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第七章・エリオットの正体
48・公然の秘密
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ガイ様はもしかして、最初から分かっていたのか?僕が、アノー伯爵家の令息なんだってこと…
「誤解しないで欲しい!何も詮索した訳じゃない。実はイーライから行方不明の兄がいるんだと聞いていたんだ。イーライはあの性格だから、私以外は特に親しい者はいない。だからそれを知っているのは私だけですのでご安心を」
ああそうか…と納得する。もしかしてアイツ、気にしていた?僕のこと。居なくなっても全然気にしないのだと思っていた。それどころか、清々するだろうと…違っていたのか?
そう愕然としていると、続けざまに意外な事実を告げてくる。
「そういえば、マクベス大公殿下もご存知の様子でした。闘技場でイーライの騒ぎが収まってから、皆様は控え室へと戻られましたけど大公様だけはそのままいらっしゃって…その時に、エリオット君は嫡男なんだろ?とイーライに問われて…」
何だって?またまた意外な人物の名が。マクベス大公様も知ってるだなんて…どうしてだろ?
「エリオットの瞳の色で気づかれたのですね?そういえば、じっと見てらっしゃいましたね」
坊ちゃまのその言葉で、そういえば…と思い出すのは、観客席で目が合った時だ!偶然かなと思ってたけど、やっぱり僕を見ていた?
それともしかして、闘技場の外で聞き耳を立てていた時に会ったのも…偶然じゃないんだ!ワザとだったのか。
そんな事実を知って、己の警戒心の無さにほとほと呆れる。
それはそうだよね?ラウル殿下さえも気付いていたのに、同じ王族の大公様が知らない筈はない。人には一切バレてないと思ってたの、僕だけなのか…
それに僕はハハハと乾いた笑いを漏らして「だからご存知だったのですね…」と呟いた。
あれ?だったらこの部屋に坊ちゃまと一緒に通されたのも、そういう理由もあるわけ?
そう感じてガイ様をじっと見た。そんな僕からの視線に困った顔をして「実は」と言いかけたところで…
「私が頼んだのだ。伯爵家の令息であるエリオットを使用人用の部屋へと通すのは気が引けると相談されて。かと言って他の使用人の前では言えないだろう?だからせめて私と同じ部屋を使えば問題は解決するだろう提案したんだが…。エリオットは自分の本当の身分は知られたくないだろう?今はまだ…」
そう言われてハッとする。最近いろんな人にバレてしまっているけど、公爵家の人々にはまだ知られていない。いずれは告白して謝らなければならなくなるだろうが、今はまだその決心がつかない…
そうなった時は公爵家を出る時なのかも?と漠然と思っている。せめて学園を卒業するその日までは、絶対に坊ちゃまと一緒にいたい!
「はい。僕はまだ知られたくないと思っています。ですからガイ様、お気遣いは凄く有り難いのですが、今後も公爵家の使用人として私を扱っていただけたら…」
それにガイは驚いた表情をしていたが、コクリと頷いて「ではそうさせていただきますね」といつもの笑顔を見せた。
「それから今夜は、派手なことは出来ませんが晩餐を用意しておりますので、是非ご一緒に。えーっと、エリオット君…はジュリアス様に付き添う従者として来てくれるかい?席を設けてあるので」
そのクルーガー家の心遣いに頷いて、僕と坊ちゃまは「ありがとうございます」と微笑んだ。
それから少し疲れたので暫く休みたいと言う坊ちゃまを残して、僕は明るいうちに行かなきゃ!と散歩に出掛ける。
許可をいただいて屋敷の中を見廻る。あんまり大きな声じゃ言えないけど、そんなに家計が貧しいの?と思っていたクルーガー侯爵邸は、置き物一つとってみても凄く洗練されていた。そして庭に出てみると侯爵様か奥様がお好きなのか、良く手入れされている薔薇園が広がっていて…。冬に咲く薔薇ってあるんだ!?と熱心に眺めていると、突如声が聞こえてくる。誰だろう?と振り向くと、手を振りながらガイ様が近付いてきていた。
「薔薇園にいたんだね!探したよ。この屋敷はとても古いだろ?だから不便なところはないかな。何かあったら遠慮なく言ってくれ」
「いいえ!全然大丈夫です。お屋敷の中を見せていただいていたのですが、僕は…とっても好きですね!なんだか懐かしい感じがします。ちょっとアノー伯爵邸に似てて…あの家も相当古かったですから」
そう答えた僕だったが、思わず子供の頃住んでいた屋敷を思い出して、ちょっとだけしんみりする。今はどうなっているのだろうか?と思いながら…
「ああ、そのようだねイーライからも聞いているよ。私もこの屋敷が好きで、正直所々直さないといけないんだが…なんだかこのままで残しておきたくってね」
その気持ちが痛い程分かる僕はウンウンと頷いて「出来たらこのまま保存したいですよね~」と同意する。
それから一緒に色んな話をしながらぐるりと屋敷の周りを散歩して、日が落ちてきたところで「寒いから入りましょうか?」と問われる。それに僕は、ホントだ寒い!とブルッと震えて、では中に…と踵を返すと、そう言った筈のガイ様が僕を呼び止める。
「すみません寒いのに…直ぐに済みますから!あのぅ、ご相談があるのですが」
そう真剣な顔で言われて、相談…僕に?と困惑する。自慢じゃないけど、僕は人から相談されるタイプじゃない。ちょっとそれはそれで哀しい気もするが、自分でよく分かってるし…それなのに?と不思議に思っていると…
「実は、付き合って欲しいと告白するつもりなんです」
──えっ…こ、告白ぅ~?
僕は呆気にとられて目の前のガイ様を見つめた。
「誤解しないで欲しい!何も詮索した訳じゃない。実はイーライから行方不明の兄がいるんだと聞いていたんだ。イーライはあの性格だから、私以外は特に親しい者はいない。だからそれを知っているのは私だけですのでご安心を」
ああそうか…と納得する。もしかしてアイツ、気にしていた?僕のこと。居なくなっても全然気にしないのだと思っていた。それどころか、清々するだろうと…違っていたのか?
そう愕然としていると、続けざまに意外な事実を告げてくる。
「そういえば、マクベス大公殿下もご存知の様子でした。闘技場でイーライの騒ぎが収まってから、皆様は控え室へと戻られましたけど大公様だけはそのままいらっしゃって…その時に、エリオット君は嫡男なんだろ?とイーライに問われて…」
何だって?またまた意外な人物の名が。マクベス大公様も知ってるだなんて…どうしてだろ?
「エリオットの瞳の色で気づかれたのですね?そういえば、じっと見てらっしゃいましたね」
坊ちゃまのその言葉で、そういえば…と思い出すのは、観客席で目が合った時だ!偶然かなと思ってたけど、やっぱり僕を見ていた?
それともしかして、闘技場の外で聞き耳を立てていた時に会ったのも…偶然じゃないんだ!ワザとだったのか。
そんな事実を知って、己の警戒心の無さにほとほと呆れる。
それはそうだよね?ラウル殿下さえも気付いていたのに、同じ王族の大公様が知らない筈はない。人には一切バレてないと思ってたの、僕だけなのか…
それに僕はハハハと乾いた笑いを漏らして「だからご存知だったのですね…」と呟いた。
あれ?だったらこの部屋に坊ちゃまと一緒に通されたのも、そういう理由もあるわけ?
そう感じてガイ様をじっと見た。そんな僕からの視線に困った顔をして「実は」と言いかけたところで…
「私が頼んだのだ。伯爵家の令息であるエリオットを使用人用の部屋へと通すのは気が引けると相談されて。かと言って他の使用人の前では言えないだろう?だからせめて私と同じ部屋を使えば問題は解決するだろう提案したんだが…。エリオットは自分の本当の身分は知られたくないだろう?今はまだ…」
そう言われてハッとする。最近いろんな人にバレてしまっているけど、公爵家の人々にはまだ知られていない。いずれは告白して謝らなければならなくなるだろうが、今はまだその決心がつかない…
そうなった時は公爵家を出る時なのかも?と漠然と思っている。せめて学園を卒業するその日までは、絶対に坊ちゃまと一緒にいたい!
「はい。僕はまだ知られたくないと思っています。ですからガイ様、お気遣いは凄く有り難いのですが、今後も公爵家の使用人として私を扱っていただけたら…」
それにガイは驚いた表情をしていたが、コクリと頷いて「ではそうさせていただきますね」といつもの笑顔を見せた。
「それから今夜は、派手なことは出来ませんが晩餐を用意しておりますので、是非ご一緒に。えーっと、エリオット君…はジュリアス様に付き添う従者として来てくれるかい?席を設けてあるので」
そのクルーガー家の心遣いに頷いて、僕と坊ちゃまは「ありがとうございます」と微笑んだ。
それから少し疲れたので暫く休みたいと言う坊ちゃまを残して、僕は明るいうちに行かなきゃ!と散歩に出掛ける。
許可をいただいて屋敷の中を見廻る。あんまり大きな声じゃ言えないけど、そんなに家計が貧しいの?と思っていたクルーガー侯爵邸は、置き物一つとってみても凄く洗練されていた。そして庭に出てみると侯爵様か奥様がお好きなのか、良く手入れされている薔薇園が広がっていて…。冬に咲く薔薇ってあるんだ!?と熱心に眺めていると、突如声が聞こえてくる。誰だろう?と振り向くと、手を振りながらガイ様が近付いてきていた。
「薔薇園にいたんだね!探したよ。この屋敷はとても古いだろ?だから不便なところはないかな。何かあったら遠慮なく言ってくれ」
「いいえ!全然大丈夫です。お屋敷の中を見せていただいていたのですが、僕は…とっても好きですね!なんだか懐かしい感じがします。ちょっとアノー伯爵邸に似てて…あの家も相当古かったですから」
そう答えた僕だったが、思わず子供の頃住んでいた屋敷を思い出して、ちょっとだけしんみりする。今はどうなっているのだろうか?と思いながら…
「ああ、そのようだねイーライからも聞いているよ。私もこの屋敷が好きで、正直所々直さないといけないんだが…なんだかこのままで残しておきたくってね」
その気持ちが痛い程分かる僕はウンウンと頷いて「出来たらこのまま保存したいですよね~」と同意する。
それから一緒に色んな話をしながらぐるりと屋敷の周りを散歩して、日が落ちてきたところで「寒いから入りましょうか?」と問われる。それに僕は、ホントだ寒い!とブルッと震えて、では中に…と踵を返すと、そう言った筈のガイ様が僕を呼び止める。
「すみません寒いのに…直ぐに済みますから!あのぅ、ご相談があるのですが」
そう真剣な顔で言われて、相談…僕に?と困惑する。自慢じゃないけど、僕は人から相談されるタイプじゃない。ちょっとそれはそれで哀しい気もするが、自分でよく分かってるし…それなのに?と不思議に思っていると…
「実は、付き合って欲しいと告白するつもりなんです」
──えっ…こ、告白ぅ~?
僕は呆気にとられて目の前のガイ様を見つめた。
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