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着々と進むマルティナの計画

重鎮達との顔合わせから数日後
再び謁見の申し入れがあり
マルティナは了承した後に会議室に
集まった

「皇后陛下、我々はあれから幾度も
話し合いました…不敬になる覚悟で
申し上げます」

「何をだ?」

「あの時に先代両陛下の意見を
聞き入れるべきでした」

「意見?」

「はい…実は…両陛下はテリウス殿下を
皇太子に指名したいと申しました…
ですが前例が無かった為に
我々は「混乱を避けるべき」だと」

「なるほど…で、今はどう考える」

「やはり…文化やしきたりは大切ですが
時と場合により異なる事も有りうると」

「それで?」

「我々はマルティナ皇后のお考えを
支持したく思います」

宰相が素早く紙を配った

【承認状】

ま、まさか皇后が…ここまで準備を
していたなんて

重鎮達は一瞬戸惑ったがペンを渡されて
隣を見ながらサインを記入していった

宰相や秘書官は心の中で「良し」っと
拳を握った

ダビルス侯爵は騎士と共に平民達に
マルティナ皇后の有能をアピールし
ジュークス皇帝がナミリュ夫人に
多額の費用を費やしている。と
広めた
実際にナミリュは毎日のように街で
宝石店を見て周り高級レストランに
入る姿を多くの民に目撃されていて
民達は皇帝と夫人に対して不審を
抱いていた。


テリウスは同派閥の貴族を中心に
夜会などに参加しながら
皇后を褒め立てていた。
中立派貴族達も皇帝の暴君発言を
聞いていた為に国の行く末を危惧して
いた。
貴族の過半数以上が皇后派となり
革命に同意を示した

マルティナは集めた承認状を
大聖堂に居る大聖師バルトに託すと
バルトは確認を終え
中央帝国最高裁判所の裁判官
マグレン公爵に委ねた

そんな時でも…

ダーン!

「おい!就命式はまだ決まらないのか」

貴族院会議が開かれていた会議室に
ジュークスが入って来た
皆は一斉に立ち上がり礼をするが
無視だ。
貴族達は頭を下げたままジュークスを
チラチラと見ている

「陛下、今は会議中でございます」

マルティナが言うが関係ないらしい

「うるさい!ナミリュが旅行に
行きたいと言ってるんだ、
早く予定を組め!本当に使えないな!
あ、旅行は海が見たいみたいだからな
そうだな、南帝国がいいな
早くしろよ」

一方的に話をすると会議室から
出て行った

「皆、頭をあげなさい」

マルティナの言葉に貴族院の貴族達は
ようやく頭をあげた


あれがテリウス大公が言ってた
「皇后潰し」かぁ

我儘な暴君で後先を考えずに
目先の楽しさを優先させる。
挙句、ナミリュ夫人の言いなりで
マルティナ皇后を蔑ろにして
国務を丸投げしている…

貴族達の目に映るジュークスの姿だった

テリウスとマルティナは仕上げの準備に
掛かる為にジュークスとナミリュそして
ネイサンを南帝国に向かわせた

何も知らない一行は馬車に乗り込むと
言いなりのマルティナを笑っていた
そう…楽しい旅行に向かったのだ


マルティナに連絡が来た

中央帝国最高裁判官からだった

「全て完了致しました
確認の為1度お会いする事を望みます」


マルティナはバルトを通じてテリウスを
呼んだ

中央最高裁判所

「お待ちしておりました
マルティナ皇后陛下
サジアス大公爵閣下」

待っていたのは中央帝国最高裁判官
マグレン公爵だ

「よろしく頼む」

テリウスはマルティナをエスコート
しながらソファーに腰をかけて
裁判官と向き合った

「こちらが用意した書類でございます」

書類を抜かりなく読んでいく

「良いだろう完璧だ」

テリウスは頷いた。マルティナも頷く

「一足先に言わせて頂きたく思います
おめでとうございます。
ご武運をお祈り申し上げます」

「苦労をかけたな」

「とんでも御座いません
完璧な手順に完璧な手法…
学ばせて頂きました。才女と言われる
皇后様に秀才と呼ばれる大公爵閣下に
勝てる者などおりません」

正式に受理された書類を受け取ると
レドモンドが待つ部屋へと向かう

部屋の前で2人は静かに唇を重ねた後
扉を開けた

部屋で待っていたレドモンドが
ソファーから勢いよく立ち上がる

「母上!」
レドモンドは抱きつこうとしたが 
ぐっと堪えると

「母上様、お変わりございませんか」

そんなレドモンドを見てテリウスに
預けて良かったとマルティナは思った

マルティナはレドモンドに近寄ると

「レドモンドは素敵な紳士に
なりましたね。母は嬉しいですよ」

そう言ってレドモンドを抱きしめた

家族でゆっくり会えたの初めてだった
3人は照れくさそうにしながら
時を過ごした

「母上様、僕は皇帝学を修了しました
これからは父上と一緒に母を支えます」

「ふふ、頼もしいわ良く頑張りましたね」

レドモンドがマルティナの耳元に寄り
小声で言った

「父は母上を愛してるって毎晩言うの
ですよ、だから負けない様に言います
僕も母上を愛してます」

「私も貴方を愛していますよ」

マルティナは真っ直ぐに育ってくれた
レドモンドを愛しく思い抱きしめた

そしてテリウスの頬に口付けをした

「あなた、、
本当にありがとう愛しているわ」

楽しい時間はすぐに過ぎ
決戦の時に会う約束をしてマルティナは馬車に乗り込んだ

マグレン公爵は3人の姿を遠目に
見つめ微笑んだ
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