僕はあらゆる涙ぐましい努力をしたんだが…
──とんだ無駄だったな!
前世を思い出して、この世界が小説の中だと気付いた今。
もう無駄な事は辞める!それに期待する事だって…
それからミシェルに向かって、休みたいので出てってくれませんか?って冷たく言ったんだ。
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